井上尚弥戦を切望するWBCフェザー級王者vs.モンスターに屠られたフルトン戦まで、残すところ5週間
テキサス州ウェスラコ出身の27歳、ブランドン・フィゲロアとペンシルバニア州フィラデルフィアが故郷の30歳、スティーブン・フルトンとの再戦まで1カ月となった。同ファイトは2021年11月27日以来のリターンマッチである。第1戦は、WBOスーパーバンタム級チャンピオンだったフルトンが、WBC同級王者のフィゲロアを2-0(116-112、116-112、114-114)の判定で敗り、2冠を達成した。
だが、この判定に納得できない敗者はリング上でフルトンに毒つく。そして階級をアップし、復帰第2戦でWBC暫定フェザー級タイトルを手にした。このタイトルを1度防衛し、正規チャンプに昇格。25勝(19KO)1敗1分のフィゲロアは、この程、追われる立場としてようやく因縁の相手との試合を迎える。
待ちに待ったリベンジの機会だけに、KO率76パーセントのフィゲロアの表情は明るい。彼は2021年5月にそれまで無敗だったルイス・ネリを7ラウンドでKOし、122パウンドの世界タイトルを獲得しているため、日本人ファンからの注目度は高い。
一方のフルトンは、更に記憶に残る男だろう。井上尚弥のスーパーフェザー級転向一戦目の相手であり、2023年7月25日に有明アリーナで8回KO負けを喰らっている。心身ともに打ちのめされたフルトンだったが、1年2カ月のブランクの後カムバック。フェザー級に上げ、カルロス・カストロに10回判定勝ちしてフィゲロアへの挑戦切符を手にした。ただし、5回にダウンを喫した姿を、「井上に壊された」と主張するメディアもある。
実はフィゲロアのフェザー級デビューもカストロが相手だった。2022年7月9日の試合は、フルトンよりもはるかに良いファイトを見せた。6ラウンドTKO勝ちを収めている。
フィゲロアは言う。
「2021年11月も勝ったのは俺だ。今回は、絶対にあのような思いを繰り返すことは無い」
フルトンも話す。
「ヤツは俺に勝ったとぬかしている。そしてヤツの家族もフィゲロア勝利と主張しているな。でも、明確にポイントを稼いだのはこっちさ。それが事実なんだ。ヤツがスイッチするのは予想外だったが」
勝者はWBCフェザー級チャンピオンとして井上尚弥の対戦相手候補になりそうだ。残りの5週間、両者はどのように己を仕上げるか。