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ユーチューバーマネジメント企業「UUUM」創業者・鎌田和樹氏が見据える今後と自分

中西正男芸能記者
ユーチューバーをマネジメントする企業「UUUM」創業者の鎌田和樹さん

 HIKAKINさん、はじめしゃちょーさんら多くのトップユーチューバーが所属するマネジメント企業「UUUM」を立ち上げた鎌田和樹さん(40)。昨年、同社の取締役会長を退任し、新たな一歩を踏み出しました。先月には著書「名前のない仕事」(ダイヤモンド社)を上梓。次のステージに向けて見据えるもの。そして、仕事の流儀について語りました。

ユーチューバーの今後

 こんなことを言うのもアレなんですけど、僕、ネーミングセンスがあまりないんです(笑)。今回、本を出すことになったんですけど、そのタイトルも何回も出版社の方からご提示いただいて、結果、このタイトルにたどり着いたという感じで。

 ただ、経営者になればなるほど、どこまでが仕事で、どこからがプライベートなのか。これが分かりにくくなるのは事実です。一見、仕事には直結しなさそうなことでも、種まきという部分もありますし。そういうこともバクッと含めて「名前のない仕事」というのが良いのかなと思ってつけさせてもらいました。

 それに加え、僕がこれまで仕事の軸にしてきたユーチューバーの皆さんというのはまさに「名前のない仕事」だったんですよね。

 2006年にYouTubeができて、僕が「UUUM」を作ったのが2013年。ユーチューバーというのも「?」という状況なのに、そういった人たちをマネジメントする会社。より一層「??」という世の中でした。

 今でこそ「私、ユーチューバーをやっているんです」という人がいたら「何系の動画をアップしているんですか」「登録者数何万人なんですか」と普通に会話が成り立つ世の中になっていると思います。

 さらには、子どもたちのなりたい職業に選ばれるという時代にもなりました。弁護士さんはこういう仕事。八百屋さんはこういう仕事。そういうイメージがユーチューバーにおいても作られてきたということです。

 要は、今となってはユーチューバーは珍しくなくなりました。けれども、なんていうのかな、爆発力は減ったかもしれません。大衆化というか、一般化されることは大切なことでもあるんですけど、薄くはなってしまう。

 新型コロナ禍もあって、著名な方々がYouTubeの世界に一気に来られたこともあったでしょうし、第一世代というか、一つの流れとして落ち着いたのかなとは思っています。

 今後はユーチューバーに限らずTikTokなんかもそうなんでしょうけど、そういったプラットフォームの影響力をどうビジネスにするのか。そこを見越したスタート地点としてのYouTubeなのか、そこだけで生活はしていけるということで、その中で楽しむためのYouTubeなのか。さらに二分化されていくと考えています。

“ワクワク”が減る中で

 これまで自分もそれこそ名前がつかない仕事をたくさんやってきました。その結果、今つくづく思うのが「楽しくないと続かない」ということです。よく言われることですけど、本当にそう感じます。

 僕は相当な“飽き性”だと思っています。責任感はもちろんあります。ただ、それと同じくらい楽しさがないと続かない。

 サボりたくて仕方ないタイプなのかもしれませんけど(笑)、楽しさも、責任感もないと続かない。それが正確な言い方かもしれません。

 従業員の数が増えて、背負うものも大きくなり、やらないといけないことも増える。そうすると、もうやるしかない。ただ、そこに楽しさがないと続かない。そのバランスを模索し続けているのかもしれませんね。

 ただ、何にしても間違いないのは、現場が一番好きだということです。プレイヤー大好き人間なんです。だけど、それでも、やっているとやっぱり飽きてくるんですよね。

 そういう時に任せる人がいると、今度はちょっと上の領域で仕事ができる。これが楽しいんです。ただ、それにもやがて飽きてくる(笑)。そこで、また人がいると任せてちょっと上のことをやる。これが理想形なんでしょうけどね。

 これで気を付けないといけないのは、もともとの位置からあまり離れすぎちゃうと、つまんなく見えちゃうんです。もともと面白がっていたものなのに「もう、辞めてもいいんじゃない」となってしまうんです。そこにいると飽きちゃう。でも、遠くなりすぎると見なくなっちゃう。このバランスもあるんですよね。

 僕、ゲームが好きなんですけど、最近やるタイトルがないんです。ゲームの画像を見て説明を読むと「だいたいこういうゲームなんだろうな」と思えちゃう。その時点で「このゲームをやりたい!」がなくなってしまうんです。

 歳を取って経験を積むほど「どういうゲームなんだろう」というワクワクの数は減るわけです。しかも、猛烈に。その中で、どうやってワクワクを見出すか。これは仕事においても同じですし、ここもまた本当に難しいところです。

 もともとプレイヤー大好きな人間なので、ふとワクワクを見つけて「これ、面白そう」と感じたら、自分の手を動かせるタスクを求めるんです。そうなると、自分が本来やらなくてもいい資料作りとか、現場の中でそういうものを拾いにかかる。働いている人は困惑しますよね。この流れはね、完全に老害です(笑)。

 そうならないためにも、常に楽しさを感じられる、ちょうどいい何かを探す。そして、文化祭当日じゃなくて準備を楽しむ。そんな気持ちを追い求める。形はどうであれ、そういったことを自分が続けていくことは間違いないんだろうなと思っています。

(撮影・中西正男)

■鎌田和樹(かまだ・かずき)

1983年12月3日生まれ。東京都出身。大学中退後、2003年に19歳で光通信に入社。総務、店舗開発・運営、アライアンスなど多岐にわたる分野で実績をあげ、2011年よりイー・モバイル一次代理店の代表取締役を務める。 その後、孫泰蔵氏の薫陶を受け、起業を決意。ほどなくして、HIKAKINとの出会いをきっかけにYouTubeの可能性を感じ、13 年にUUUM株式会社の前身となる、ONSALE株式会社を設立した。昨年、UUUMの取締役会長を退任。今年8月に著書「名前のない仕事」を上梓した。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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