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デビューから20連勝を飾ったキューバ人ヘビー級

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
(C)Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 "キューバの閃光"と呼ばれるWBCヘビー級5位のフランク・サンチェス(29)が、プロデビュー以来20連勝をマークした。現地時間元旦にフロリダ州ハリウッドで催されたルイス・オルティスvs.チャールズ・マーティン戦のセミファイナルにおいてである。

 第10ラウンドにダウンを奪い、3人のジャッジ全員が100-89と採点しての白星だった。

(C)Ryan Hafey/Premier Boxing Champions
(C)Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 「カネロがサポートしてくれているんだ。同じジムで練習させてもらっている。だからこそ、俺は成長している。彼が何よりのモチベーションとなっているよ」

 と、試合後に語ったサンチェス。

 確かにこの日の対戦相手であるクリスチャン・ハンマーとは力の差があり過ぎた。とはいえ、粗さが目立ったのも事実である。

(C)Ryan Hafey/Premier Boxing Champions
(C)Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 身長193センチ、リーチ198センチの恵まれた体格を生かし、アマチュアのキューバ・ナショナル王者としてプロに転向したサンチャスだが、この日はハードパンチでKOを狙うことばかりに気を取られていた。パンチに強弱が見られず、試合の組み立てに難があった。

 ルーマニアで誕生しドイツ在住のハンマーは、2019年以降、5戦して2勝3敗。直近である2021年10月のファイトもKO負けだった。サンチェス戦も咬ませ犬として呼ばれた34歳であった。

(C)Ryan Hafey/Premier Boxing Champions
(C)Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 サンチェスは鋭いジャブと再三のボディブローを放ったものの、26勝(16KO)9敗となったハンマーの粘り強さの方が、印象に残った。

 「新年を勝利で飾れて幸せだ。キューバ人ファンの前で、メインのルイス・オルティスのKO勝ちとセットで喜びを届けられた。マイアミは最高だね」と結んだサンチェスだが、世界タイトル挑戦の機会を得られるだろうか。その前に、ルイス・オルティスとのキューバ人ヘビー級対決が決まれば面白い。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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