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ステフィン・カリーが欠場した日に光を放った21歳

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
撮影:筆者

 クリスマス明けの現地時間27日(金)、西地区7位のロスアンジェルス・クリッパーズのホームに、10位のゴールデンステイト・ウォリアーズがやってきた。イングルウッドに建てられ、今季から使われているインテュイット・ドームは予想以上にゴージャスな建物だ。1万8000人を収容できる。

撮影:筆者
撮影:筆者

 クリッパーズは直近の4試合のうち3ゲームに勝利していた。特に4日前、アウェイのメンフィス・グリズリーズ戦を114-110でモノにし、チームのムードは上向きだった。

 18時46分、水色のウェアに身を包んでアリーナに現れたクリッパーズ面々は、誰もが溌剌としていた。 

カワイ・レナード
カワイ・レナード写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 しかしながら、6度オールスターに選ばれ、クリッパーズの顔と呼べるカワイ・レナードは右膝の故障がまだ癒えておらず、今季の“デビュー”まで、もう少し時間が掛かりそうだ。1月4日のアトランタ・ホークス戦に出場する可能性が高いとのことだが、この日もベンチ外だった。ただ、練習には合流しているとのことで、復帰が待ち遠しい。

ステフィン・カリー
ステフィン・カリー写真:ロイター/アフロ

 一方のウォリアーズはステフィン・カリーに休息を与え、ゲイリー・ペイトン・ジュニアが左脹脛の肉離、ドレイモンド・グリーンも左腰打撲で欠場した。

 ジェームズ・ハーデン vs. ステフィン・カリーを期待したファンは肩透かしを食う格好となった。

撮影:筆者  ジェームズ・ハーデン
撮影:筆者 ジェームズ・ハーデン

 試合開始の数時間前、カリーは選手だけのミーティングを開き、「俺たちは、(オールスター)中断までに、勢いを取り戻すことが出来る。何週間残っているとしてもだ。でも、誰も望まない状況に陥ってしまう可能性もある」と語りかけた。

撮影:筆者 デニス・シュルーダー
撮影:筆者 デニス・シュルーダー

 そのカリーのいないウォリアーズをPGとして支えることを期待されたのは、デニス・シュルーダー。だが、7得点1リバウンド5アシストと精彩を欠いた。

 対照的に、セカンドユニットとして登場した背番号2のブランディン・ポジェムスキーが気を吐いた。試合前、3つのテニスボールを手にコートに現れ、お手玉のように扱うウォーミングアップを始めた21歳は、カリーのいないチャンスに自身の存在感を示そうと、気力が漲っていた。

撮影:筆者 ブランディン・ポジェムスキー
撮影:筆者 ブランディン・ポジェムスキー

 最終Qの残り7分3秒、ハーデンとマッチアップするなか、激しいショルダーチャージを受ける。ハーデンらしい“マリーシア”だったが、21歳はコートに倒れ、ファウルを獲得する。その26秒後、ポジェムスキーがクリッパーズのセンター、イビツァ・ズバッツを背後から追いかけた際、アミール・コフィーがコースに入り、転倒。報復プレーかと、コートは一瞬荒れかけた。それでも、直後にポジェムスキーはアシストをマークし、さらに闘志を滾らせた。

撮影:筆者 ブランディン・ポジェムスキー
撮影:筆者 ブランディン・ポジェムスキー

 ウィスコンシン州生まれのポジェムスキーは、イリノイ大、サンタ・クララ大で1年ずつプレーした後、2023年にドラフト1巡目19位でウォリアーズ入りした。昨シーズンはルーキーながら74試合に出場。確実に歩を進めている。27日のゲームには31分出場し、10得点2リバウンド、5アシストをマークした。

 カリーを温存したウォリアーズは、92-102で敗れたが、背番号2のポジェムスキーが存在感を放っていた。今後が楽しみな選手である。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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