iPhoneは5位に入れず、中国スマホ市場 ファーウェイはV字回復で2位
米アップルが中国のスマートフォン出荷台数ランキングでトップ5から脱落した。中国メーカーがトップ5を独占し、アップルは6位に転落した。米調査会社のIDCによると、これは5年ぶりのこと。アップルは高価格帯端末の市場で強いが、この分野では華為技術(ファーウェイ)が猛追している。
2024年4〜6月におけるアップルの中国出荷台数は前年同期比で3.1%減少した。別の調査会社である、シンガポールに拠点を置くカナリスによれば、アップルのシェアは14%に低下した。同社の中国市場シェアは前の四半期で15%、前年同期は16%だった。
IDC: Chinese Smartphone Market Accelerates to 8.9% Growth in 2Q24, Led by Chinese OEMs
https://www.idc.com/getdoc.jsp?containerId=prAP52467524
Local vendors dominate top five for first time, as Mainland China smartphone market grows 10% in Q2 2024
https://www.canalys.com/newsroom/china-smartphone-market-Q2-2024
IDCによると、同四半期に中国スマホ市場で首位に立ったのはvivo(ビボ)。2位がファーウェイで、この後、OPPO(オッポ)、HONOR(オナー)、小米(シャオミ)、アップルと続いた。
このうち、ビボの出荷台数は前年同期から17.1%増加した。ビボは低〜中価格帯の新製品が好調で、順位を前四半期の5位から大きく上げた。
ファーウェイのシェア18.1%に上昇
一方、上位メーカーの中で最も伸び率が大きかったのはファーウェイだ。同社の出荷台数は前年同期比50.2%増。24年上半期においては、価格が600米ドル(約9万2000円)超のセグメントにおいてアップルとの差を縮めた。
ファーウェイはかつて、スマホ出荷台数で世界1位に浮上したこともあった。だが、19年に当時のトランプ米政権が同社を安全保障上の脅威とし、禁輸措置を講じた。同社は半導体など重要部品の供給制約を受けてスマホの生産が減少したほか、低価格スマホ事業のオナーを売却せざるを得なくなった。ファーウェイの中国におけるスマホシェアは20年半ばに29%あったが、2年後にわずか7%に低下した。
しかし、そうした中でも同社は半導体などの部品の中国国内開発を進めてきたとみられる。23年8月には、5G(第5世代移動通信システム)への接続機能と、7ナノメートル(nm)技術で製造された半導体を採用したMate 60 Proを市場投入し、中国消費者を引き付けた。
IDCによると、24年4〜6月の中国スマホ市場におけるファーウェイのシェアは18.1%に上昇した。V字回復を遂げたようだ。
中国スマホ市場、3四半期連続プラス成長
24年4〜6月の中国スマホ出荷台数は前年同期比8.9%増の7160万台。3四半期連続のプラス成長だった。24年上半期の出荷台数は1億4080万台で、前年同期比7.7%増となった。この回復は、買い替え需要の増加と、比較対象となる前年同期の出荷台数が低かったことが要因だ。
IDCによれば、中国でもプレミアム化のトレンドが進んでおり、消費者は端末をより長く使い続ける傾向にある。価格が600米ドルを超える端末の出荷台数比率は、前年同期の約23%から約26%に高まった。
しかし、IDCリサーチアナリストのジェイコブ・ジュー氏は「(中国の)予想よりも緩やかな経済回復の中、一部の消費者は予算を意識し、安価なスマホを購入する傾向が見られる」と述べている。これにより、「中古スマホ市場には無視できない新たな商機が生まれている」(同)という。
筆者からの補足コメント:
カナリスのアナリストによると、中国メーカーはハードウエアとソフトウエアの両面で成果を上げ始めているといいます。その理由はハイエンド製品に対する戦略と、ローカルサプライチェーンとの深い連携。加えて、中国メーカーは生成AI(人工知能)を製品に積極的に組み込んでいます。アップルも新たに生成AIサービス「Apple Intelligence」を発表しており、iPhoneに導入する計画です。「今後12カ月でApple Intelligenceを中国向けにローカライズすることが重要だ」とカナリスは指摘しています。
- (本コラム記事は「JBpress」2024年8月9日号に掲載された記事を基にその後の最新情報を加えて再編集したものです)