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ノーヒッターが多発する今シーズンは「リリーフ投手の完全試合」も地味に達成されていた

宇根夏樹ベースボール・ライター
リチャード・ロドリゲス(ピッツバーグ・パイレーツ)May 2, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今シーズンは、ノーヒッターが多発している。4月9日にジョー・マスグローブ(サンディエゴ・パドレス)、4月14日にカルロス・ロドーン(シカゴ・ホワイトソックス)、5月5日にジョン・ミーンズ(ボルティモア・オリオールズ)、5月7日にウェイド・マイリー(シンシナティ・レッズ)が達成。4月25日には、マディソン・バムガーナー(アリゾナ・ダイヤモンドバックス)が「非公式」のノーヒッターを記録した(これについては「ダブルヘッダーで打たれたヒットは計1本。2試合目は「非公式」のノーヒッター」で書いた)。

 それらに加え、リチャード・ロドリゲス(ピッツバーグ・パイレーツ)は、「リリーフ投手の完全試合」を成し遂げている。4月13日から5月4日までの8登板で、計9イニングを投げ、対戦した打者27人を全員アウトに仕留めた。4月12日に対戦した最後の打者を含めれば、28打者連続アウト。その後、パイレーツが行った2試合には登板しておらず、ストリークは現在も継続中だ。

筆者作成
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 しかも、開幕から4月12日の4登板も、ロドリゲスの失点はゼロ。前の投手から引き継いだ走者1人も、生還させていない。塁に出したのは、シングル・ヒットと四球の計2人だけだ。最後の失点は、昨年8月29日まで遡る。昨シーズンから今シーズンにかけて、23登板の計23.0イニングで無失点を続けている。

 ロドリゲスは、メジャーリーグ5年目の31歳だ。デビューは27歳と遅めだった。2年目の2018年に63登板の計69.1イニングで防御率2.47を記録したものの、翌年は72登板の計65.1イニングで防御率3.72。昨シーズンは24登板の計23.1イニングで防御率2.70と持ち直した。スタットキャストの今シーズンのデータによると、投球の大半を占める4シームは90マイル台前半ながら、スピンが効いていて、平均2600回転/分に近い。そこに交える80マイル台前半のスライダーも、ほぼ同じスピン・レートだ。

 この調子が続けば、今夏のトレード市場で人気を集めそうだ。2023年のシーズンが終わるまでFAにはならないが、パイレーツの状況と年齢を考えると、プロスペクトを手に入れるために、いつ放出されてもおかしくない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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