平成の宮城の気象災害を振り返る
きょう4月30日で平成が終わり、あすからは令和という新しい時代になります。そこで一つの時代の節目として、平成の宮城県においてどのような気象災害があったのかを振り返ろうと思います。
日本は古くから災害に見舞われてきた国です。平成という時代においてもそれは変わることはなく、宮城県でも大きな気象災害が何度も発生しました。今回はその中から代表的なものを2つを取り上げ、平成を振り返ろうと思います。
平成27年9月 関東・東北豪雨
平成27(2015)年の9月10日から11日にかけて、日本列島は台風18号から変わった低気圧と台風17号に挟まれ、その2つの間に位置した関東~東北地方で記録的大雨となりました。
10日には茨城県内の鬼怒川で堤防が決壊、翌日にかけては宮城県でも各地で観測史上1位を更新するような大雨が降り、渋井川など11河川23か所で堤防が決壊して甚大な被害が発生しました。
この時、宮城県全域に大雨の特別警報が発表されましたが、大雨特別警報の発表基準は「50年に一度」の雨量となっています。
他にも大きな被害の出た大雨はありましたが「50年に一度」という物差しに基づくならば、一つの時代を代表する大雨と言えるでしょう。
平成5年 「平成の米騒動」
平成5(1993)年の夏は、たびたびオホーツク海高気圧が出現してやませと呼ばれる冷たい風が吹き込みました。これにより東北の太平洋側は日差しが少なく気温の低い、不順な天候の夏になりました。
東北地方では水稲の大規模な生育遅れなどが発生しました。特に宮城県では米の主力品種であったササニシキが大打撃を受け、宮城県の米の作況指数はわずか37にとどまりました。この冷夏による米の不作は、日本政府がタイ米を緊急輸入したことなどで覚えている方もいらっしゃるかもしれません。
冷害は、大雨や台風と違って直接人命を奪うようなものではないものの、産業に与える影響は甚大です。
令和元年の夏もオホーツク海高気圧に注意
今後はこうした災害が起こらないことを願うことばかりです。
と言って締めたいところですが、今年の夏もやませを吹かせるオホーツク海高気圧の動向に注意が必要です。
4月25日に発表された5~7月の3か月予報によれば、東北地方の気温は「平年並み」という予想になっています。ただ今年は、フィリピン付近で積乱雲の発生が少ない予想となっていて、こうした時には高気圧・低気圧の出現位置などが変わり、オホーツク海高気圧が現れやすい傾向があるとのことです。
残念ながら3か月予報ではオホーツク海高気圧の出現について正確に予想できないため「平年並み」という予想になってはいますが、農家の方などは最新の1か月予報などにご注意ください。
【参考資料】
宮城県:みやぎ水害記録集(平成27年9月関東・東北豪雨)
仙台管区気象台:コラム 平成5年(1993年)夏の低温と日照不足
気象庁地球環境・海洋部:全般季節予報支援資料 3か月予報 2019年4月24日