『#NETFLIX』のサーバ代金の1/6で整備された『#ハローワーク』の80億円サーバ
KNNポール神田です。
政府の歳出予算はいろんなムダな事業の積み上げでいくらでも計上される。たまたま発覚したことだが、ITでもっと『見える化』すればこの国のムダな歳出は『適正化』できるはずだ。まずは政府の歳入歳出をもっと『見える化』することによって、国民ひとりひとりが『 ITオンブズマン』となれる。
■たかが80億円、されど80億円
消えた自衛隊のステルス戦闘機 F-35Aは、一機あたり130億円する。それを42機取得なので5,460億円だ。そこから考えると厚労省のサーバー80億円って大した金額ではなさそうに見える。
しかし、歳出のコストは国民にとっての利益との相関関係に現れる。防衛省管轄の予算は4.9兆円なので11%に当たるコストが見合うかどうかだ。防衛省は、国家のセキュリティ予算でもある。厚労省予算は31兆円なので、80億円は0.00026%でしかない。
しかし、80億円を日本国民全員で使うとすると、国民ひとりあたりは67円。しかし、利用する母数となる完全失業者(160万人)一人あたりだと5,000円にもなる。
これを、自前で政府に入札できる業者だけで選定しているとするといくらでも、コストは跳ね上がってしまう。
■世界に動画配信するNetflixのサーバ費用は…450億円
https://diamond.jp/articles/-/199711
インターネットのトラフィックの15%を占めるNetflixのサーバ費用は、Netflixの売上(155億ドル:1.5兆円)の3%の現在の売り上げで当てはめてみると…450億円に相当する。
厚生省の中間サーバー80億円はNetflixのサーバ費用の1/6をかけている計算となる。
■Netflixがサーバをライバルのamazonに依存する理由
Netflixは、現在、Amazon Prime とサブスクリプション戦争で、過激なデッドヒートをくりかえしている。しかし、Netflixの心臓部であるクラウドサーバは、AmazonのAWSを使っているといるのだ。
AmazonとNetflixは、一方ではライバルでありながら、AmazonのAWS部門から見ると世界最大の顧客であるという IT事業モデルの究極の生存競争の生態系にある。米国のIT企業は、ライバル同士でも、別事業では密接な取引を共有するという運命共同体的な性格も持ち合わせている。それは、人材の流動化を考えると GAFAの人材は常に流動している。ロックアウト期間がすぎればライバル企業に、NDA案件は漏洩せずとも、人的なノウハウはお互いの事業で共有されている。シリコンバレーの歴史はそうやって、育てた企業に蹴落とされ、またその人材で助けられるという歴史を繰り返してきている。
■すべて自前でクラウド化しない日本のIT政策
『消えた年金』にはじまり、活用されない『マイナンバー』、政府のITシステムは、今日もまた巨大ITベンダーに発注されていく。同じようなしくみでも、『セキュリティ』や『堅牢化』などのいろんな理由をもとに、そこにある情報だけで判断され、システムが構築される。
政府の仕組みを米国のGAFA企業に依存するようなことは、絶対にありえないという意見もあるだろうが、Amazon AWSの必要な時だけ、スケーラブルに拡張できる仕組みと世界最大の効率化が図れるのならば、試験的に運用してみるという方法はありなのではないだろうか?まずは国民全員に影響のない『暗号化』した上での厚生省の『中間サーバ』の運用などは年間の運用費用が10億円あれば、何百年も運用できる。他のリソースにもっと配分できる。
何よりも、ロッキード社の F-35Aに国防を依存しているくらいならば、AWSのクラウドを利用するくらいはまったく問題ないと筆者は考える。むしろ、現在の政府のIT政策の予算のかけっぱなしのほうが問題であり、予算を消費するだけではなく、適正な予算なのかどうかと、そこで何がおこなわれているのかを国民が常に『可視化』できることのほうが重要だと考える。