テレワークやオンライン授業で住まい選びの意識が変化 上手に新居を選ぶコツは
2020年度は新型コロナウイルスに見舞われました。そんな事態でも私たちの生活は継続していきますので、4月に「新生活」を迎えるという人も多いでしょう。なかには、新生活を「新居」でスタートさせようという人もいると思います。でも、新居選びの条件は、以前とは少し違ってきています。新居選びの条件について、考えていきましょう。
住まいは「生活」に加え、「仕事」や「学び」、「余暇」の場に拡大
カーディフ生命保険が20代~50代の男女に調査をしたところ、コロナ感染拡大後に「住み替え」や「リフォーム」「部屋の模様替え」などをした人が19%いました。ただし、テレワーカー(労働時間の半分以上がテレワーク)に限ると、31%に比率が増加しました。(図1参照)
テレワークを長く経験したことで、住まいに不満を感じるようになり、住み替えたり、リフォームや模様替えをしたりといった、具体的な行動を取った人が多いわけです。
リクルート住まいカンパニーが、コロナ禍で住宅の購入や建築を検討している人に調査したところ、検討するきっかけとなった要因として「在宅勤務になった/在宅勤務が増えた」という回答が17%と回答のトップに躍り出ました。在宅勤務の影響がとても大きいことが分かります。
その結果、住宅に求める条件も変化しました。(図2参照)
直接的に“コロナ対策”といえるのは、「換気性能」や非接触で受け取れる「宅配ボックス・置配ボックス」でしょう。それより影響が大きいのが、“家の中で仕事ができる環境”です。「仕事専用のスペース」「通信環境」「部屋数」「広いリビング」などが該当します。
加えて、家族の在宅時間が長期化したことで、“住宅の性能”も重視されるようになりました。基本の「日当たり」「風通し」に加え、冷暖房効率のよい「省エネ性能」、オンライン会議のための「遮音性」も上位に挙がっています。
さらには、“気分転換”がしやすい「屋上や広いバルコニー」「庭」「緑」といったワードが挙がっています。
マイホーム検討者に限った調査ですが、イマドキの住まいの条件がよく分かる結果だと思います。
以前は住宅といえば、「生活」のための場所でしたが、今の住宅には「生活」に加えて「仕事」や「学び」、「余暇」の機能が求められるようになったのです。
コレカラの新居に求める条件とは?これからの住まい選びのポイントは?
まずは、生活の場としての「暮らしやすさ」を検討しましょう。生活パターンは人によって違いますから、希望の広さや間取り、水まわり設備、収納などで譲れない条件も人それぞれでしょう。加えて、コロナ後もある程度の頻度で継続されると見込まれる、テレワークやオンライン授業のためのスペースや通信環境が整うかをチェックするとよいでしょう。
間取り図ではわかりづらい、住宅の基本的な構造についても、在宅時間が長くなるにしたがって重要になります。窓の向きや大きさ、位置などから、日当たりや風の流れを確認するとともに、窓ガラスが省エネ性の高いものか、隣室や外からの音に対する遮音性が高いかといったことも確認したいポイントです。
さらに、甚大化する災害に備えて、ハザードマップなどで災害リスクの程度を確認したり、1981年6月以降に着工された「新耐震基準」の建物であるかなどの耐震性を確認したりすることをお勧めします。
通勤や通学のアクセスの良さも重要です。ただ、通勤・通学時間が短いというだけでなく、車内や駅の混雑度なども考慮するのがイマドキでしょう。
気分転換できる場所があるかどうかもポイントですが、家の中にすべてを求めるのではなく、自宅周辺の街に求める方法もあります。気分転換の場所をどちらに求めた方がリフレッシュできるかを考えて、住まいの条件にするのか、街選びの条件にするのかを検討するとよいでしょう。
同様に、仕事や学びのための場所を街に求める方法もあります。シェアオフィスやノマドカフェなど、仕事をしたりオンライン授業を受けたりする場所が街の中に存在するようになりました。家の中にすべてを求めると広さが必要になって、新居の価格や家賃が高くなるということもあります。メリハリやバランスを考えることも、上手に新居を選ぶコツです。
不動産のプロならではの現実的なポイントも
そこで、アットホームが全国の加盟店(不動産会社)を対象に、「初めての一人暮らしで気を付けるべきポイント」を調査した結果を紹介しましょう。不動産のプロは、どのように見ているのでしょう?
図3を見てください。3位と7位は「アクセス」に関して、4位と5位は「治安」に関して、6位は「街の雰囲気」、8位は「災害」など、具体的に見落としがちなポイントが挙がっています。ただし、1位と2位は現実的な問題を挙げています。
どうせ新居に住むならばと、あれもこれもと条件を挙げてしまいがちです。その中で、絶対に譲れない条件とあったらよい条件を明確にして、優先順位をつける必要があります。
また、6割が条件に挙げて1位になったのは費用に関するものです。初期費用は最初だけ負担するものですが、賃貸の場合の家賃や購入の場合の住宅ローンの返済額などは、長い間負担し続けるものです。無理のない範囲で設定しなければいけません。目安としては、実際には収入や普段の支出の額によって変わりますが、家賃(管理費等を含む)なら手取り月収の3分の1、住宅ローンなら年間返済額が税込み年収の4分の1程度が、無理のない範囲といわれています。
予算を超えるけど素敵な住まいに一目ぼれしてしまい、無理をして契約してしまうといったことのないように、冷静に判断してほしいものです。
これまで紹介した新居選びのポイントを自分なりに整理して、信頼できそうな不動産会社の担当者とよく相談をして、一つ一つ確かめながらチェックをしていくとよいでしょう。信頼できる不動産会社は、きちんと条件を聞いてくれ、焦らせたり契約を急がせたりしないものです。
最後に、これまで紹介したポイントを一覧にして載せますので、参考にしてください。自分にピッタリの新居で、新生活がスタートできればいいですね。
●これからの新居選びのポイント
□希望の広さ・間取り、設備など
□テレワークやオンライン授業のスペース
□通信環境
□日当たり・風通し
□省エネ性
□遮音性
□耐震性
□災害リスクの程度
□通勤・通学のアクセス
□治安(特に女性)
□気分転換の場所
□街の雰囲気
□無理のない住宅費用
+ 優先順位
【この記事は、Yahoo!ニュース個人編集部とオーサーが内容に関して共同で企画し、オーサーが執筆したものです】