複合要因により金融市場が動揺
7月8日の東京株式市場で日経平均は下げが止まらず、2万円割れとなり、638円安となった。9日もさらに売り込まれ、一時前日同様に600円を超す下げとなった。円高も進み、ドル円は120円台に。しかし、下落していた上海株がマイナスからプラスに転じ、これを受けて日経平均も急回復し、日経平均は117円高で引けるなどかなり波乱含みの展開となった。10日は多少落ち着きを取り戻し、日経平均は75円安で引けている。
今回の日経平均の急落要因としては、中国株の下落が大きかった。12日に大きく決断が下されるギリシャの動向も気掛かり材料ではある。しかし、仮にギリシャがデフォルトとなり、ユーロを離脱するようなことになろうとも、金融市場への影響は限定的とみられる。
8日の欧州の株式市場はなぜかしっかり。イタリアとポルトガルの株価指数が急伸。欧州の債券市場でもイタリアとスペインの国債が前日に続き買われ、これに対してドイツの国債は売られていた。前日の東京や中国の株式市場が急落しても落ち着いていた。欧州ではギリシャ問題が最大の懸念材料となろうが、その結果はどうであれ不安感は後退しているように思われる。9日の欧州市場も続伸。イタリアやスペインの国債も買われたが、ドイツの国債は売られるなど、いわゆるリスクオフの反動が起きていた。
これに対して米国の株式市場は動揺を見せており、8日のダウ平均は261ドル安となっていた。ただし、この日はニューヨーク証券取引所のシステム障害による影響も大きかったとみられる。システム障害が始まってから、他の取引所を通じた株式への売りが優勢になりダウ平均は下げ幅を広げた面も指摘された。9日のダウ平均は33ドル高と戻りはしたが、戻りも鈍かった。
欧州はギリシャを注視しているが、米国は中国の動向も大きな懸念材料となっていた可能性はある。このような材料への感応度の違いもあったのではなかろうか。6月開催のFOMC議事要旨において、海外の危機的状況が米国経済の重しになり得るとの当局者の認識が示されたことも影響した可能性はある。
これに対して東京市場は物理的に中国に近く影響を受けやすい面や、中国株が売れないため日本株を売ったとの見方もあった。中国経済への懸念、これで日本の商品への爆買いがなくなるのではとの不安もあったかもしれない。しかし、中国株の下落は買われすぎた反動や、中国当局の対応のまずさ、さらには企業側の申し出により売買停止ができてしまうことによるテクニカルな影響も大きかったとみられる。9日の上海株の反発は中国警察当局が悪質な空売りを調査との報道が原因ともされるが、これをきっかけにいわゆるショートカバーが一気に入ったか。
ただし、ここまで東京市場が上海市場に連動することも説明は難しい。日本の投資家が中国株の下落で直接影響を受けることは考えづらい。それではなぜここまで東京株式市場の下げがきつくなったのか。日経平均の日足チャートをみると、9日はいきなりトレンドを下抜けてきたことがわかる。チャートによるテクニカルな売り、さらに追い証などにともなう売りなどが急落の要因とみられ、そのきっかけがギリシャ不安や中国株の下落になっていた。いずれにしてもテクニカルなものを含めた複合的な要因が重なり合ってのここにきての株価の変動か。
円高については日経平均の下落とセットになっての動きであった可能性がある。アベノミクスの登場で円安・日本株高がセットになり、海外投資家は為替と日本株を合わせてポジションを取るケースも多いとみられる。つまり、円売り株買いの反対のポジションが入り、そこに資源国通貨の下落によるリスク回避の動きをともなっての円高か。
このように市場それぞれがギリシャ、中国への懸念にテクニカルな要因も組み合わさって動いたものと思われる。