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「食品ロス」と「フードロス」は同じ意味?それとも違う? #専門家のまとめ

井出留美食品ロス問題ジャーナリスト・博士(栄養学)
ビュフェで出された食事の食べ残し(筆者撮影)

「食品ロス」のことを指して「フードロス」と呼ばれることがある。「食品ロス」と「フードロス」は同じなのか、違うのか。

政府はフードサプライチェーンで発生する可食部のロスを「食品ロス」という呼称で統一している。

2019年10月に施行された法律「食品ロス削減推進法」でも「食品ロス」が使われている。

食品ロスを扱う国連のFAO(国連食糧農業機関)ではフードサプライチェーンの前半で発生するものを「food loss(フードロス)」、後半で発生するものを「food waste(フードウェイスト)」と呼んでいる。

ココがポイント

フードロスとは小売業者、食品サービス事業者、消費者を除く連鎖の中で食品供給者の判断や行動によって生じる食品の量や質の低下
出典:井出留美 2021/7/2(金)

日本語では「食品ロス」、英語では“Food Loss and Waste”と表現されるのがこれからは一般的になりそうです
出典:OZmall 2021/10/25(月)

「食品ロス」と「フードロス」は、厳密な意味では違いがあります。
出典:社会人の教科書

なるべくフードロスという言葉は使わない方が望ましいのかもしれません。
出典:NPO法人日本もったいない食品センター

エキスパートの補足・見解

「食品ロス」と「フードロス」の意味は異なる。

「食品ロス」はフードサプライチェーン全体で発生する可食部の損失を指す。

「フードロス(food loss)」はフードサプライチェーンの前半で発生するものを指す。


国連食糧農業機関(FAO)のSOFA(The State of Food and Agriculture, 2019)には次のように書いてある。

フードロス(Food Loss)とは、小売業者、食品サービス事業者、消費者を除く連鎖の中で、食品供給者の判断や行動によって生じる食品の量や質の低下

フードウェイスト(Food Waste)とは、小売業者、食品サービス事業者、消費者の判断や行動によって生じる食品の量や質の低下

日本政府が2024年12月に発表した食品ロス削減の第二次基本方針案には

『我が国が国際社会をリードできるよう、国際的な組織との連携を通じて国際展開を図ることも肝要である』

とある。

そうであれば、国際組織のFAOの呼び方に合わせるのが重要であろう。

「食品ロス」と「フードロス」の意味は異なる。

日本語では「食品ロス」

英語では「Food Loss and Waste」

と呼ぶのが妥当と考える。

食品ロス問題ジャーナリスト・博士(栄養学)

奈良女子大学食物学科卒、博士(栄養学/女子栄養大学大学院)、修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)。ライオン、青年海外協力隊を経て日本ケロッグ広報室長等歴任。3.11食料支援で廃棄に衝撃を受け、誕生日を冠した(株)office3.11設立。食品ロス削減推進法成立に協力した。著書に『食料危機』『あるものでまかなう生活』『賞味期限のウソ』『捨てないパン屋の挑戦』他。食品ロスを全国的に注目させたとして食生活ジャーナリスト大賞食文化部門/Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2018/食品ロス削減推進大賞消費者庁長官賞受賞。https://iderumi.theletter.jp/about

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