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勝率5割に到達した滋賀レイクスターズ ショーン・デニスHCが就任3年目で味わう至福の時

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
就任3年目を迎えた滋賀レイクスターズのショーン・デニスHC(筆者撮影)

【三遠に2連勝し勝率5割に到達】

 滋賀レイクスターズ(以下、レイクス)が前節で三遠ネオフェニックスをホームで迎え撃ち、80対70、83対67と連勝を飾り、今シーズンの通算成績を19勝18敗とし勝利5割を上回った。

 これまでBリーグ発足以来西地区の下位に低迷してきたレイクスだけに、チーム広報によれば12月上旬以降にチームが勝率5割に到達したのは初めてのことだという。

 これにより、順位も京都ハンナリーズと入れ替わり地区3位に浮上。チームが悲願としてきたチャンピオンシップ進出も、少しずつではあるが可能性が出てきた。

【シーズンを重ねながら成長を続ける】

 今シーズンのレイクスも、開幕当初は決して思い通りのスタートを切れたわけではなかった。

 10月を3勝7敗に終えると、11月以降もサンロッカーズ渋谷のような強豪チームに勝利する一方で、下位チームでの取りこぼしも多く、5勝5敗と一進一退の状態で2019年を終えた。

 しかし年が明けると、1月は天皇杯でベスト4入りを果たすとともに、公式戦も6勝1敗と勝ち越しに成功。2月もここまで3勝1敗と勝ち星を積み重ね、現在に至っている。

 今シーズンで就任3年目を迎えるショーン・デニスHCは、現在のチーム状態をどのように分析しているのだろうか。

 「少し前にも勝率5割を狙えるチャンスはあったが実現できなかった。今回このように到達できて本当に嬉しく思っている。

 我々はシーズンを過ごすにつれ、チームが着実に良くなっているのを実感できている。(外国籍選手の)3人が加わってから、彼らを中心に日本人選手とともにチームがまとまり始めていった。この勢いをしっかり形づくっていきたいし、自分たちがしたいプレースタイルを着実にできるようにしていくことに集中していきたい」

試合中も選手たちが自ら集まってコミュニケーションを欠かさない(筆者撮影)
試合中も選手たちが自ら集まってコミュニケーションを欠かさない(筆者撮影)

【選手をまとめた外国籍選手たち】

 デニスHCが指摘するように、ここ最近のレイクスは傍目から見ていても、チームとしての一体感が伝わってくる。

 試合中はコート上で選手たちがコミュニケーションを欠かさないし、ベンチに戻ってもコーチを交え常に言葉を交わしている。皆が一丸となって勝利を目指して戦っている姿が滲み出ている。

 もちろん選手たちも、例年以上の一体感を実感できている。今シーズンでレイクス3年目(特別指定選手期間を入れると4年目)の高橋耕陽選手は以下のように説明している。

 「(シーズン)前半戦に比べてチームが1つになっているというか、個でバスケをしていないと思うんですよ。そこが一番大きいんじゃないかなと思います。

 去年、おととしと比べて、分からないことだとかコーチに聞く回数がみんな増えたし、やっぱ外国人選手が積極的に日本人に声をかけてくれたり、その日試合がダメだったりした時は(選手)全員を集めたりしてくれるので、それは前にはなかったことです。

 僕もすごく質問するし、こうして欲しいとかも言うし、逆に向こうからもこうして欲しいとか言ってくるので、すごくいい関係が保てているので、僕的にはすごく助かってますし、すごくいいと思います」

【目標は自分たちが目指すバスケを完遂するメンタリティ】

 高橋選手のみならず、デニスHCも指摘しているように、ヘンリー・ウォーカー選手に加え、ジェフ・エアーズ選手、クレイグ・ブラッキンズ選手たちが途中加入した辺りから、チーム内に垣根無く話し合える環境が整っていったようだ。

 チームキャプテンの狩野祐介選手も、今シーズンのチームは選手だけのミーティングを頻繁に行っていることを明らかにしている。

 さらにデニスHCは今シーズンを「これまでのコーチ人生の中でも最高の時を過ごしている」と評し、残りシーズンの目標について以下のように話している。

 「(チャンピオンシップ進出は)フロントオフィスやファンが注目しているところだと思うが、我々はあまりそこを意識せず、自分たちが目指すバスケができるようにしていくことが最も重要なことだ。

 それにはあまりスコアボード(もしくは順位表)を気にせず、自分たちのやるべきことをやれば、我々は負けることはないということを認識させながら、安定的にできるようにするというメンタリティを植え付けることだと思う。それができるようになれば、その産物としてチャンピオンシップに繋がっていくだろう。

 今我々と強豪チームの違いは、選手たちが自分たちのバスケをすればどんなチームとも対等に戦えるという信念を持っているか、いないかだけだと思っている」

 残り試合は23試合。果たしてレイクスはどんなかたちでシーズンを終えるのだろうか。彼らの更なる成長に注目したいところだ。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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