首都圏の新築マンション市場は価格上昇、発売戸数減少。今後はどうなる? #専門家のまとめ
不動産経済研究所が、8月度の首都圏の新築分譲マンション市場動向を発表しました。通常住宅業界では、秋から冬にかけて徐々にオンシーズンに移行し、8月は“夏枯れ期”と呼ばれ、あまり大きな動きがない市場となりますし、最近は、新築マンションの価格の高騰が続き、平均価格の高さが毎回話題になるばかりでした。ところが、8月度の市場動向の結果を受けた報道各社の注目ポイントや分析が、それぞれに異なっていたので、紹介してみたいと思います。
ココがポイント
エキスパートの補足・見解
首都圏の8月の新築マンションの市場については、平均価格が2カ月ぶりに上昇に転じたことや、23区の平均価格が4カ月連続で1億を超えていることなどに、注目が集まっています。
一方で、対前年同月比で50.4%減少するなど、発売戸数の減少にも注目しています。マンション用地の取得が難しくなっていること、建設業界の人手不足を背景に工期が遅れていることなどから、販売戸数が絞られていると指摘しています。
インバウンド需要でホテルとの用地取得競争が激しくなっているという話も耳にしますので、たしかにマンション用地の確保が難しい状況になっています。ただ、大手デベロッパーでは再開発などの大型案件の用地をすでに取得していますので、このまま販売戸数の減少が続くとも言えません。
気になるのは、マンション価格の上昇です。用地取得競争の激化で土地値が上がると、マンション価格も上がります。富裕層や投資家が多い都心部では、新築マンションの供給が続いて価格はまだ上がるでしょう。郊外部については、一般の方が買いづらい価格になっているので、上げようがなく、販売戸数がさらに絞られる可能性もあります。
住宅ローンの金利も気になる点です。いますぐに急激に上がる状況ではありませんが、金利は上昇トレンドなので、購入者の需要を冷え込ませる要因になりかねません。いろいろと不透明な要素がありますが、都心部が価格を押し上げる状況はまだ続くでしょう。