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流れ星 5年目の単独ライブツアーは過去最大規模「今だからこそベタなお笑いをやるべき」

田中久勝音楽&エンタメアナリスト
流れ星 左からちゅうえい(ボケ担当)、瀧上 伸一郎(ツッコミ担当)
流れ星単独ライブツアー「流星乱舞」メインビジュアル
流れ星単独ライブツアー「流星乱舞」メインビジュアル

幅広い年齢層、特に子供、女子中高生から絶大な支持を得ているお笑いコンビ・流れ星。サンリオ「リトルツインスターズ」(キキ&ララ)とのコラボグッズが販売されるなど、ますます注目を集める二人。そんな彼らの5回目の単独ライブツアー『流星乱舞』が、今年も7月から二人の地元・岐阜を皮切りに、全国14か所で14公演行われる。単独ライブを行うお笑い芸人は増えているものの、流れ星のように全国ツアーを開催、さらに規模を拡大しながら5年も続ける事ができるのは、ほんのひと握りの芸人だ。老若男女を惹きつける彼らのライブの魅力に迫るべく、インタビューした。

単独ライブツアーは流れ星の「幹」であり「基地」

――5回目の単独ライブツアー「流星乱舞」が、今年も7月からスタートしますが、お二人の中でこのライブツアーはどういう位置づけなのでしょうか?

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瀧上 根っこの部分ですね。ちゅうえいはちゅうえいで、“ギャグおじさん”としてのキャラクターで子供達に人気があったり、僕は僕で“ちゅうえいじゃない方”とか言われて、少しずつ知ってもらえるようになってきて、個々の活動も増えてきました。でもこの単独ライブでは、同じ方向を見て進むという部分では、流れ星の幹といえると思います。

ちゅうえい 基地ですよね。流れ星を見失わない場所。個々に活動をしていても、戻ってくれば流れ星を再確認できる場所です。

――このライブツアーも5年も続いていると、ファンの中では夏の風物詩になっていますね。

ちゅうえい そうですね、もう花火の夏、祭りの夏、流れ星単独ライブツアーの夏、と言われてもいいと思っています。

瀧上 昔でいうと「東映まんがまつり」みたいな、ああいう存在になってくれるといいなと思っています。

「誰もが楽しめるアミューズメントパークのようにしたい」(瀧上)

――毎回コンセプトはどうやって決めるのでしょうか?

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瀧上 真ん中にある部分はブレていなくて、お笑いの単独ライブなんて観た事がない人でも、楽しめるような作りにしたいといつも思っています。老若男女からファミリー、お笑い初心者の方まで、誰もが楽しめるアミューズメントパークのようにしたい。

ちゅうえい 難しい事を考えずに笑っていただければそれでいいんです。そこからお笑いに興味を持ってもらって、より本格的な千鳥さんとかの漫才を観に行ってもらえれば。

瀧上 いやいや(笑)

ちゅうえい 僕らはお笑いの入口的存在になれればいいんです。そこからどれだけ枝分かれしていってもいいんですけど、入口は流れ星、的な感じだと嬉しいです。

瀧上 みんな一度は「アンパンマン」を通るように(笑)。

――ネタはお二人で考えているのでしょうか?

ちゅうえい 主に俺が…。

瀧上 俺が作ってるんだよ!こいつ器だけなんですよ(笑)。基本は僕と、ライブの時だけ赤嶺総理という、よしもとの女性芸人にお願いをして、一緒に作ってもらっています。僕らはかれこれ芸歴が18年目になるのですが、彼女はまだ3年目で、1年目の時に初めてお願いをしました。

――当時キャリア15年目のお二人が、1年目の赤嶺総理にお願いした理由は?

瀧上 ある大喜利番組に一緒に出た時に、彼女が若手枠で実力で勝ち上がってきて、そのまま決勝まで残って、すごいなと思ったのがきっかけです。“大喜利力”って俺達にはないものだし、これくらいの芸歴になると頭でっかちになって、人の言う事を聞かなくなるので、逆の発想で、一年目の若手にお笑いを教わるのが面白いかなと思いました。実際刺激を受けていますし、今は俺がなんとなく骨組を作って、赤嶺総理と一緒に肉付けしていくという感じです。後々聞いてみると彼女はNHKの「ケータイ大喜利」で、数少ないオオギリーガーレジェンドになっていたり、『オードリーのオールナイトニッポン』のハガキ職人をやっていたり、凄い才能の持ち主です。

「今は“ベタ”な事を避け、"芯を食った"お笑いをやる人が少ない。だったら自分達はそっちをやるべき」(瀧上)

――年齢関係なくウケる、わかりやすいものというのが、このライブの王道なのでしょうか?

