コンビニコーヒーの流行は家計にも影響を及ぼしているのか
コーヒー全体のブームではなくコーヒー飲料が伸びている
ここ数年で急速に導入が進んでいる大手コンビニでの淹れたて(ドリップ)コーヒースタンド。集客力を失いつつあるたばこや雑誌の代替商品として各社が注力しているサービスの一つだが、整備がしやすいこと、収益率が高いこと、さらには季節を問わずに集客が可能で老若男女の需要をカバーでき、イートインコーナーを併設すれば新たなサービスの可能性も切り開けることもあり、大いに人気を博し、実績を上げている。
このコンビニコーヒーの盛況ぶりは、家計の出費ベースにも表れている。次に示すのは総務省統計局が発表している、世帯単位でのお金のやり取りを調査した家計調査(家計支出編)における、「コーヒー飲料」と「コーヒー」に関する購入頻度・購入金額の推移。「コーヒー」は粉系のコーヒー全般、そして「コーヒー飲料」は「液体のみ。濃縮液も含む。コーヒー牛乳は含まない」、つまり、粉系コーヒー以外のものは、自動販売機、駅、車内売りまで含めることになる。当然、コンビニ店内でのドリップコーヒーも「コーヒー飲料」に該当する。「コーヒー」を併記したのは、「コーヒー飲料」だけを見たのでは、コンビニコーヒーでは無くコーヒーそのものが流行している可能性を否定できないからである。
購入頻度(買われた回数)は元々コーヒーは比較的伸び基調、コーヒー飲料は起伏が大きい動きを示している。ところが2013年中盤以降、コーヒー飲料は頻度の点でプラスを維持したままの動きにトレンドを変えている。
この動きは購入金額の点でさらに顕著。コーヒーはプラスマイナスゼロ付近を行き来していわば「もみ合い」の状態だが、コーヒー飲料はやや軟調に推移していたものの、2013年中盤以降は堅調な動きを示している。
コーヒーとコーヒー飲料の動きが一致していないことから、単純にコーヒー全体にブームが起きているわけでは無いのが分かる。そして購入頻度・額共に増加しており、コーヒー飲料が以前よりも足しげく買われ、その購入機会のたびに一定額が支払われ購入されていることが把握できる。
無論、コーヒー飲料のすべてがコンビニのドリップコーヒーというわけではない。しかし他に増加要因が見つからない以上、立証は不可能なものの因果関係的なものとして認めても問題はなさそうだ(少なくとも相関関係は確認できる)。
一人身と家族、どちらが買っているか
コンビニコーヒーが売れているっぽい……となると、気になるのは、単身世帯と二人以上世帯、どちらがより買っているか。これについて四半期の動向で精査した(単身世帯は月次データが存在せず、検証は不可能)のが次のグラフ。
コーヒー飲料が明らかに上向きを示したのは2013年後半期。その動きに着目すると、購入頻度は単身世帯の方が上昇率が大きい。絶対数では無く以前との比較における購入件数では、単身者が以前より多く足を運んでいる(あるいはついで買いをしている)ことになる。
一方、購入金額では二人以上世帯の方が伸び率が大きい。これは親子連れでコンビニに来店した人が、自分自身と子供で共に購入した事例や、夫婦で一緒に買う場合など、複数人数が共に購入するパターンによるものと考えれば道理は通る。清算は大抵いちどきに行うので、当然家計として算出されるからだ。
繰り返しになるが、コーヒー飲料の項目はコンビニの淹れたてコーヒーだけで構成されているわけでは無いことから、一連の上昇がすべてコンビニコーヒーによるものとは断言できない(そもそも家計調査では「コンビニコーヒー」という項目は無い)。しかしながら周辺環境の変化をも合わせて想像すれば、多大な影響を与えていると考えるのが妥当ではある。またこの動きについては、総務省統計局自身もコラムコーナーの中で言及している(解説:「「コーヒー飲料」の支出増加、やっぱりコンビニコーヒーか......!?」)。
今後これらの値がどのような動きを示していくのか、各コンビニの発表する財務状況レポートと共に、引き続き注意深く見守りたいところだ。
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