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ロシア軍のドローンを迎撃するウクライナ兵「ドローンを破壊することでウクライナ軍が有利になります」

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。また民生品ドローンも監視・偵察のために両軍によって多く使用されている。

ロシア軍では主にロシア製の偵察ドローン「Orlan-10」や小型の民生品ドローンで監視・偵察を行っていたり、イラン製軍事ドローン「シャハド136」やロシア製軍事ドローンで攻撃を行っている。特にイラン製軍事ドローンを多く使用してウクライナ軍の軍事施設や民間インフラなどに奇襲を行ってたりする。毎日あらゆる方面からロシア軍のドローンによる偵察と攻撃が行われている。

ドローンは攻撃用も監視用も探知したらすぐに迎撃して破壊してしまうか、機能停止させる必要がある。上空のドローンを迎撃するのは、電波を妨害(ジャミング)してドローンの機能を停止させるいわゆる"ソフトキル(soft kill)"と、対空機関砲のように上空のドローンを爆破させる、いわゆる"ハードキル(hard kill)"がある。

そんななか、英国のメディア「ザ・サン」がウクライナのバフムト近郊でロシア軍のドローンを探知して破壊するウクライナ軍の部隊を紹介していた。

機関銃や地対空ミサイルでロシア軍のドローンを迎撃しているウクライナ兵は「ロシア軍は毎日のように偵察ドローンや攻撃ドローンを飛ばしてきますので探知して迎撃しています」とコメント。

ロシア軍のドローンをタブレットのモニターで監視している別のウクライナ兵は「このタブレットでは、どのようなタイプのドローンがどのくらいのスピードで飛行していて、どこを標的にしているのかが概ねわかります。これらの情報を元に、ロシア軍のドローンが我々の領域に入ってきたら迎撃を行っています」と説明。動画の中で、ロシア軍の偵察ドローンで多く使用されている「Orlan-10」が飛行してきたので、爆破するように指示しているシーンもある。

別のウクライナ兵は「私たちの目的はロシア軍のドローンの機能を停止することです。ロシア軍はドローンが機能停止されることによって、遠隔地から何も見えなくなります。ロシア軍が上空からウクライナ軍の様子を監視、偵察できなくなることは、ウクライナ軍にとって非常に有利に働きます」と語っていた。

ロシア軍が使用している偵察ドローン「Orlan-10」や小型の民生品ドローンは、ジャミングでも機能停止できるが、最近の偵察ドローンには手榴弾などの武器や弾薬が搭載されている可能性があるので、機能停止させるだけでは上空からドローンが落下して地上で爆発する危険もある。そのため上空で撃破しておいた方が良い。また敵軍の監視・偵察ドローンに自軍の居場所を察知されると、その場所をめがけてミサイルが大量に発射されるので偵察ドローンを検知したらすぐに破壊させたり機能停止したりする必要がある。

▼バフムト近郊でロシア軍のドローンを探知して破壊するウクライナ具の部隊(英国メディアのザ・サン)

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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