賛否両論の小学校「7時登校」、しかし問題にすべきは企業側の姿勢である
大阪府豊中市が今年4月から始めた午前7時から児童を受け入れる事業について、賛否があるようだ。その声に向き合わなくてはならないのは、行政よりも企業側にあるのではないだろうか。
■7時登校は子どものためなのか
事業についての保護者へのアンケートを豊中市は行い、9月24日に結果を明らかにしている。それによると、「共働き世帯を中心に『とても助かる』などと好意的な意見が多く寄せられた一方、登校に保護者の付き添いが必要とされる運用は『不便だ』として改善を求める声が目立った」(『読売新聞』オンライン 9月25日付)という。
この流れでは、「もっと利用しやすいように登校時の保護者の付き添いをなくせ」といった方向に向かいかねない。子どもが1人でも安全に登校できるように通学路に監視員を配置しろ、という議論に向かう可能性もある。
しかし、問題は別のところにあるのではないだろうか。そもそも「7時登校」を保護者が望むのは、保護者が早朝に出社しなければならないからである。早朝に家をでるのに子どもを残しておけないので学校に行かせたい、というニーズのためだ。
保護者の出勤のために、子どもたちは行き場を失っていることになる。その救済策として「7時登校」は無意味ではない。
考えなくてはいけないのは、そのために子どもたちが望んでもいない早朝登校を強いられていることだ。子どもたちの健康にとっても問題があるとおもえるし、親子の貴重な朝の時間が奪われてしまっているという問題もある。
問題は子どもたちにあるのではない。問題は、子どもたちを早く家からだして朝早く出勤することを企業に強いられている保護者の側に問題がある。さらには、それを強いている企業側にこそ大きな問題がある。
子どもたちと朝食をいっしょにとり、学校に送りだせる「余裕」があれば、「7時登校」は必要ないはずだ。「余裕」が親子関係を豊かにし、企業にとっての生産性を上げることにもつながるはずである。
「7時登校」を定着、拡大させる議論ではなく、「7時登校」を強いることになっている企業の「働かせ方」を問題にし、議論すべきではないだろうか。