Yahoo!ニュース

うるう年の今年、2月29日(閏日)に見たい作品3選!【恋愛コメディ・歴史映画・宇宙のロマン】

渡辺晴陽作家・脚本家/エンタメアドバイザー
地球が太陽の周りを回る公転と、地球自体が回転する自転の関係が閏年の原因

今年、2024年は閏(うるう)年で、通常は365日のはずの1年が366日あります。その増えた一日が本日2月29日(閏日)です。

と言うことで、今回は閏年に見たい映画を3つ紹介します。

今年はうるう年のため2月が29日まであり、一年は366日になっている
今年はうるう年のため2月が29日まであり、一年は366日になっている

宇宙のロマンと人間ドラマ

宇宙兄弟

2012年に公開された邦画作品で、小山宙哉さんによる同名漫画を原作としています。主な出演は小栗旬さん、岡田将生さんです。

兄の南波六太(演:小栗旬)と弟の日々人(演:岡田将生)は幼いころに一緒に宇宙飛行士になる約束をしていますが、実際に宇宙飛行士になれたのは日々人だけでした。そして、日々人が日本人初の月面歩行者となる偉業へと向かっているころ、六太は会社をクビになってしまいます。

なかなか再就職が決まらない六太のもとに、一通の封筒が届きます。それは、宇宙飛行士候補者の選考試験の書類審査を通過したという知らせでした。弟と一緒に宇宙に行くという約束をあきらめていた六太でしたが、弟の日々人はまだその夢をあきらめておらず勝手に六太を宇宙飛行士の選抜にエントリーさせていたのです。
宇宙に旅立つ日々人に「先に行って待ってる」と言われた六太は、もう一度宇宙を目指すことを決意し、宇宙飛行士選考試験に挑みます。

閏年に見たいポイント

日頃、季節や時間は人間のために作られたかのように感じている人も多いと思います。しかし実際には、1日の長さや1年の日数は、地球や太陽の動きで決まっています。

地球は約一年の時間をかけて太陽の周囲をぐるりと一周します。ですが、その時間は365日よりも多く366日よりも少ないため、一年を365日としていると徐々にずれが発生します。それが4年で約1日分となるので、ほぼ4年に1回ある閏年に一日増やすことで修正しているのです。

つまり、閏年は単なる一日多い年ではなく、太陽と地球、公転と自転の関係から生じるズレを修正する年なのです。
そんな閏年に、宇宙のロマンに思いを馳せてみてはいかがでしょうか?

宇宙と聞くと、ついフィクションの世界みたいに感じてしまいます。ですが、世の中には六太や日々人のように宇宙を目指す人たちが実際にいて、進学や入社試験のような極めて現実的な選考で選ばれて宇宙飛行士となり、宇宙に旅立っているのです。そんなことを思いながら見ると、現実にもまだまだ自分の知らない面白い世界があるのだと気づかされます。

既刊43巻でアニメ版でも99話もある内容を2時間ほどで描いているため、終盤がかなり駆け足ですが、映画としてはしっかり完結しています。
映画だけでは物足りなかったという方は、アニメや原作漫画をチェックしてみるのもオススメです。

宇宙飛行士になるための倍率は、なんと2000倍以上とのこと。なお、単純比較はできませんが東京大学で倍率が3~4倍程度だそうです
宇宙飛行士になるための倍率は、なんと2000倍以上とのこと。なお、単純比較はできませんが東京大学で倍率が3~4倍程度だそうです

新たな暦を作り上げようとする碁打ちの物語

天地明察

こちらも2012年に公開された邦画作品です。原作は冲方丁さんの同名小説で、主演は岡田准一さんです。

江戸時代、囲碁棋士の安井算哲(演:岡田准一)は、天文学や算術も得意としていました。そんな算哲を見込んだ会津藩主の保科正之は、算哲に日本各地で北極星の位置を確認する「北極出地」という仕事を任せます。

北極出地をするうちに算哲は、日本で採用されている暦(こよみ:カレンダーのこと)は800年も前に唐から伝わった宣明暦であるため、実際の暦(≒年、日数)とずれてきていることを知ります。
江戸時代は毎日の吉凶を知る(占いのようなこと)ために暦はとても大切なもので、ズレがあるのは大問題でした。そこで算哲は正しい暦を探し求めます。

閏年に見たいポイント

今は世界的に統一されたカレンダーがあり、一年が365日なのも、4年に1度の閏年も、当たり前のことです。ですが、かつては国や地域や時代ごとに様々な暦があり、閏年の有無や考え方も違っていたそうです。

本作の主人公である安井算哲(別名:渋川春海)は江戸時代前半に実在した人物です。算哲は当時の日本で使われていた暦にズレがあることに気付き、ズレを修正した正しい暦を模索しました。

本作を見れば、毎日の時間の流れや、一年の月日、それらがとても不思議なものに感じられるはずです。
この機会に、いつも何気なく眺めているカレンダーの奥深さについて考えてみるのもいいのではないでしょうか?

