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【アメリカで大暴れしたスーパー戦隊は?】爆竜戦隊アバレンジャーの溢れる魅力と、米国での大アバレとは?

二重作昌満博士(文学)/PhD(literature)

皆さま、こんにちは!

文学博士の二重作昌満(ふたえさく まさみつ)です。

爽やかな秋の空気から一転、急に寒くなりましたが、いかがお過ごしですか?

さて、今回のテーマは「ときめき」です。

「ときめき」とは、広辞苑で「喜びや心配などの強い感情のために、胸がどきどきすること。」と定義される、心に感じるよろこびの気持ちー。

突然ですが、皆さまはどんなことをすると「ときめき」ますか?

筆者の数ある「ときめき」の1つは「海」。朝起床して海岸を散歩したり、静かに海を眺めたりー。ハワイでは平日の早朝でもサーファー達がビーチを訪れ、サーフィンを嗜む姿が伺える(オアフ島内にて筆者撮影)。
筆者の数ある「ときめき」の1つは「海」。朝起床して海岸を散歩したり、静かに海を眺めたりー。ハワイでは平日の早朝でもサーファー達がビーチを訪れ、サーフィンを嗜む姿が伺える(オアフ島内にて筆者撮影)。

体を動かしている時!という方もいれば、おいしいものを食べている時!という方、はたまた読書をして物語の世界に浸る時!行ってみたい場所へ訪れた時!といったように、十人十色な回答があるかと思います。

仮面ライダーやスーパー戦隊シリーズ本編にて、何度も戦いの舞台(ロケ地)として撮影されている栃木県の岩船山採石場。当地では定期的に爆破体験ツアーが行なわれており、世界各国の特撮ファンも訪れる聖地である。
仮面ライダーやスーパー戦隊シリーズ本編にて、何度も戦いの舞台(ロケ地)として撮影されている栃木県の岩船山採石場。当地では定期的に爆破体験ツアーが行なわれており、世界各国の特撮ファンも訪れる聖地である。

古典文学の世界でも、清少納言の『枕草子』では「心ときめきするもの」についての記述がありますが、人生という長い冒険の中で、いつでも「ときめき」というものは、忘れずに感じ続けていたいものです。

いきものがかりの歌う名曲「ときめき」。当曲は、東映アニメーション制作のプリキュアシリーズ20周年記念ソング、そしてアニメ作品『キボウノチカラ〜オトナプリキュア'23〜』の主題歌としても使用された。
いきものがかりの歌う名曲「ときめき」。当曲は、東映アニメーション制作のプリキュアシリーズ20周年記念ソング、そしてアニメ作品『キボウノチカラ〜オトナプリキュア'23〜』の主題歌としても使用された。

さてさて、そんな心躍る状態を表わす「ときめき」ですが、我が国が世界に誇る大人気コンテンツである特撮ヒーロー番組の世界にも、この「ときめき」を求めて、命を賭けて戦ったスーパーヒーローの活躍を描いた作品があることをご存知でしょうか?

その作品とは『爆竜戦隊アバレンジャー(2003)』。『秘密戦隊ゴレンジャー(1975)』を起点とするスーパー戦隊シリーズの第27作であり、恐竜をはじめとする太古の生命の力・ダイノガッツで戦う5人のスーパーヒーローチームでした。

スーパー戦隊シリーズ第27作『爆竜戦隊アバレンジャー(2003)』は、ダイノガッツを宿した5人の若者達と悪の組織・邪命体「エヴォリアン」との戦いを描く。
スーパー戦隊シリーズ第27作『爆竜戦隊アバレンジャー(2003)』は、ダイノガッツを宿した5人の若者達と悪の組織・邪命体「エヴォリアン」との戦いを描く。

そんな個性豊かな5人のアバレンジャーの中で、自らの「ときめき」を求め、戦いを「ゲーム」と称して他の4人のアバレンジャーと幾度も対決し、壮絶な最期を遂げた「アバレキラー」と呼ばれるヒーローがいました。

なぜアバレキラーは命の駆け引きのような危険なゲームを展開してまで、「ときめき」に拘り続けるのかーそれは、彼が辿ってきた哀しい過去がありましたー。

そこで本記事では、ときめきのヒーローである「アバレキラー」の魅力に焦点を当てていくと共に、米国を舞台としたアバレンジャーの活躍についても少しだけ焦点を当てていきたいと思います。

※本記事は「私、アニメや特撮にくわしくないわ」という方にもご覧頂けますよう、可能な限り概要的にお話をしておりますので、ゆっくり肩の力を抜いて、気軽にお楽しみ頂けたらと思います。

【荒ぶるダイノガッツ!】正義のために暴れまくる爆竜戦隊アバレンジャー最大の敵、アバレキラーの哀しき「ときめき」とは?

