「不謹慎狩り」を助長する不謹慎
KNNポール神田です!
基本的に「不謹慎」と糾弾している人は、被災地にいない人たちだ。被災地にいる方々はそんな不謹慎とか言っているゆとりがない。むしろ、被災地外の「余計な正義感」にすぎないのではないか?また、謹慎することが美徳や当たり前のように思われているが、謹慎して一体誰が喜ぶのか?実は、誰も結果として喜ぶ人はいないのだ。むしろ、常時のイベントでそのうちの売上から貢献するほうがよほど被災地に貢献できる。
http://ameblo.jp/gackt/entry-12152492292.html
アーティストのGACKTさんが、ネスレとのコラボのバリスタのゲリラライブを開催し、9800円のオリジナルのバリスタを販売し、ネスレと共同で売上を全額寄付をするとした。1,000台を完売し、追加販売を予定している。
GACKTのコラボバリスタ、「売上全額寄付」発表で即完売 追加販売されることに
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1604/22/news092.html
つまり、謹慎するのではなく、開催することによって、熊本への9,800万円の寄付金が生まれた。この1億円近い金額が生まれたことこそ「不謹慎狩り」している人がとりあげるべきでは?
「不謹慎狩り」の認知経路は?
不謹慎な有名人への非難の言及を見かけることはあったとしても、基本的にはそれはネットの少数の意見であることが多い。また、実際には大半がスルーされている。しかし、それがネットメディアで報道されたりすることによって、「ネット野次馬」が大量に、ボヤに油を注ぎに来て結果として「炎上」というマッチポンプ記事になりやすい。不謹慎狩りのニュースで耳目に触れるケースも少なくないのだ。モデルの平子理沙さんのブログでは、震災記事のネガティブなコメントが同一のIPアドレスであったことを発表している。
もはや、同一IPアドレスで名前を変えてまで、有名人の「不謹慎狩り」に興じているものを、メディアがとりあげて、ネット社会を嘆くというパターンが、そのまま、報道バラエティ番組にまで広がる。ここまで来るともう、作為的としか呼べない。
声なき声を可視化させたソーシャルメディア
twitterやfacebookがなかったら、このような「不謹慎狩り」の声も有名人にフィードバックされることはなかっただろう。有名人もブログやソーシャルメディアを経由することによって、自分の意見を直接、ファンやパブリックに対して発表することが可能となった。今は、結婚や離婚の発表もすべて記者会見ではなくブログなどが中心だ。それをニュースメディアがピックアップしている。今まで、記者会見を通じて正式発表だったが、もはやいつでもどこでも、自由に発表できる。それがソーシャルメディアの利点でもある。その半面、メディアを介在しない「1:n」のコミュニケーションは、すべて自分たちで解決する必要も生まれた。つまりソーシャルのフィードバックに対しても「耐性」が必要とされるのだ。2ちゃんねるやWikipediaと違って、ブログやソーシャルメディアのアカウントは有名人にとっての「オウンドメディア」である。一部の声なき声を可視化させたソーシャルメディアからニュースは作られるようになっている。しかし、「オウンドメディア」のオーナーは「不謹慎狩り」で黙ってしまうのではなく、自分で自衛するチカラも求められている。