本作は内容的に少し地味ですが、「暦」というたった一つのことに情熱を注ぐ算哲の生き方には、きっと何かを感じられると思います。

ちなみに、閏年は基本的に4年に1回ありますが、実は100年に一度(西暦が100で割り切れる年)は中止になります。さらに400年に一度(西暦が100で割り切れるが400でも割り切れる年)は中止されなくなり閏年になります。そうしなければ、暦がズレてしまうためです。

宣明暦のズレにしても、この閏年のズレにしても、ロケットもコンピュータも無い時代に発見されたものです。見つけ出した偉人たちは、一体どんな頭脳をしていたのでしょうか?

算哲は月食や日食を言い当てます。ロケットや人工衛星のように宇宙から観測できる機器のないなか、限られた地点からの観測と計算によって日食や月食を当てることができるのもすごいですね
算哲は月食や日食を言い当てます。ロケットや人工衛星のように宇宙から観測できる機器のないなか、限られた地点からの観測と計算によって日食や月食を当てることができるのもすごいですね

4年に1度、女性から男性にプロポーズできる日

リープ・イヤー(LEAP YEAR)

2010年の映画です。男性がするものとされているプロポーズですが、「4年に1度の閏日(2月29日)だけは女性が男性にプロポーズしてもいい」というアイルランドの伝承を軸に展開される恋愛コメディ作品です。

主人公のアンナは、長い期間交際しているジェレミーからプロポーズがないことにやきもきしています。そんななか、ジェレミーは仕事でアイルランドのダブリンに旅立ちます。

アンナはジェレミーを追いかけてアイルランドに行き、伝承に則って2月29日に自分からプロポーズしようと考えます。しかし、嵐のため飛行機は目的地よりも手前で降りてしまいます。

それでもダブリンを目指すアンナは、アイルランドの片田舎にあるパブで店主のデクランと知り合い、彼の車でダブリンに向かおうとします。ところが不運が続き、なかなか目的地にたどり着けず、デクランとの喧嘩も絶えません。振り回されっぱなしのアンナは、無事にジェレミーにプロポーズして幸せな結婚生活を手に入れることができるのでしょうか?

閏年に見たいポイント

先述の2作は宇宙や暦などちょっと難しいテーマでしたが、本作はそのものずばり閏年の映画です。なお、タイトルのリープ・イヤーも、閏年という意味の英語です。

閏年の映画ですから、閏年に見るのにピッタリなのはもちろんのこと、映画としてもなかなか魅力的です。

まず、アイルランドの田舎の映像がとても美しく、世界遺産の特集を見ているような気分で楽しめます。
そして、アンナの旅は悲惨なくらいに空回りしていて笑えます。

アンナを案内するデクランのキャラクターも皮肉屋で面白いです。アンナが自分のカバンを「ルイ・ヴィトンのバック」と言ったのを聞いて、アンナがカバンに名前をつけているのだと思い込み、カバンを「ルイ」と呼び始めるなど、どこかチャーミングな言動も見られます。

作中でアンナたちは大変な目に遭いますが、コメディとして笑える範囲で、本当に深刻なことにはなりません。
深いテーマやメッセージ性を求める方には多少物足りないかもしれませんが、閏年のロマンチックな伝承を描いた映画ですので、家族とでも友達とでも恋人とでも、肩の力を抜いて気楽に見られます。

作中に出てくるアイルランドの風景は、まるでファンタジーの世界のような絶景ばかりでした
作中に出てくるアイルランドの風景は、まるでファンタジーの世界のような絶景ばかりでした

閏年で増えるのは本日2月29日(閏日)ですが、今日は忙しいという方もご安心(?)ください。今年中なら明日以降も閏年であることには変わりありません。まだまだ閏年は続きます。
ということで、もしも上記の作品が気になった人は、ぜひ本年中にチェックしてみてくださいね!

作家・脚本家/エンタメアドバイザー

国立理系大学院卒、元塾経営者、作家・脚本家・ライターとして活動中。エンタメ系ライターとしては、気に入ったエンタメ作品について気ままに発信している。理系の知識を生かしたストーリー分析や、考察コラムなども書いている。映画・アニメは新旧を問わず年間100本以上視聴し、漫画・小説も数多く読んでいる。好みはややニッチなものが多い。作家・脚本家としては、雑誌や書籍のミニストーリー、テレビのショートアニメや舞台脚本などを担当。2021年耳で読む本をつくろう「第1回 児童文学アワード」にて、審査員長特別賞受賞。

渡辺晴陽の最近の記事