さて本記事では、『爆竜戦隊アバレンジャー(2003)』に登場するアバレキラーの物語に触れていきますが、その前に少しだけ、スーパー戦隊シリーズについてご紹介をさせてください。

「5人揃って、ゴレンジャー!」スーパー戦隊シリーズ第1作『秘密戦隊ゴレンジャー(1975)』(筆者撮影)
「5人揃って、ゴレンジャー!」スーパー戦隊シリーズ第1作『秘密戦隊ゴレンジャー(1975)』(筆者撮影)

シリーズ第1作『秘密戦隊ゴレンジャー』が1975年に放送が開始されて以降、『太陽戦隊サンバルカン(1981)』、『忍者戦隊カクレンジャー(1994)』、『忍風戦隊ハリケンジャー(2002)』、『海賊戦隊ゴーカイジャー(2011)』、『王様戦隊キングオージャー(2023)』、そして最新作『爆上戦隊ブンブンジャー(2024)』まで全48作品がこれまで放送されてきました。

スーパー戦隊シリーズ第26作『忍風戦隊ハリケンジャー(2002)』は、疾風流、迅雷流、宇宙統一忍者流の3つの流派に所属している6人の忍者戦士の活躍を描く。本作は10周年、20周年記念作も製作された。
スーパー戦隊シリーズ第26作『忍風戦隊ハリケンジャー(2002)』は、疾風流、迅雷流、宇宙統一忍者流の3つの流派に所属している6人の忍者戦士の活躍を描く。本作は10周年、20周年記念作も製作された。

毎作、動物や忍者、恐竜や乗り物といった多種多様な題材をヒーローに取り入れてながら、長い歴史を構築してきたスーパー戦隊シリーズですが、シリーズで2度目の恐竜をモチーフにしたスーパー戦隊が、シリーズ第27作『爆竜戦隊アバレンジャー(2003)』でした。

『爆竜戦隊アバレンジャー』は2003年2月16日から2004年2月8日まで、全50話が放送された(写真は東映ビデオ株式会社より発売中の本作のDVD-COLLECTION全2巻)。
『爆竜戦隊アバレンジャー』は2003年2月16日から2004年2月8日まで、全50話が放送された(写真は東映ビデオ株式会社より発売中の本作のDVD-COLLECTION全2巻)。

本作は、太古の昔より継承されてきた力である「ダイノガッツ」を持つ4人の若者達が、地球侵攻を開始した悪の組織「エヴォリアン」から地球を守る物語。

恐竜という子ども達にとって不動の人気を誇る素材を基盤に起きつつも、物語は全体的にシリアスかつ、ブラックユーモアを含めて「攻めた」描写が多かったのが本作の特徴でした。例えば、ベッドシーンや出産シーンを彷彿とさせるイメージ描写や、破壊衝動に駆られ凶暴化する子ども達、そして私利私欲のために子ども達を利用する大人の醜い部分を描いたシリアスな展開の傍ら、敵の攻撃でアバレンジャーと彼らを支援する喫茶店(恐竜や)のメンバー全員が、老若男女問わずビキニ姿にされた上、恐竜やの女性メンバー(後にブルーと結婚する今中笑里)はビキニ姿のままビーナス像へと石化してしまうような異次元の水着描写を導入、さらには他番組とコラボして『子連れ狼(1970) 』やアニメ版『釣りバカ日誌(2002)』の登場人物達と力を合わせる展開も描写されました。

アバレンジャーのパートナーであるのが、恐竜が進化した巨大生命体である「爆竜」。人の言語を話す爆竜ティラノサウルス、トリケラトプス、プテラノドンの3体が爆竜合体し、戦闘巨人「アバレンオー」となる。
アバレンジャーのパートナーであるのが、恐竜が進化した巨大生命体である「爆竜」。人の言語を話す爆竜ティラノサウルス、トリケラトプス、プテラノドンの3体が爆竜合体し、戦闘巨人「アバレンオー」となる。

