漫画家・芦原妃名子さん死亡の報を受けて「脚本家のせい」がトレンド入りするのは最悪の流れ
著作『セクシー田中さん』の実写ドラマの脚本をめぐり騒ぎになっていた漫画家の芦原妃名子さんの訃報が報じられました。謹んでお悔やみ申し上げます。
ただ、この訃報を受けて『X(Twitter)』では「脚本家のせい」がトレンド入りする最悪の流れになっており、まずは怒っている人に落ち着いて欲しいと思い、今回、この記事を書くことにしました。
自殺の原因は分かっていない
今回の悲しい出来事について、遺書のようなものも見つかっていることから警察では自殺とみているとのことですが、自殺の原因が何だったのかは現時点では分かっていません。
『X』ではドラマの脚本をめぐってトラブルになっていたことから「脚本家のせい」と考える人が多いせいかトレンド入りし、また、「プロデューサーの責任だ」と言った声もあがっていますが、繰り返しますが原因は分かっていません。
誰かを攻撃するような段階ではないのです(もちろん理由が分かったからと言って特定の個人を攻撃して良いわけではありません)。
「攻撃したかったわけじゃなくて。ごめんなさい」と投稿していた芦原妃名子さん
私が「脚本家やプロデューサーを攻撃してはいけない」と訴える理由のひとつには、芦原妃名子さんがトラブル後に『X』に投稿していた内容も含まれます。
2023年12月24日、脚本家の方が実写ドラマ版『セクシー田中さん』の9話、10話の脚本は原作者が行ったとの説明をインスタグラムに投稿したあと、翌年の2024年1月26日に今度は芦原妃名子さんが自身が脚本を手掛けることになった理由をブログと『X』の両方で説明しました。
この芦原妃名子さんの投稿後にSNSでは脚本家やプロデューサーに対して批判する声が多数あがり、そうした事態を受けて芦原妃名子さんはそれら一連の説明を消しています。
その際に残した投稿の内容は「攻撃したかったわけじゃなくて。ごめんなさい」です。
実際、批判の声が多かったのか脚本家の方は自身のインスタグラム内の『セクシー田中さん』に関するコメント欄を騒動のためか閉じています(現在はアカウントごと鍵をかけられています)。
その状況でファンに向けて伝えられた言葉が「攻撃したかったわけじゃなくて。ごめんなさい」です。
芦原妃名子さんは実写ドラマ版『セクシー田中さん』の脚本について説明したかっただけであり、その内容をもって誰かを攻撃したかったわけではない。私はそう受け取りました。
「脚本家のせい」と攻撃して何が解決するのか?
亡くなられたご本人が「攻撃したかったわけじゃない」という言葉を残しているなかで、残された人たちが「脚本家のせい」と攻撃することを芦原妃名子さんは望まれているでしょうか?
もちろん、「攻撃したかったわけじゃない」のは脚本を手掛けることになった理由を説明したことから生まれた動きに対してのものであり、亡くなられたこととは別の話です。
しかし、理由も分かっていないなかで、「脚本家のせい」と脚本家の方を攻撃して何が解決するのでしょうか?
最悪の事態がもう1度起きる恐れができるだけであり、そのことについて「脚本家のせい」と攻撃をした人たちが責任を取るわけでもありません。
このような悲劇を繰り返さないためにも「どうしてそうなったのか?」を調べ、その解決策を考えることは重要ですが、一般ユーザーによる犯人探しやそれにともなう誹謗中傷は何も生み出しません。
炎上や悲しいことがあればSNSやネットから離れて欲しい
しつこく繰り返しますが、芦原妃名子さんが亡くなられた原因は分かっていません。
しかし、SNSでトラブルとなり、炎上したり、騒ぎになったりしたときは、一度SNSだけでなくインターネットそのものから離れることをおすすめします。
これはトラブルの当事者だけでなく、こうした訃報を受けて悲しい気持ちになったときも同じです。
SNSはユーザーの感情を増幅させやすい仕組みのため、楽しいときはより楽しい気持ちになりますが、悲しいときはその悲しさが増し、何かで炎上したときはまるで世界中の人が敵になったかのような錯覚に陥ります。
しかし、これらはネットから離れてみれば何でもないことに気づきます。なかなか離れがたいという人もいるでしょうが、ネットの誰かではなく、リアルの家族や友人の声を大事にしてください。
芦原妃名子さんのご冥福をお祈り申し上げます。
2024年1月30日12時34分追記
脚本家の方が先に「『セクシー田中さん』の9話、10話の脚本に携わっていない」ことを投稿していた旨を追記しました。
このことについては認識していましたが、説明時に省略してしまっていたため修正しています。