ザッカーバーグCEOへ、公聴会での有料版導入についてアドバイス
KNNポール神田です!
Facebookの有料バージョンについての質問があった時に、ザッカーバーグCEOは、「フェイスブックの無料バージョンは今後も常にあり続けるだろう」と答えた。これだけで、「有料版導入を示唆」とは言いにくいが、広告以外のマネタイズで一番考えれらるビジネスモデルは有料版やサブスクリプションモデルだ。
現在のFacebookの業績、2017年第4四半期(10月-12月)を見てみよう
Facebookの、今後を考える時に 四半期130億ドル(1,4兆円)売上として、年間通期では、520億ドル(5.5兆円)のポテンシャルがあると考えられる。しかし、売上に占める広告売上は98.5%である。当然、なんらかの有料の施策があれば、この広告売上以外が、跳ねることは誰もが想像しやすい。それをFacebook社はあえてやってこなかったからこそ、現在のポジションをキープしているのかもしれない。しかし、直近のデータを見れば見るほど、 Facebook社がやるべきことはすごく見えてきているような気がしてならない。
MAU世界21億人は、欧米以外が71.4%になっている…
月間アクティブユーザーの欧米以外の比率が、71.4%に達しているのだ。
北米は、11.2%
欧州は、17.4%
欧米全体で、28.6%
アジアは、38.9%
その他の国は、32.5%
アジアとその他の国で、71.4%である
Facebookのシェアはすでに欧米ではないのだ。
https://s21.q4cdn.com/399680738/files/doc_financials/2017/Q4/Q4-2017-Earnings-Presentation.pdf
ARPUは、たったの6.18ドル(661円)でしかない
月間アクティブ利用者数(MAU):21億人に対して、ARPU(1ユーザーあたりの売上:Average Revenue Per User)は、全世界で6.18ドル(661円)の売上だ。Facebookの場合は1ユーザーあたりの広告視聴売上と訳すことができるだろう。
しかし、ここで見ると大きなARPUの差があることがわかる。
北米は、26.76ドル(2,863円)対世界比率は430%
欧州は、8.86ドル(948円)対世界比率は143%
アジアは、2.54ドル(272円)対世界比率は41%
その他は、1.86ドル(199円)対世界比率は30%
平均世界ARPUは6.18ドルだが偏差がこれだけあるのだ。
https://s21.q4cdn.com/399680738/files/doc_financials/2017/Q4/Q4-2017-Earnings-Presentation.pdf
有料版に期待するサービスとは?
Facebookの広告売上に匹敵する事業は、71.4%のMAUのあるアジアパシフィック+その他の国の地域でARPUを上げる事業となるだろう。事業者視点では、有料版を導入するには、デメリットの方が多かったのかもしれない。しかし、利用者視点で考えると有料版のサービスは意外にたくさんあるように思う。広告以外でユーザーに歓迎されやすいプランでFacebookのプラットフォームで親和性の高いのは…なんだろう?
筆者は、『物販』ではないかと思う…。
Facebookの有料ビジネスプラン有料会員の「欲しい!」ボタン
知人が「いいね!」を押した広告をタイムラインで何度もプッシュされるよりも、知人が実際に買ってベタほめしている製品に「欲しい!」を押し、その商品をFacebookの有料会員は、安く買えるというビジネススキームはどうだろうか?知らない人のリコメンドよりも知人のリコメンドのほうが圧倒的に購入の心理的負担は低い。
Facebook側は知人経由で「欲しい!」を獲得したユーザー数を物販流通側に情報提供し、情報料金をいただく。また、物販流通からキャンペーン価格をだしてもらい、「欲しい!」ボタンを押した有料会員ユーザーに有効期限を表示し、特別プライスをタイムラインに掲載するのだ。Amazonなどの流通に押され気味な弱者的な立場の物販は、知人経由で短期で売れるキャンペーンとしてFacebookの方に魅力を感じるはずだ。Facebookも物販が伴えばクレジットカードアカウントを保持でき、有料会員費の引き落としが可能となる。有料会員がいたとしても、基本は広告ビジネスモデルだ。まずはFacebookに安価でも毎月金額が引き落とされる「サブスクリプション」に慣れていただくことが重要だ。
最大のMAUを誇る71.4%のアジアとその他の国のユーザーが、ARPUではたったの2.54ドル(272円)もしくは1.86ドル(199円)しか広告で貢献しないのだから、月額サブスクリプション料金が「280円」程度でそれ以上の値引きが可能とすれば、facebook有料会員が特別に買える有料サブスクリプションモデルは成立するだろう。
商品を自分の記事で勧めた知人には「欲しい!」ボタンに応じた報酬を還元すればよいだろう。アフィリエイト収入につながる。ブログにアフィリエイトするよりも、気軽にFacebookの自分の記事に、ご自慢の逸品の熱いコメントをエントリーするだけでSNS物販流通が始まるのだ。そこには、現金だけではなく、Facebookのクーポンで、Facebook内だけで還流する仮想通貨コインやポイントを活用もありだ。
今まで、Facebook経由で知った情報で、Amazonや楽天やYahooショッピングやメルカリに流れていた顧客のARPUを広告以外で、取り返せるかもしれない。MAUが、11.2%しかなく広告ARPUが、26.76ドル(2,863円)対世界比率が430%もある米国本社ではなかなか、このアジアとその他の国の人たちの有料ビジネスモデルは理解しがたいのかもしれない。有料ビジネスモデルは、Facebookのアジア・パシフィックが主導しなければならないと思う。