これだけ列挙しても全然足りない程、強烈なインパクトに溢れる攻めた描写・・・即ち「アバレた」展開に溢れていたのが、タイトル通り『爆竜戦隊アバレンジャー(2003)』の特徴ですが、その物語が中盤に差しかかる頃(第18話)、番組視聴者に大きな衝撃を与えるスーパーヒーローが登場します。

その名は、アバレキラー。

『爆竜戦隊アバレンジャー(2003)』第18話にて初登場したアバレキラー(仲代壬琴)。アバレンジャーの強敵として登場し、他者の生命でさえ躊躇なく天秤にかける凶悪な「ゲーム」を展開する(筆者撮影)。
『爆竜戦隊アバレンジャー(2003)』第18話にて初登場したアバレキラー(仲代壬琴)。アバレンジャーの強敵として登場し、他者の生命でさえ躊躇なく天秤にかける凶悪な「ゲーム」を展開する(筆者撮影)。

ヒーローでありながらも、少し物騒な名前であるアバレキラーですが、彼は天才医師・仲代壬琴が変身する白いアバレンジャー。他のアバレンジャー達を凌駕する強力な力を秘めた反面、変身すると命の危険を伴うほか、彼のスーツは大爆発の危険性もはらんでおり、それは東京そのものを簡単に消し飛ばす威力でした。

「そんな危ないものを着用する人物がヒーローなのか?」とお感じの方も多いかと思います。

実はこのアバレキラー、はじめはアバレンジャーの敵として初登場しました。アバレキラーに変身する力を手にした仲代壬琴(なかだい みこと)は、アバレンジャーとの戦いをゲームと位置づけ、自らの「ときめき」のためにアバレンジャーに戦いを挑み、自分が面白いと感じるゲームのためには他者の犠牲を厭わない、極めて利己的な性格だったのです。

他のアバレンジャーと同様、アバレキラーも2体の爆竜(トップゲイラー、ステゴスライドン)と共に戦う。両者が爆竜合体した戦闘巨人キラーオーは、アバレンオーをも凌ぐ戦闘力を有している難敵であった。
他のアバレンジャーと同様、アバレキラーも2体の爆竜(トップゲイラー、ステゴスライドン)と共に戦う。両者が爆竜合体した戦闘巨人キラーオーは、アバレンオーをも凌ぐ戦闘力を有している難敵であった。

この性格は戦いにおいても反映されており、アバレキラーを説得するため、アバレンジャーのリーダー格であるアバレッドが彼と一騎打ちを行なった際、アバレッドが自らの名乗りを披露する最中に攻撃に出るという、「ヒーローの名乗りの最中は攻撃をしてはいけない」という掟破りの暴挙にも出ていました。

「元気莫大!アバレ・・・あぁぁぁぁぁ!ぁぁぁっ!」(アバレッド)

「そういうのが"ダサい"つってんだよ!」(アバレキラー)

名乗りの最中にアバレッドに瞬足で打撃攻撃を加えた上、アバレキラーの戦力は圧倒的。アバレンジャー達を完膚なきまでに叩きのめす実力と共に、爆竜・トップゲイラー(翼竜型ロボットを模した生命体)といった新戦力も結集。時にはアバレンジャー達の相棒である爆竜達を奪い自らの戦力にしたほか、その強大な戦力でアバレンジャーの敵組織「エヴォリアン」の頂点(ボス)まで登り詰めました。

アバレキラーのゲームに翻弄されたアバレンジャーは、爆竜達をキラーに強奪される事態に直面する。写真のバキケロナグルスをはじめとする爆竜達が、キラーの手中に落ちて利用される緊迫の展開も描かれた。
アバレキラーのゲームに翻弄されたアバレンジャーは、爆竜達をキラーに強奪される事態に直面する。写真のバキケロナグルスをはじめとする爆竜達が、キラーの手中に落ちて利用される緊迫の展開も描かれた。

