今からすぐできる「捨てる」から始めない片付け
「捨てるから始める片付け」「片付けは捨てること」「捨てないと片付かない」
本や雑誌のテーマタイトルによくあるキーワードです。
その影響もあり、片付けのご依頼のクライアント様からは以下のような言葉が出来てきます。
- いらないモノを全部捨てないといけないのでしょうか?
- 捨てるかどうかを迷って片付けが進まない!
- なるべく捨てないで片付けできないでしょうか?
- 捨てる基準がわかりません?
実は、整理収納のプロとして仕事を始めた16年前は、私も「捨てない」と片付けは進めることができないと思っていました。
しかし、多くのクライアント様ご一緒に片付けを進める中で「捨てる」ことに抵抗ある方に対して、「捨てる」を前提で進めることが、「片付けが進まない」最大の原因であることに気づきました。「捨てる」「残す」の判断をするだけに時間がかかり、気持ちも落ちてしまう。これでは、せっかく片付けたいと思われて依頼されたのに、意味がない!
そこで、以下のように、変えることで片付けの作業が進むようになりました。
捨てる前にやってほしいこと
『モノの種類ごとにまとめること』
片付いていない家の多くは、「モノの住所」が決まっていないことが多く、同じ種類のモノでも分散し収納されています。
その場合のデメリットは
- 置き場所がわからず探す
- 家にある全体の量(在庫量)がわからず、余分に購入してしまう
まずは、家の中に何がどのくらいあるのかを「モノの種類ごとにまとめる」これが捨てる前に手をつけることです。
消耗品から手をつける
では、何から手をつけたらいいのか?
日用品の中の消耗品から「まとめる」作業をしていきます。その理由は、消耗品は暮らしの中で「使用しているモノや量」が最もわかりやすく判断しやすいモノだからです。
例えば「マスク」の例です。
- 分散したマスクを集める
- マスクの種類でさらにわける(大人用・子ども用)
- 全体の数を確認する
- 毎日使うマスクの数を全体量で割る
- 現在、自宅に保管しているマスク量の消費する期限がわかるため
- 次に購入する時期や量も把握することができる。
ここまでできたら、マスクを収納する場所を決めます。
おすすめの収納場所は「使用する場所」
マスクを使用するときは、基本的には「出かけるとき」
収納場所は、玄関で、さらに、マスクが見えるように収納する。
「見えている」ので忘れない
「見えている」ので残りの量も把握できる
マスクを過剰に購入したり、あるかどうか不安になることも防ぐことができるため、常に必要な量を必要なだけ持つことができる。
ただし、家に保管している全部のマスクが見えるように収納されていると、玄関がマスクだらけになってしまうため、
ストック分のマスクについては、玄関近くまたは、別の消耗品なども一緒に収納する場所を決めて、マスクを使用する家族全員に共有しておくことが必要です。
消耗品の次は「思い出的なモノ」
片付けが進まない代表的なモノが「思い出的なモノ」です。
それに着手するって「むりでしょ」って思われるかもしれません。
しかし、「思い出的要素」があるものは、増えていくものです。
増えていく要素があるに関わらず、収納する場所やスペースが決まっていなければ、新たに残したい、思い出の物が出てきたときに、適当に収納することとなり、どこに誰のどんな思いでのモノがあるのかを把握できなくなります。
思い出的要素がある物をまとめる作業の最大のポイントは「残す」「残さない」の判断を先送りすること
家の中の「思い出要素的なもの」をまとめる作業に徹する。
- 思い出要素があるものが収納されている場所からすべての思い出のモノを出していきます。
- 家族がいる場合は、「思い出を人ごと」にまとめる。
- 子どもの時代、独身時代、夫婦、自分の子ども、それぞれをまとめてみる。
そのうえで、収納スペースを決めていきます。収納スペースがない場合は、持ち主により収納するスベースを分けてもよいです。分散するときは、思い出の持ち主のモノとつながりがある場所に収納すれば後でも探しやすくなります。例えば自分の思い出は、自分の服を収納しているクローゼット、子どもの思い出は子どもの部屋や子どものモノを保管している収納スペースなどです。
収納スペースに収まれば、焦って捨てることはないですし、今後増えたときに判断を先送りすることができます。
「思い出要素的」に早い段階で着手する理由
過去の思い出は未来と向き合う大切な一歩です。
「思い出」は「昨日より前の過去の自分」です。「思い出」と向き会いながら、過去の自分あらためて知り、そして過去の自分を改めて認めることにつながります。
片付けとは「カタをつける」行為です。片付けをしながら、思い出のモノと接して、これまでの人生でやってきたことやこだわりなど知ることが出来ます。
それがわかって、初めて、これからはどう生きていきたいのか?どう暮らしていきたいのか?が明確になってきます。それが、どのようにモノと付き合っていくのかという「モノの持ち方の基準」つまり、モノを手元に残すのか?手放すのか?判断の基準です。
家の中のものは、捨てる前に「まとめる」
捨てることをまず最初に考えるよりも、分散しているものをまとめる。
「まとめる」ことで、自分のこれまでの(モノを通して)暮らし方が明らかになり、これからどうしていきたいのかをみつめる機会になります。
そのうえで、ごちゃごちゃしてもなんとか家の中に収納するスペースを確保することができた場合は、「今、手放せない」と思えば、判断を先送りすればいいですし、たくさんのモノがあって幸せだと思えば、「捨てる必要」はありません。
しかし、収納するスペースがない、または、これからはスッキリ暮らしたいと思うのであれば、自分が必要なモノの量だけを手元に残して、そのほかのモノについては、自分の納得いく方法で「手放す」今その時が、ご自身の未来を変えるチャンスなのかもしれません。
まずは、頑張りすぎず「マスク」など一番使用している消耗品一種類からやってみてくださいね!
筆者 江川 佳代
【江川佳代整理収納コンサルタントオフィス代表】
「収める」だけの収納ではなく、家族構成など個々のライフスタイルにあった、整理収納法や働き方改革につながるオフィスの環境改善の研修、セミナー、コンサルティング、収納サービスを実施。企業・学校・PTA・自立就労支援団体・イベントなど多方面からの依頼多数。
整理収納アドバイザー1級認定講師として、全国の整理収納アドバイザー育成にも力を注いでいる。「片づけを通じて人間力を磨く」を理念に、2014年一般社団法人 親・子の片づけ教育研究所を設立、理事就任。
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