宮城県の村井嘉浩知事インタビュー 「復興交付金は使い道がかなり限定されていて、使い勝手が悪い」
11日、ロンドン市内で講演した宮城県の村井嘉浩知事はつぶやいたろう(筆者)のインタビューに応じ、復興庁が一元的に対応するため「使いやすい」がうたい文句の復興交付金について「使い道がかなり限定されていて、使い勝手が悪い」と改めて指摘し、同じ松下政経塾出身の野田佳彦首相に対して復興に必要な財源確保と復興交付金を使いやすくするよう対応を求めた。一問一答は次の通り。
使い勝手が悪い復興交付金
問い 復興のためのお金の使い勝手が悪いということですが
「国の予算で会計検査院の検査を受けるためにかなり使い道が限定されています。たとえば、通常、はい、あなたに差し上げますので自由にお使いくださいというのが交付金ですが、復興交付金には40のメニュー(基幹事業)が決まっていて、そのメニューから外れることはままならぬ、40のメニューから外れるもののためには別のメニューもありますが、それもかなり使い道が限定されていて、結局、お金が来ても使えない、そういうようなことが多々あります」
ガレキ処理資金の消化率は50%未満
問い 復興のためのお金は順調に使われていますか
「財源が来ているけれども、それがいろんな事情があって使い切れていないことがあるのは、人手不足、役所の人出が足りないし、工事関係者の人出も足りないし、あと資材が足りない、土が足りない、コンクリートが足りない、そうした事情で後手、後手に遅れています。事業によって消化率は全然違いますが、やはり遅れているものは3~4割というようなものもあります。ガレキの処理は50%行っていません。まだ今のところは仕事量に対して十分な財源は来ていますが、総量に対して足りているかどうかは何ともいえません。たぶん足りないだろうというのがわれわれの見立てです」
首相官邸のリーダーシップが必要
問い どんな対応が必要ですか
「われわれの手ではどうしようもないので、国にしっかりと対応していただいて、その財源を確保してもらうしかありません」
問い 首相官邸のリーダーシップが必要ということですか
「そうですね。まだ震災復興は始まったばかりです。5年、10年とかかりますから、その間に足りないとなった財源についてはしっかり国が手当をしていくという方法しかないんじゃないかと思います。基本的に予算は単年度主義なので、10年分かかるものを今、もらうことは基本的にはできません」
女川原発は国の判断待ち
問い 宮城県にある東北電力・女川原発の再稼働についてどう見ておられますか
「女川原発についてはまだ国がGOも何も出していないので、まずは、今は、女川原発の方で、東北電力の方で再稼働に向けた準備をしています。国はそれに対して、まだしっかりした基準もつけていないし、その基準に基づいてチェックも十分していないということなので、女川原発は国が安全確認をして大丈夫だ、というGOサインを出すまではわれわれとしては何ともいいようがない、まだスタンバイの状態、様子を見ているということです」
再生可能エネルギーは必ず増やす
問い 再生可能エネルギーへの対応は
「再生可能エネルギーを増やしていくというのは国民のコンセンサスなので、これは必ずやっていかなければならないと思っています。具体的にいうと、塩をかぶった県沿岸部にメガソーラー(大型太陽光パネル)をどんどん作っています。災害公営住宅の屋根の上にもパネルをつけられるように屋根貸しというような形でやれないか、今、検討を進めています」
追記:頼もしいTERP Londonの活動
村井知事は復興状況を海外に伝えるために訪英中で、英国と東日本大震災の被災地をつなごうと在英日本人社会人起業家・学生らでつくる「TERP London」(下濱愛代表)と「Sakura Front」が主催したイベント「Tsunami 611days later」で講演した。
「TERP London」は一時的ではなく中長期的な視野で英国から東日本大震災の被災地支援を行っているプラットホーム団体で、15団体が参加している。
まだ、あどけなさが残る下濱代表ら日本の次代を担う若者の純粋さとエネルギーは頼もしい限りだ。
(おわり)