小池知事支持率は46%に大幅回復、都民ファースト支持は激減=JX通信社 東京都内世論調査
2016年8月の都知事選で勝利し、昨年7月の都民ファーストの会の大勝につなげてきた小池百合子東京都知事。つづく昨年10月の衆院選では一気に政権獲得を目指し希望の党を旗揚げしたものの、一転して大敗。
ジェットコースターのような政局の節目を作った都議選から半年、そして衆院選から3ヶ月となるのを機に、報道ベンチャーのJX通信社では1月20日・21日の両日、東京都内の有権者を対象とした電話世論調査を実施し、都民世論の変化を探った。調査の概要は右表の通りだ。
小池知事支持率は46%に大幅回復もダメージ残る
先週末時点で小池百合子知事を「強く支持する」「どちらかと言えば支持する」と答えた人の合計は45.8%となった。10月半ばの衆院選投票1週間前の調査時点で34.0%だった支持率は約12ポイントの大幅回復となっている。「全く支持しない」「どちらかと言えば支持しない」と答えた人の合計は45.5%で、10月半ばの不支持率(58.6%)から約13ポイント減った。希望の党の大敗後党運営から距離を置き、報道での露出が減じた間に衆院選で失った支持率を一定程度回復した格好だ。
しかし、内訳を見ると、支持基盤の脆弱さやダメージの大きさが浮き彫りになってくる。知事の支持率45.8%のうち「強く支持する」と答えた層は9.4%に留まっており、10月半ばの衆院選直前と同水準で変わっていない。支持率の回復は「どちらかと言えば支持する」と答えた弱い支持層が約11ポイント増えたことによるものだ。
国政における政党支持層別に内訳を見ると、そのダメージの大きさがより際立つ。小池知事を支持しないとする人は自民党支持層の過半に加えて、立憲民主党・共産党支持層のそれぞれ約6割を占めている。都議選直前の6月下旬の時点では、自民党支持層の半分弱と他の全ての政党支持層での過半を超える支持があったことを踏まえると、希望の党の「野党色」で自民支持層が離れ、「保守色」で野党支持層が離れたと推測できる。希望の党が民進党と事実上合流することになり、その過程で大きな混乱が報じられた結果、支持率を急速に落とした経緯は従前の情勢記事で紹介した通りだ。現在の支持構成は、その傷跡をまだ生々しく残しているとも言えよう。
一方で、ボリュームゾーンである無党派の半分強や自民党支持層の約4割が小池氏を支持している現状は、今後の小池都政を占ううえで重要なポイントだ。2016年都知事選では、各社出口調査で小池知事が無党派・自民党支持層のそれぞれ約半分を獲得したことが分かっている。つまり、小池知事の支持基盤はまだ脆弱とはいえ2016年都知事選時の構成に立ち戻りつつあるのだ。こうした状況下で仮に2020年の都知事選に小池氏が改めて立候補した場合には、自民党などが対立候補を擁立しても、小池氏より「高い知名度」と「薄い党派色」を両立できなければ当選可能性は低い。そうした候補者を探すことがいかに難しいかは、過去数度の都知事交代で自民党自身が最もよく学習している点だろう。
都議会には強者不在 都民ファーストも自民も低空飛行
今回の世論調査では、国政だけでなく「都政」においてどの政党・会派を支持するかについても聞いた。その結果、昨年7月の都議選で第1党となった都民ファーストの会の支持率は8.1%で、自民党(17.8%)、立憲民主党(8.9%)に続く3位に甘んじている。
都議選投票日1週間前の調査では32.2%の支持を集めていた同党だが、衆院選を経ておよそ4分の1まで大幅に減らしていることがわかる。衆院選翌月の昨年11月に行われた葛飾区議選では、都民ファーストの会は5人の候補を擁立したものの当選は僅か1人に留まった。この結果から党勢の低調ぶりが指摘されていたが、今回の調査結果がそれを改めて裏付けた格好だ。
一方で、1位の自民党も都政に限れば状況は深刻だ。前段で紹介した通り、国政政党としての支持は都内で32.2%に上っているにも拘らず、都政における支持率は半分近い17.8%にとどまっているのだ。都議選直前の調査では都政における自民党の支持率は19.5%であり、都議選以降全く支持率が回復していないことがわかる。対して、「支持する政党・会派はない」とした有権者は今回49.8%とおよそ半分に達しており、都政において有権者の支持を集める強い党や会派が存在しない現状が浮き彫りになっている。
こうした「強者不在」の都議会の現状が、今後の都政運営にどう影響していくのか。来年度予算案が審議される都議会第1回定例会は、来月半ばから開催される予定だ。