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妊娠中に飲んではいけない・注意すべき薬とは? #専門家のまとめ

重見大介産婦人科専門医 / 公衆衛生学修士 / 医学博士
(写真:イメージマート)

今年12月に、妊娠中または妊娠している可能性のある女性に対して処方が禁じられている新型コロナウイルスの飲み薬について、薬を飲んだ後に妊娠が発覚したケースが70件以上あったことが厚生労働省から公表されました。

今回は、妊娠中に飲んではいけない・注意すべき薬についてまとめます。

ココがポイント

コロナ治療薬のうち、「ゾコーバ」と「ラゲブリオ」は妊婦が使うと胎児に奇形が生じる可能性がある。
出典:朝日新聞デジタル 2024/12/4(水)

ステロイド外用薬は、妊娠中も比較的安全に使用できますが、強力なものは避け、必要最小限の使用にとどめるべきです
出典:Yahoo!ニュース エキスパート 大塚篤司 2024/6/15(土)

【妊娠中に勝手に使用するべきではない薬】・ステロイド点鼻薬・ロイコトリエン受容体拮抗薬(薬剤名の例:オノン、シングレア)
出典:Yahoo!ニュース エキスパート 重見大介 2024/2/22(木)

エキスパートの補足・見解

妊娠中に飲んではいけない・注意すべき薬は、実は種類が結構多いのですが、なかなか網羅して書かれている資料がありません。

上記では

・一部のコロナ治療薬

・ステロイド

・一部の花粉症薬

について紹介しました。薬の使用には十分ご注意ください。

なお、産婦人科の診療ガイドラインでは、以下のような薬が「注意すべき薬」に挙げられています。(ごく一部のみ記載しています)

・バルプロ酸ナトリウム(抗てんかん剤・片頭痛治療剤)

・チアマゾール(抗甲状腺剤)

・ビタミンA(大量の場合)

・非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)(消炎鎮痛剤)

・ファビピラビル(抗インフルエンザウイルス薬)

妊娠中は、基本的に自己判断で薬を使うのではなく、主治医や薬剤師に相談してから使うようにしましょう。
妊娠時期によっても注意すべき薬が変わってきますし、治療のために必要な薬の場合には注意しながらでも使用を継続することがあります。

寒い季節では感冒やインフルエンザが流行しますし、痛み止めや花粉症の薬も使いたいシーンは少なくないと思います。妊娠中の皆さんが少しでも快適な生活を送れるよう願っています。

産婦人科専門医 / 公衆衛生学修士 / 医学博士

「産婦人科 x 公衆衛生」をテーマに、女性の身体的・精神的・社会的な健康を支援し、課題を解決する活動を主軸にしている。現在は診療と並行して、遠隔健康医療相談事業(株式会社Kids Public「産婦人科オンライン」代表)、臨床疫学研究(ヘルスケア関連のビッグデータを扱うなど)に従事している。また、企業向けの子宮頸がんに関する講演会や、学生向けの女性の健康に関する講演会を通じて、「包括的性教育」の適切な普及を目指した活動も積極的に行っている。※記事は個人としての発信であり、いかなる組織の意見も代表するものではありません。

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