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日本の地上波テレビ土壌にネットフリックスは根づくのか?

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント
ついに日本上陸を果たすネットフリックス(写真:ロイター/アフロ)

KNNポール神田です!

Netflixは8月4日、同社の定額制動画配信サービス「NETFLIX」の国内向けサービスを9月2日に開始すると発表した。料金は未定。NETFLIXは世界50カ国以上で6500万人以上の会員を抱えており、今秋発売を予定する各国内メーカーの4Kテレビのリモコンに「NETFLIXボタン」を設置することでも話題になっている。

出典:「NETFLIX」上陸は9月2日! 「テラスハウス」「デアデビル」などオリジナル作品ラインアップも公開

ついにNetflixが2015年09月2日に開始することを発表した。

すでにtwitterやfacebookにも登場だ。

https://twitter.com/NetflixJP

https://www.facebook.com/netflixjp

https://www.netflix.com/jp/

秋に発売される4Kテレビには、「Netflixボタン」がリモコンに設置されるという。地上波放送局としては戦々恐々と思いきや、Netflixは視聴率に変化がないからテレビ局営業的には、まずは問題がない。あくまでも視聴率は、調査世帯での占有率だからだ。Netflixボタンテレビが普及するにはまだまだ時間がかかる。しかし、視聴率は変わらなくても、その間に、テレビ離れはさらにさらに加速していくことだろう。速報合戦やニュース特集、スポーツなどの生番組でしか差別化できなくなる。ドラマやバラエティでは生試聴する人が、ほとんどいなくなるだろう。

「見るべきものしか見ない」法則性

筆者は、Netflixの定額試聴サブスクリプション型ビデオオンデマンド(SVOD:定額制のVOD)には若干、否定的だ。一部のマニアックなユーザーには、好まれるかもしれないが、いつでも試聴できる安心感を一度手に入れてしまったら、結局は、見るべきものしか見ないという現象にいきつくと思うからだ。すでに、多くのご家庭で、テレビの見るべきものは自動で録画され、自動で毎週、毎週、上書きされて消えていく視聴パターンが多いと感じる。それを試聴するだけでも日々、大変だから、新たに定額見放題コンテンツが登場したとしても日本ではあまり影響がないと思われる。

月額いくらで提供されるかに注目したい

ネットのニュースでニュースのトピックもすでに知っているのでテレビを見なくてもあまり影響はない。しかし、便利で楽しいものは出来る限り受け入れたい。注目は、料金がいくらになるかだ。1000円以上にならず900円代とかだと思うが(huluの価格帯)、いっそのこと500円以下で出せばブレイクする可能性は十分にある。日本のビジネスマンの1日の昼食代金であれば気にする価格ではない。500円(4ドル)だと、比較できる動画サブスクリプションモデルも少ない。音楽や電子書籍がライバルだ。基本的にエンタメサブスクリプションモデルは、究極の暇つぶしツールだ。であれば、その中で一番割安で、一番長時間、暇つぶしができることが重要だ。

NETFLIXが米国で人気の理由

NETFLIXが、米国で人気を得た理由のひとつは、高価なCATV料金があったからだ。一般家庭はどこかのCATVに加入して試聴している。それは米国の地上波がつまらないからだ(笑)。地上波だけを見ている世帯がすでにマイノリティーかもしれない。そのCATVよりもNETFLIXの方がいつでも試聴できるのだから乗り換えたくなる。Netflixの番組レコメンドも素晴らしい。誰がどの番組をどこまで見ているのかをNETFLIXは一番知っている。テレビ局は放送電波のタレ流しで視聴者の行動までは掌握できていない。さらにNETFLIXがあれば、「録画」するという概念も不要だ。いつでもクラウドからストリーミング視聴できるからだ。

日本は地上波大国

しかし、日本は世界でもトップクラスの地上波大国だ。どこまでNETFLIXが食い込むのか?そこが楽しみだ。日本の場合、テレビでは放送されていなかった、ニコニコ動画やYouTuberのコンテンツもNETFLIXのチャンネルのまま視聴可能とかの日本独自の取り組みも必要となることだろう。テレビの上にテレビ電波が流れないというVTR以来の、ストリーミング革命の騎手は日本の地上波大国に根付くのだろうか?

2015年、日本は、音楽もテレビ、いやビデオのストリーミング配信も、デバイスの垣根も超えて新たな21世紀型のサブスクリションモデルへと変化しようと歩み始めた。

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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