【木曽町】 全国から集まった食の関係者がはっこうのまち木曽町で生産者の現場を視察 食文化や歴史を知る
木曽地方で300年以上前から作られている「すんき」。保存食のひとつで「すんき漬け」とも呼ばれています。赤かぶの葉を塩を使わず植物性乳酸菌だけで発酵させる食品。海から遠く山深い木曽谷で塩はとても貴重なものでした。山深い木曽で冬を越すためには保存食が欠かせないため、暮らしの知恵から生まれたすんき。すんきは乳酸菌が多く含まれ、食物繊維も豊富。すんきの健康への効果は全国的にも注目され続けていて、未来へ残すべく伝統の郷土料理です。
はっこうのまち木曽町に全国から食の関係者が集まる
「日本で最も美しい村」連合に加盟する木曽町。そして、連合に加盟する自治体の35歳以下の有志によって作られた団体「ヒトコト」。ヒトコトは今の日本を100年後に残すべく活動をしています。
丘の上のハートンツリー 服部大地さん(北海道鶴居村)、一棟貸しの宿「玄草」のオープンに向け取り組む、長屋詠一郎さん(木曽町)の声掛けから、12/14.15に木曽町の食文化や歴史を"ヒトやモノ、コト"を通して学ぶ「ヒトコトサミットin木曽町」を開催。連合の繋がりを活かして、全国から料理人が集まり木曽地域の食文化と歴史を学び、交流を深める時間を過ごしました。
すんき名人から伝統的発酵食品"すんき"を学ぶ
今回のヒトコトサミットのメインは生産者視察。木曽町内で事業に携わる皆さんから素材の魅力を学びます。その中のひとつがすんきの生産現場。すんきコンクールで名人の称号を得た「すんき名人」の野口廣子さんにお話をお聞きしました。
御嶽山の麓、標高1,000~1,300m。夏は涼しく冬は厳しい寒さの気候と風土で育つ伝統野菜のひとつ「赤かぶ」。地域名から名付けられた木曽町のかぶは6種類あり、形も様々。その中でもすんきに使われるかぶは限られていて、純粋な土地のかぶが守られています。
収穫したかぶの葉を刻み、前年のすんきを種にして仕込む製法。塩を一切使わず乳酸菌で発酵させて作る漬物です。ふたつの桶で作ったらそれぞれ違う味になり、同じ味は生まれないと言われます。その年の気候によっても味が変化、日々の気候とかぶを育む畑の状態と工夫を続けて、300年木曽地域の食卓に欠かせない一品です。
すんきをおいしくいただくバリエーションも豊富。かつお節を乗せてお醤油を少し垂らすと、よりすんきの味を楽しめます。酸味のなかに甘みと旨味も感じるすんき。旨味はすんきのなかにいる乳酸菌が作るコハク酸によるもので、コハク酸とは貝に含まれる旨味成分のひとつと言われています。お味噌汁にすんきを入れるとしじみの味がするそう!試してみたい一品です。
郷土の食文化の理解を深め、未来に残す取り組み
「木曽の赤かぶとすんき漬け」は、平成19年に国際スローフード協会が選定する、「味の箱舟」に認定されました。地域の自然と人々の生活と深い結びつきがあるものの、消えてしまうかもしれない伝統食材を未来に残そうという世界的な取り組みです。
すんきを作る人が少なくなってしまうのは、食べる人も少なくなっているから。木曽地域の伝統食品を守っていくために、木曽地域の小学校ですんきを作る取り組みも。学校で作ることで家庭の話題になり、家庭ですんきを作るきっかけにも。この「ヒトコトサミット」を通し、木曽地域の食文化と、すんきをはじめ発酵食品の魅力が全国に繋がる機会にもなりました。様々な視点から食文化と伝統と魅力が継がれています。
販売時期も季節限定のすんきです。年末年始の食卓のひとつに、味わってみてはいかがでしょうか。
「ヒト」と「コト」を伝えるヒトコトラジオの放送が始まりました!
「日本で最も美しい村」連合 ヒトコトサミットin木曽町 の開催に携わった「ヒトコト」のメンバーが、地域の魅力を掘り下げながら、日本の未来を考えるポッドキャスト。生き方や暮らし方、伝統や歴史を学び、受け継ぎ、次の世代へと伝えていくことを目指します。ヒトコトラジオは毎週日曜日に配信。ぜひ聴いてみてください!