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瀧上 それはありますね。昔はマニアックなお笑いの方がカッコイイと思って、尖っていた時期もありました。でも今は世の中全体が“ベタ”な事を嫌がって、「それってベタじゃん」って、ベタを揶揄するというか、避けてきている流れがあると思います。俺らもそっち側にいましたが、ある時気づきました。みんな“ベタ”以外の、サイドメニュー的な事ばかりやっていて、結局“芯を食った”笑いって、誰もやっていないなと。だから子供達がYouTubeでドリフのコントを観て面白がったりして、今、そっちのお笑いをやる人が少ないんだと思いました。だったら“ベタ”な事を目指した方が、需要があるはずだと。

ちゅうえい テレビだとカメラの前でネタをやって、それを視聴者が観てくれますが、でも俺らがやっているのは、わかりやすいお笑いなので、目の前にお客さんがいると、すごくウケてくれます。ネタ番組でも、お客さんを入れている番組だと、むちゃくちゃウケるんですけど、カメラの時だとそんなにウケないという(笑)。お客さんの前で笑いを取る自信はあります。だから単独ライブや営業は、得意です。

――逆にテレビカメラの前でやる時は、今でも若干緊張したり…。

ちゅうえい 若干じゃないです、むっちゃ緊張します(笑)

瀧上 単純にダメ芸人じゃん(笑)。

ちゅうえい 目の前にいるお客さんを沸かせる力は、「アンパンマン」並だと思っています(笑)。それくらい楽しんでもらえる単独ライブツアーだと思います。あとはこいつがネタを作るだけなので、待っててください(笑)。

瀧上 こいつは、ギャグマシンとか言われていますけど、最近それも作らなくなって、俺がほとんど作っています。

「このライブツアーをやり続けているからこそ、テレビを通しても熱量を届ける事ができるのかもしれない」(ちゅうえい)

――流れ星の漫才を見てると、予測不能のギャグを繰り出すちゅうえいさん、それを瀧上さんが、うまくつっこんで、料理するという感じですが、瀧上さんがちゅうえいさんのギャグを作っているんですね。

ちゅうえい ま、ギャグの枯渇ですよね(笑)。

瀧上 去年なんてお客さんにギャグを募集して、そのギャグをやったり、ギャグ界の佐村河内と言われています(笑)。

ちゅうえい ひとつ特技があって、人が作ったギャグでも、まるで自分が考えたようにできます。才能でしょうね。

瀧上 それ、才能でもなんでもないわ。才能がないんだよ。

――二人の芸はテレビで見ていると、その熱量の高さが伝わってきますよね。ライブではさらに伝わるという事ですよね。

ちゅうえい もしくはライブをやり続けているからこそ、その熱量をテレビを通して伝える事ができているのかもしれません。

――単独ライブツアーでは、ネタはどんどん変わっていく感じですか?

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瀧上 初日と最終日とは全然違います。漫才で、しかも小道具がないので、変えたい放題というか。オチが全く変わっているネタもあります。最初の方は最初の方で、粗削りなところも楽しんでいただけるようにはしていますし、当然ご当地ネタも織り交ぜ、全公演見ても楽しめるはずです。

ちゅうえい 他の方のお笑いライブに比べると、お客さん参加型だと思うので、観終わった後は、ストレス発散ができていると思います。

瀧上 ネタだけではなく、会場に入った瞬間から楽しんで貰えるような仕掛けを考えています。

ちゅうえい それとプレミアムシート(¥10,000)というのがあって、最前列に座れて、終演後に楽屋に招待して、僕達とお話したり、サイン入りのオリジナルグッズがついています。今までチケット代が高いというクレームは、一度もございません(笑)。

「このライブツアーでは、老若男女を楽しませる事を追求しているので、それが色々なイベントに呼ばれた時に生きる」(瀧上)

「地方によって笑いのツボ、タイミングが違う。その中で共通してウケるものが本当に面白いものだと思う」(ちゅうえい)

――もう5年も続いてると、このツアーは二人のライフワークと言ってもいいですね。

ちゅうえい 準備を含めると、このツアーに一年の半分は費やしていると思います。これがメインで、一年が動いている感じです。

瀧上 メインのわりには、この人は全然ギャグを作らないですけどね。

――このライブツアーから得られるもので、一番大きいものは何ですか?

瀧上 やはり老若男女を楽しませる事を目標として続けているので、それが経験として生きるのが、色々なイベントに呼ばれた時です。どこで、どんな年齢層のお客さんでも、楽しませる事ができます。

ちゅうえい ツアーで感じるのは、その地方によって笑いのツボ、タイミングが違う事で、その中で共通してウケるものが、本当に面白いものなんだろうなと思います。その土地土地で色々と勉強になります。

――ツアーの規模もどんどん大きくなっていて、会場も大きくなっていますが、ネタを作る時に会場の大きさというのは関係してくるのでしょうか?

瀧上 過去最大の渋谷公会堂(2,000人)の時は、反応の返りが波のように伝わってきたので、小さい会場の時と比べると、ややテンポを落としましたが、大きな会場での醍醐味は、よりお客さんと一緒に楽しめる漫才ができる事です。

――中高生を始め、若いファンが多いのが強みですよね。

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瀧上 やっぱりちゅうえいが、人間というより小動物的な感じがするのがいいんじゃないでしょうか(笑)。

ちゅうえい でも若いファンの人は怖い部分もあって、一生ついていきます!って言ってくれても、すぐに目移りしてしまいます。そういう意味でも、お笑いの入口として僕らを通っていってくれると嬉しい。昔ライブに来てくれた人が、久々にライブに子供連れで来てくれたり、二世代で楽しんで下さる方もいます。

BSフジ「流れ星」特設ページ

音楽&エンタメアナリスト

オリコン入社後、音楽業界誌編集、雑誌『ORICON STYLE』(オリスタ)、WEBサイト『ORICON STYLE』編集長を歴任し、音楽&エンタテインメントシーンの最前線に立つこと20余年。音楽業界、エンタメ業界の豊富な人脈を駆使して情報収集し、アーティスト、タレントの魅力や、シーンのヒット分析記事も多数執筆。現在は音楽&エンタメエディター/ライターとして多方面で執筆中。

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