ボックススコアの訂正連発は、Bリーグが早急に改善すべき問題
日本のバスケットボール界を発展させるために、Bリーグは様々なことに取り組んでいる。その中の一つが、スタッツ作成をデータスタジアムが担当し、試合会場でなくリアルの映像を使い、1か所で行うというもの。8月22日に出されたプレス・リリースの中で、Bリーグは次のような声明を出している。
「B.LEAGUEへの注目が高まるにつれ、通信社を始めとするメディア、ゲーム会社、海外からと記録データーの管理、提供方法に関する問い合わせが増え、そのご要望にお応えするために「B.STATS LAB」を開設いたしました。公式記録作成については従来のように各試合会場で記録データを入力するのではなく、リアルタイムに配信される映像を見ながらセントラルオフィスでの入力を行うことがいままでと大きく異なる点です。それによりいままで以上に効率的、さらにスピーディで高い品質を維持することが可能になります」
いざ開幕してみると、効率的でスピーディということを言う以前に、正確性を欠いたものがあまりにも多い。B2のようにカメラが1台という状況だと、会場でスタッツを入力するよりも見逃す可能性は高まる。10月22日の群馬クレインサンダーズ対茨城ロボッツ戦では、前半で映像がライブで届かないトラブルが発生。試合後に確定として出たボックススコアは、10月28日に訂正箇所が盛りだくさんでメディア用のサイトにアップされた。最もありえないと感じたのは、Lead ChangesとTimes Tiedの数字があまりにも違っていたこと。こういった事態に陥らないためにも、スタッツ入力は会場で行うべきではないか? 10月28日時点で、試合終了後の確定を出しながら後日訂正があったのはB1で26試合、B2で46試合ということでも明白だ。
NBAでは、コートサイドにスタッツを入力するスタッフが常駐し、その横にはプレイを見て背番号とプレイの種類を見て確認する人もいる。コート上で起こっていることに決して目を離さず、確認するために必要というのが、その理由である。NBAライターの宮地陽子氏によれば、レイカーズとクリッパーズのスタッツを入力しているのは同一人物であり、キャリアが15年以上を超えているとのこと。筆者が12年いたデトロイトでも、ピストンズの担当はずっと同じ人だった。スタッツ入力は決して簡単にできる仕事でなく、会場で試合を経験しながら熟練していかなければならないのだ。
データスタジアムとせっかく協力体制を築いたのであれば、担当者をコートサイドの席に座らせてスタッツを入力させたほうが断然いい。もちろん、スタッツ入力をできる人材を育てるという意味もある。レフェリーのコールに対して彼らの目を信用しているように、スタッツの入力も現場にいるスタッフの目をまずは信用すべきだ。スタッツは選手のキャリアを左右する要素であり、富山グラウジーズの比留木謙司も「決して、リーグも安易には考えていないと思いますが、選手のキャリアやシーズン中のプレイングタイムが左右されるのは事実」と、筆者にツイートしている。ライターの立場からすれば、スタッツがコロコロ変わるようでは原稿が書きづらくなるし、誤った数字を掲載してしまうことにもつながる。
映像トラブルが原因で起こった群馬対茨城のような事態は、会場にスタッフがいれば基本的に起こらない。試行錯誤が成功へのプロセスであることを理解しているという前提で、Bリーグ、大河正明チェアマンに改めて提言したい。
「セントラルオフィスでのスタッツ入力が機能していないことを認め、NBA同様に試合会場で行う方法にすべきである!」