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結局、食品ロスは減っているのか、増えているのか #専門家のまとめ

井出留美食品ロス問題ジャーナリスト・博士(栄養学)
千葉県佐倉市 食品廃棄物リサイクル工場(写真:ロイター/アフロ)

2019年10月に日本初の食品ロス削減推進法が施行されてから5年経った。主要メディアで報じられる「食品ロス」関連の報道は、筆者がこの問題に関わり始めた2008年と比べて、2021年には50倍以上に増えた(G-Searchによる)。2015年に国連サミットで採択されたSDGsでは、世界の小売と消費レベルでの食料廃棄を「2030年までに50%削減する」数値目標が掲げられている。でははたして、日本の食品ロスは減っているのだろうか、それとも増えているのだろうか。事業系と家庭系に大きく分けて見てみたい。

ココがポイント

令和4年度は約472万トンと、前年度から約51万トン(約9.8%)減少
出典:環境省

内訳は、事業系が約43万トン(約15.4%)、家庭系が約8万トン(約3.3%)減少
出典:環境省

2030年度までに2000年度比で半減(547万トン→273万トン)するという事業系食品ロス削減目標を達成
出典:農林水産省 2024/6/21(金)

家庭から発生する家庭系食品ロス量は236万トン(前年度比▲8万トン)
出典:農林水産省 2024/6/21(金)

エキスパートの補足・見解

政府が発表した2022年度の食品ロス推計値は472万トンと、前年度から51万トン減少した。事業系と家庭系の内訳はそれぞれ236万トンで半々だった。

事業系は前年度より43万トン(15.4%)減少し、2030年までに2000年度比で半減させるという50%削減の目標を達成した。そのため、政府は2024年12月24日、目標を上方修正し、60%削減という新たな目標を掲げることを発表した。

家庭系は前年比で8万トン(3.3%)削減したが、事業系ほどの削減は見られなかった。

以上、全体的には削減傾向にあるものの、楽観視はできない。というのも、最新の値は2022年度で新型コロナウイルス感染症による時短営業や休業などの影響も考えられるからだ。

大手コンビニエンスストアに関しては、2020年9月2日、公正取引委員会が「一店舗あたり年間468万円相当の食料を廃棄している」と発表した。この金額は、民間の給与所得者の平均年収460万円(国税庁発表、令和5年度)に相当する、大きな額だ。

2024年に発表された国連の食品ロス関連報告書では、日本が計測を続けていることを評価する表現もあった。引き続き、注視していきたい。

食品ロス問題ジャーナリスト・博士(栄養学)

奈良女子大学食物学科卒、博士(栄養学/女子栄養大学大学院)、修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)。ライオン、青年海外協力隊を経て日本ケロッグ広報室長等歴任。3.11食料支援で廃棄に衝撃を受け、誕生日を冠した(株)office3.11設立。食品ロス削減推進法成立に協力した。著書に『食料危機』『あるものでまかなう生活』『賞味期限のウソ』『捨てないパン屋の挑戦』他。食品ロスを全国的に注目させたとして食生活ジャーナリスト大賞食文化部門/Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2018/食品ロス削減推進大賞消費者庁長官賞受賞。https://iderumi.theletter.jp/about

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