V2へ視界良好。悲願の「日本一」に向けて邁進する信濃グランセローズ【ルートインBCリーグ】
8球団の大所帯で日本最大の独立リーグとなったルートインBCリーグ。旧西地区の4球団が新リーグを結成して抜けた昨シーズンからは、南北2地区制のフォーマットで優勝を争っている。
かつては前後期制を採用し、ポストシーズンを充実させていたが、昨年から1シーズン制となり、両地区60余試合のペナントレースの勝者がリーグチャンピオンシップを争っている。その中で昨年2度めの優勝を飾ったのが、長野県を本拠とする信濃グランセローズだ。
8月終わりには地区優勝を決めた昨年同様、今シーズンも北地区をリードし、2位以下を大きく突き放し、ペナントレースを突き進んでいる。海の日という祝日をj含んだ今週末は、元メジャーリーガー・岩村明憲監督率いる福島レッドホープスを迎えての3連戦。昨日は土曜に続いて長野市の長野県営球場でのデーゲームが行われた。
気温35度を超える中、行われた試合には早くからからファンが詰めかけ、開門直前には選手たちによるトークショーが行われた。
平日、水曜にも試合があり、投手事情が苦しい中、リリーフピッチャーの吉岡豊司(埼玉大)を先発マウンドに送ってきた。独立リーグ3年目の右腕は、福島打線に3安打3四死球を与えながらもなんとか無失点に抑え、スタンドの「あと1イニング」の声の中、4回で降板。後続にマウンドを託した。
夏場の連戦を迎えて投手事情が苦しいのは福島も同じ。やはりリリーフの石川颯(千葉商科大)を先発にもってきたが、こちらはその策が裏目に出た。初回から3四球を与えるなどコントロールが定まらず、ワイルドピッチで先制点を許すと、2回にも4失点。これで早くも試合が決まってしまった。
3回には、プロサッカー選手だったナイジェリア人を父にもつ長距離砲ジェス(敬愛大)に一発を浴びると、さらに失点を重ね、3回ツーアウトでマウンドを降りることになった。
福島は2番手としてサブマリンの北野公基(名古屋商科大)を送り出すが、信濃打線の勢いは止まらず、5回に4連打などでさらに3点を挙げ、10得点を積み重ねた。
現在BCリーグはコールドゲームを採用している。7回を終え10点差がつくとその時点で試合終了が宣告されるのだが、信濃2番手・鈴木駿輔(青学大)は3イニングを無失点。完封リレーでコールド勝ちを決め、今シーズン初のリリーフ登板で8勝目を挙げた。
前日に続く連勝で信濃は首位固め。勝利投手は鈴木に譲ったものの、試合のMVPには先発の吉岡が選ばれた。
大勝で終えた信濃だったが、試合後、柳沢裕一監督は、
「打線は明日どうなるかわかりませんから。それはあまり考えていません。(完封勝利だが)投手の層も厚いとは思ってませんが、各選手が持ち場持ち場で、やってくれているのではないでしょうか。でも、試合終盤にサードを守っていたドラフト候補の小西慶治(駒沢大)の送球エラーがあったり、まだまだいただけないところはあります。彼は見られている選手なんだから。勝ったからOKというわけではなく、チームとしても現状で満足して欲しくはないですね。チームとしては日本一、個人としても上へ進むという目標があるんだから。詰めの甘い部分は直していかねばならないですね」
と、連勝にも浮かれた様子を見せることはなかった。
このカード最終戦となる今日は、伊那市に舞台を移して信濃・荒西祐大(元オリックス)、福島・福井優也(元広島・楽天)の元NPB投手の投げ合いで試合が組まれている。
(写真は筆者撮影)