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【乾癬×メンタルヘルス】乾癬患者の不安症状に対する心理療法の効果とは?最新のメタ分析で明らかに!

大塚篤司近畿大学医学部皮膚科学教室 主任教授
Ideogramにて筆者作成

【乾癬患者の不安症状に対する心理療法の効果】

乾癬は皮膚に炎症を生じる慢性の自己免疫性皮膚疾患で、患者さんの約2〜4%が罹患していると言われています。乾癬は皮膚症状だけでなく、強い痒みを伴うことが多く、日常生活に大きな影響を及ぼします。さらに、乾癬患者さんの中には、不安症状や抑うつ症状を抱える方が少なくありません。

そこで、乾癬患者さんに対する心理療法の効果について、複数の研究を統合的に解析したメタ分析の結果が報告されました。その結果、心理療法を受けた乾癬患者群では、コントロール群と比較して、不安症状が有意に改善したことが明らかになったのです。

心理療法としては、認知行動療法(CBT)や、マインドフルネス療法、催眠療法、音楽療法などが行われていました。中でもCBTは不安症状の軽減に特に効果的であることが示唆されています。CBTでは、ネガティブな思考パターンを修正し、ストレスへの対処法を学ぶことで、不安症状の改善を図ります。

【心理療法は抑うつ症状や生活の質の改善にはつながらず】

一方で、今回のメタ分析では、心理療法による抑うつ症状や生活の質の改善効果は認められませんでした。この結果について、筆者の見解を述べさせていただきます。

乾癬患者さんの抑うつ症状は、皮膚症状による身体的な影響だけでなく、乾癬に伴う社会的スティグマなど複合的な要因が関与していると考えられます。また、生活の質は身体的、心理的、社会的な側面が複雑に絡み合っており、心理療法だけでは十分に改善できない可能性があります。乾癬患者さんのメンタルヘルスを向上させるには、皮膚科と精神科の連携など、多角的なアプローチが必要不可欠であると考えます。

【乾癬治療において心理的ケアの重要性が浮き彫りに】

今回のメタ分析により、乾癬患者さんの不安症状に対する心理療法の有用性が示されました。しかし同時に、抑うつ症状や生活の質の改善には至らなかったという課題も浮き彫りになりました。

乾癬は単なる皮膚の病気ではなく、患者さんの心身に多大な影響を及ぼす疾患です。乾癬の治療において心理的ケアが欠かせないと考えています。乾癬患者さんのメンタルヘルスを守るためには、皮膚科と精神科の緊密な連携が今後ますます重要になるでしょう。

乾癬に悩む患者さんには、皮膚症状の治療だけでなく、積極的に心理的サポートを求めることをおすすめします。皮膚科主治医に相談し、必要に応じて心理療法を併用することで、乾癬とうまく付き合いながら、充実した日常生活を送っていただきたいと願っています。

参考文献:

Wei W, Zhang B, Liu T, Lu T. Effect of Psychological Intervention on Quality of Life Among Patients with Psoriasis: A Meta-analysis. International Journal of Behavioral Medicine. 2024;31:911–22. https://doi.org/10.1007/s12529-024-10315-0.

近畿大学医学部皮膚科学教室 主任教授

千葉県出身、1976年生まれ。2003年、信州大学医学部卒業。皮膚科専門医、がん治療認定医、アレルギー専門医。チューリッヒ大学病院皮膚科客員研究員、京都大学医学部特定准教授を経て2021年4月より現職。専門はアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患と皮膚悪性腫瘍(主にがん免疫療法)。コラムニストとして日本経済新聞などに寄稿。著書に『心にしみる皮膚の話』(朝日新聞出版社)、『最新医学で一番正しい アトピーの治し方』(ダイヤモンド社)、『本当に良い医者と病院の見抜き方、教えます。』(大和出版)がある。熱狂的なB'zファン。

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