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再び抗争勃発か?選手会がMLBから提出されたシーズン実施改正案を拒否へ

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
シーズン実施改正案を選手会に提出したMLBのマンフレッド・コミッショナー(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【MLBが選手会に新たな改正案を提出】

 MLBが選手会に対し、2021年シーズンの実施について新たな改正案を提出したようだ。米主要メディアが次々に報じている。

 各メディアが報じた内容を1つにまとめた記事を配信している『the Score』によると、改正案は、スプリングトレーニングの開始を約1ヶ月遅らせ、通常より8試合少ない154試合で実施される内容になっているという。

 この改正案は、MLBがアリゾナ州のオープン戦を統轄するカクタスリーグと、キャンプ施設が置かれる各市長らの連名による、スプリングトレーニング開始の延期要望書を受け取ってから6日後に、選手会に送られたようだ。

 現時点で選手会は、この案を受け入れるかどうかについて回答していない。

【シーズン開幕は4月28日】

 この改正案によれば、スプリングトレーニングの開始を3月22日にずらし、それに伴いシーズン開幕も、4月28日に延期されることになる。

 そのため試合数も154試合に短縮されることにより、選手会が主張し続けていた年俸の支払いの全額保証は担保されているようだ。

 また試合数の短縮を少しでも避けるため、シーズン終了も後にずれ込むため、ポストシーズンは11月まで実施されることになるという。

 ただ昨シーズンのような、ポストシーズンの中立地開催については言及されていない。

【選手会が拒否した内容も改正案に】

 年俸の全額保証は、選手会にとって歓迎すべきものだが、その一方で、これまで選手会が拒否した内容も改正案に含まれている。

 まずポストシーズンに進出できるチーム数が14チームとなっているようだ。昨シーズンより2チーム削減されているが、例年の10チームよりも拡大されている。

 また今シーズンもナ・リーグでもDH制を採用することも案に盛り込まれている。この2点については、選手会が今オフに拒否していたものだ。

 さらに年俸の全額保証はあくまで予定通り154試合を実施できたことが条件になっており、将来的なパンデミックにより試合が中止もしくは延期になった分の保証まではされていない。

【選手のエージェントらも困惑】

 スプリングトレーニングまで2週間に迫ったこの時期での改正案に、関係者も困惑しているようだ。

 前述の『the Score』によれば、選手のエージェントを務めるラファ・ニエベス氏は、以下のようなツイートを投稿している。

 内容は「数百人の選手たちが今後7~10日以内にアリゾナとフロリダに入ることになっている。彼らはすでに宿泊先の予約と支払いが済んでいる」というもので、戸惑いを露わにしている。

【選手会は改正案を拒否し再び抗争へ発展か?】

 さらにESPNのジェフ・パッサン記者によれば、選手会は改正案を拒否する方針のようだ。その場合は当初のスケジュール通りにスプリングトレーニングとシーズンも実施されることになるという。

 ただそうなれば、前述の自治体から届いたスプリングトレーニング延期要望書が無視されるかたちになり、自治体から反発を受ける可能性もある。

 2021年シーズンは、まだまだ先が見通せない状況といえそうだ。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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