「きっかけが欲しい」。レスターの岡崎慎司は日本人ダービーを転機にできるか
レスターの岡崎慎司が、9月25日に行われたリーグ杯3回戦のウォルバーハンプトン戦で今シーズン2試合目となる先発出場を果たした。
今季レスターでは、これまで岡崎が先発を務めてきたトップ下のポジションに、イングランドU−21代表MFのジェームズ・マディソンが加わった。確かなパスセンスとドリブル突破力、高い決定力を有するマディソンはプレミアリーグの第6節まで全試合に先発し、3ゴール・1アシストをマーク。21歳の若手ながら10番を与えたクラブの期待に、早くも結果で応えている。
一方、岡崎はW杯ロシア大会で痛めた足首の怪我で、レスターへの合流が遅れた。
8月下旬に話を聞いた際には「プレーができないわけではない。試合をやりながら、怪我を治していきたい」と状況を説明していた。「最低3ヶ月はかかると思う。10〜11月ぐらいまではストレスを抱えながら、やらないといけない。12月ぐらいまでかかる」という。試合や練習をこなしながら、同時進行でリハビリと身体改造を行なっていくと話していた。
しかし、あれから1ヶ月が経過した今、岡崎は「足もいい感じに戻って来た」という。4−2−3−1のトップ下として出場したウォルバーハンプトン戦で軽快な動きを見せ、敵にプレッシャーをかけながら、相手DFとMFにできる「間(あいだ)のスペース」に侵入してパスを受けた。
ポゼッション志向が強まったレスターはパスをよく回し、サイドバックも頻繁に攻撃に参加して押し込んだ。しかし、守備時に5バックに変形するウォルバーハンプトンのディフェンスに手こずり、なかなか決定的なチャンスを作れない。岡崎も試合序盤こそボールによく絡んだが、試合が進むにつれボールタッチの回数が減っていく。そして、0−0で迎えた後半16分に途中交代──。日本代表FWは、決定機に絡むことなくピッチを後にした。
試合はPK戦の末にレスターが勝利し、4回戦に駒を進めた。試合後、岡崎は「守備の部分を含め、プレッシャーをかけるところでも、かなりいい感じにできた。ある一定のプレーは出せた」と語った。しかし、現状を打破するには、それだけでは足りないという。
「今のチーム事情として、真ん中でやる選手は、次のもう一個、なにか結果を出していくことが必要になってくる。(ケレチ)イヘアナチョ、(ジェイミー)バーディー、マディソンは結果を出しているので、そこに食らいつきたい。レスターは、上位を狙うチームになってきている。だから、試合に出るには、彼らを超えるために結果が必要になる。今日みたいな試合でも、どこかで見せなきゃいけない場面が必要だった。見せる場面が少なかったところもあるけど、自分のプレーや選択で、もう一個なにかできるチャンスはあったと思う。そのへんのチャレンジをもうちょっとできたらいい」
マディソンが台頭してきた今、岡崎の出場機会は極めて限られている。国内リーグ戦は途中交代での出場が3試合に留まり、先発の機会はチームの優先順位が落ちるリーグ杯しかない。それだけに、ゴールやアシストなど目に見える結果が必要だと説いた。
さらに、今の流れを変えるにはきっかけが欲しいと力を込める。
「なにか、ひとつきっかけが欲しい。点を取ることだったり、こぼれ球でもいいから何でも。途中出場では勝手が変わってくるんで。今の状況だと、監督はたぶん点を取るために俺を入れるというスタンスではない。どっちかというと、最後の締めに使うのが基本路線になっている。やっぱり、すごく難しい。今日みたいなところで(ゴールという)結果を出さないと、『コイツはやってくれる』という風には思ってくれない」
プレスや献身的な動きなどチームプレーヤーとして評価を高めてきた岡崎だが、それだけではレギュラーの座を確保するのが難しくなってきた。ゴールを奪うことで、結果も残せるFWであることを再アピールしたい。
29日に行われるレスターの次節は、武藤嘉紀が所属するニューカッスルとの一戦だ。岡崎は「向こうのチーム事情は苦しいと思う。そういうチームに勝っていかないと、僕らもダメかなと。確実に勝ちたい」と語気を強め、「武藤が出るかどうかはわからないですけど、プレミアで日本人対決というのは特別だと思う。できたらいいですけどね」と意気込んだ。
果たして、岡崎は日本人ダービーを転機にできるか。