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9月の通常開幕を目指すNFLが無観客試合や短縮シーズンを検討

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
通常シーズンの開幕が徐々に厳しくなってきたNFL(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【NFLが新型コロナウイルス対策を検討】

 米最大の人気リーグのNFLが、9月からの通常開幕を目指す一方で、新型コロナウイルスのパンデミックが続く状況を鑑み、無観客試合や短縮シーズン実施も検討していることがわかった。ワシントン・ポスト紙紙が現地時間の4月15日に報じている。

 同記事によれば、NFLが検討している試案に精通している3人の関係者から確認したところでは、状況に応じて無観客を含めスタジアムの入場者を制限する案や、シーズンを短縮して実施する案も検討されているという。

【NFLを取り巻く厳しい環境】

 NFLは選手会合意の下、バーチャルによるオフシーズン活動を4月20日から開始することを決めたばかりだったが、その一方でリーグは常に厳しい現実を向き合っている。

 米国は現在、感染者数、死亡者数ともに世界最大の被害を受けるほど、今も新型コロナウイルスのパンデミックが猛威を振るっている。

 同記事が確認したリーグ関係者は以下のように話している。

 「スタジアムに1/3のファンを収容するのか、それとも1/2のファンを収容するようにするのかまでは分からない。ただNFLは無観客試合から通常通りファンを集めて試合を実施することまであらゆることを想定して協議している。また政府からリーグを実施してほしいという要望もある」

【政府最高責任者は観客動員に否定的な見方】

 リーグ関係者の発言通り、ドナルド・トランプ大統領は記者会見で、スポーツリーグの早期再開を望む発言をしている。

 だがその一方で、新型コロナウイルス対策で政府最高責任者を務める国立アレルギー感染症研究所所長のアンソニー・ファウチ博士は、スポーツイベント実施について、かなり厳しい私見を明らかにしている。

 「(スポーツイベントを)実施する方法は1つだ。スタジアムにファンを集めずに、試合を実施したい場所にある大きなホテルに(選手やチーム関係者を)集め、彼らをしっかり監視し、毎週感染確認の検査を行い、選手同士や家族に感染が広がらないようにする。そうしたかたちならシーズンを実施することだ。

 もし試合をTV中継するのなら、MLBは無観客試合にすれば7月4日にもシーズンを開幕できるだろう。そうするしかない」

 つまりファウチ博士は今シーズンに関しては、MLBを含めたすべてのリーグが通常の公式戦を実施するのは不可能だと考えているのだ。もちろん新型コロナウイルス対策の政府最高責任者の意見は無視することはできない。

 NFLのみならず各プロリーグは、今後も厳しい選択を迫られることになる。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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