その存在感は絶大で、当組織の女性幹部の一人(リジュエル)はアバレキラーに惚れてしまい、自分がキラーを独占したいために地球の全女性をラフレシアの花に変えるというぶっ飛んだ作戦を試みるほどでした。地球侵攻というよりは、もはや個人的な理由で作戦を立案する程のぞっこんぶりだったのです。

アバレキラーの戦力は絶大で、あっさりと敵(エヴォリアン)の怪人3体も撃破してしまうほど。やがてエヴォリアンのトップとして君臨し組織を手中に収めるも、その心の内面は常に虚しさを感じていた(筆者撮影)。
アバレキラーの戦力は絶大で、あっさりと敵(エヴォリアン)の怪人3体も撃破してしまうほど。やがてエヴォリアンのトップとして君臨し組織を手中に収めるも、その心の内面は常に虚しさを感じていた(筆者撮影)。

そんなアバレたい放題だったアバレキラーこと仲代壬琴ですが、物語の進行につれて彼の過去も明らかになっていきます。なぜ仲代壬琴が命の駆け引きのような危険なゲームをしてまで自らの「ときめき」に拘るのか、これを明確にしていきながら『アバレンジャー(2003)』の物語はクライマックスに向けて動き出していくことになります。

仲代壬琴は医大を飛び級で卒業し、14歳で医師免許を取得した天才外科医であり、天才であるが故に何でも出来る少年時代を過ごしていました。また友達や仲間もおらず、手応えがなく虚しさを感じる人生をこれまで歩んできたことも明らかになります。それ故にアバレキラーの力を手にしたことで快感を感じ、刺激を求めてアバレンジャーとの戦いに身を投じていたのです。しかし、少年時代からの彼の優秀な才覚は、実はアバレンジャーと敵対するエヴォリアンの因子が体内に埋め込まれたことが原因であったことが判明しました。つまり、彼が天才だったのは他者の力(エヴォリアン)による干渉が発端だったのです。

自らの人生が敵により歪められていたことを知った仲代壬琴はエヴォリアンを離れ、改心してアバレンジャーと共闘するようになります(アバレキラーの初登場は18話、そして共闘は47話。本当に長い道のりでした)。かつては邪魔をしていたアバレンジャー達の名乗りにも参加し、やっと5人揃っての名乗りが視聴者に向けて披露されたのです。

アバレキラーは第47話(全50話)にして、ついにアバレンジャーの一員としてエヴォリアンに戦いを挑む(画像はイメージ)。しかし度重なるアバレキラーのスーツの装着により、仲代壬琴の体は限界に近づいていた。
アバレキラーは第47話(全50話)にして、ついにアバレンジャーの一員としてエヴォリアンに戦いを挑む(画像はイメージ)。しかし度重なるアバレキラーのスーツの装着により、仲代壬琴の体は限界に近づいていた。

「元気莫大!アバレッド!」(アバレッド)

「本気爆発!アバレブルー!」(アバレブルー)

「勇気で爆進!アバレイエロー!」(アバレイエロー)

「無敵の竜人魂!アバレブラック!」(アバレブラック)

「ときめきの白眉!アバレキラー!」(アバレキラー)

「荒ぶるダイノガッツ!爆竜戦隊!アバレンジャー!」(アバレンジャー一同)

しかしやっと5人揃ったアバレンジャー達の勇猛果敢な戦いが展開されたのも束の間、戦いの中でアバレキラーは自らの力を制御できなくなってしまいました。

狡猾かつ利己的な性格であったアバレキラー(仲代壬琴)であったが、最後は自らの過去を知り、かつての自分と決別する。傷つき生命の危機に苛まれながらも戦い続ける彼の姿は、紛れもなく「スーパー戦隊」であった。
狡猾かつ利己的な性格であったアバレキラー(仲代壬琴)であったが、最後は自らの過去を知り、かつての自分と決別する。傷つき生命の危機に苛まれながらも戦い続ける彼の姿は、紛れもなく「スーパー戦隊」であった。

戦いを終えると、夕日の砂浜で仲代壬琴は大量出血して崩れます。彼のアイデンティティであった白いコートは、流血で真っ赤に染まっていました。彼の身を案ずる他のメンバーに対し、仲代壬琴はアバレンジャー達と距離を取ります。

「早くここから離れろ。ダイノマインダー(変身アイテム)が暴走し、爆発する。」(仲代壬琴)

