Amazonの特許出願から推測するドローンの未来
「<国家戦略特区>4自治体新たに 千葉市はドローンで宅配へ」という記事を読みました。
「千葉市では人口集中地域などで小型無人機"ドローン"の飛行を禁止する航空法の規制を緩和しドローンを活用した薬や生活必需品の宅配サービスができるようにする。ネット通販大手の米アマゾン・ドット・コムの参入が見込まれる。」ということだそうです。
Amazonによるドローン配送計画(Amazon Prime Air)、当初はネタかとも思われていましたが、着々と実用化に向けて進んでいるようです。
ドローン配送なんて何に使うのと言う意見も散見されますが、真に革新的なテクノロジーが登場した時には、一般市民にとっては(さらにはビジネスのプロにとっても)そのテクノロジーが普及した世界が想像しにくいということはあります。パソコン普及前夜にも「家にコンピューターを置いて何に使うんだ?」なんてことを言っている人がいました(当時のDECのCEOケン・オルソン氏もその一人と言われています)。
ドローン配送のキラー・アプリケーションには何があるんでしょう?多少の費用がかかったとしても物凄く急いで運ばなければいけないもの(かつ、100%の信頼性がなくてもよいもの)と言えば何があるでしょうか?現在であればバイク便で運んでいるであろう重要書類等をドローンで運ぶのはちょっと信頼性的に問題があります。食べ物の出前であれば意味があるかもしれません。Amazonがケータリングビジネスに進出する、あるいは、外食産業の宅配用に自社の物流網を提供するというようなシナリオは考えられなくもありません。
さて、Amazonは、ドローン間連の特許をいくつか出願しています。そのひとつについてはちょっと前に書きました。この特許出願ですが、米国特許庁の審査情報データベースを見たところ、暫定拒絶が通知されていますし、第三者による情報提供も寄せられているので、当初のクレームで権利化するのは難しそうです(明細書に開示されている他のアイデア(たとえば、スマホを着陸場所の目印として使用するアイデア等)での権利化は十分に考えられます)。
そして、これとは別のファミリーの特許出願が最近公開されています(公開されただけで権利化されたわけではありません)。出願番号はUS 14/225,161、発明の名称は、” Sense and avoid for automated mobile vehicles”です。ドローンが空中で衝突しないよう、距離センサーを設けて位置をコントロールすることがポイントになっています。
この特許がどう権利化されるか(されないか)は何とも言えません、また、特許出願のとおりに技術が実施されるとも限りません、こういう発明がされるということ自体が、衝突を気にしなければいけないほど空を常に多数のドローンが飛びかっている未来をAmazonが想定しているというひとつの証拠と言えるでしょう。