もうじき爆発して命を散らすことになる瀕死状態の彼を、アバレンジャーから引き離して上空へと運んだのは、仲代壬琴の唯一無二の相棒である爆竜のトップゲイラーでした。

「きてくれたか・・・トップゲイラー。宇宙まで出たら、俺を放り出して・・・帰れ。」(仲代壬琴)

「人間。俺はお前と一緒だと言ったはずゲラ。」(トップゲイラー)

「・・・物好きな奴だ。皮肉なもんだ。生きたいと思った・・・この俺が・・・だが不思議と・・・悪い気分じゃない。」(仲代壬琴)

仲代壬琴は、静かに目を閉じ、頭を垂れます。

「お前は俺達を十分ときめかせたゲラ。お前はもう、ときめきを探す必要は無い。さらばだ。壬琴。」(トップゲイラー)

仲代壬琴を乗せ、宇宙空間まで飛び出したトップゲイラー。壬琴とトップゲイラーは青白い光となって宇宙で静かに爆発します。その様子を見守っていたアバレンジャーの仲間達。アバレキラー亡き後も、アバレンジャー達は力を結集して最後の戦いに挑み、エヴォリアンの首領(デズモゲヴァルス)を命からがら葬ります。熾烈な戦いを終えたアバレンジャー達は、それぞれの新たな道へと旅立っていったのでした。

アバレキラーの最期を見届け、再び4人となったアバレンジャーは敵(エヴォリアン)の総大将であるデズモゲヴァルスに挑む。命を賭して最後の敵を葬ったアバレンジャー達は、使命を終えそれぞれの道へ旅立っていった
アバレキラーの最期を見届け、再び4人となったアバレンジャーは敵(エヴォリアン)の総大将であるデズモゲヴァルスに挑む。命を賭して最後の敵を葬ったアバレンジャー達は、使命を終えそれぞれの道へ旅立っていった

『爆竜戦隊アバレンジャー(2003)』において衝撃の登場を果たしたアバレキラーですが、全てをゲームと称して命を弄ぶ利己的な戦いを行なった彼の背景には、敵に人生を弄ばれた悲しい過去を秘めており、最終的に彼はアバレンジャーとその仲間達を思いやる優しさと友情を手にします。しかし5人目のアバレンジャーとなった翌週、自らの人生を生きたいと思った矢先に死んでしまうという切ない結末を迎えます。初登場からその最期にかけて、視聴者に向けて強烈なインパクトを残したアバレキラー(仲代壬琴)ですが、彼の活躍を通じて視聴者が心に感じた「ときめき」は、本作の放送から20年以上経過した現在も、そしてこれからも。今を生きる私達の心の中に大切に残り続けていくことでしょう。

【アメリカでも大アバレ!】20周年を迎えた爆竜戦隊アバレンジャーが切り開く新たな未来とは?

上述してきた『爆竜戦隊アバレンジャー』ですが、2003年から2004年までの約1年間の日本での放送を終え、その後海外版スーパー戦隊シリーズである『Power Rangers Dino Thunder』と題して、2004年に米国で放送が開始されました。

『パワーレンジャー・ダイノサンダー(Power Rangers Dino Thunder)』は2004年に米国で放送開始。放送後もDVDが複数種発売されており、海外独特の躍動的なパッケージが目を惹く。
『パワーレンジャー・ダイノサンダー(Power Rangers Dino Thunder)』は2004年に米国で放送開始。放送後もDVDが複数種発売されており、海外独特の躍動的なパッケージが目を惹く。

本作は、日本版の『爆竜戦隊アバレンジャー』をベースに、日本人の俳優さん達の出演シーンを現地俳優さん達の出演シーンに差し替え、着ぐるみやミニチュアを使った戦闘シーンは日本で撮影した映像を流用する形で、約30分の番組として編成したもの。

『パワーレンジャー・ダイノサンダー(Power Rangers Dino Thunder)』で活躍するアバレンジャー達は高校生が変身し、地球を恐竜帝国に変えようとする恐竜人間メゾゴッグから、平和を守る物語。なんと本作では、アバレキラーが2人(片方が偽物)登場したり、日本版『アバレンジャー』の映像をそのまま使用したエピソードも放送される等、異色な展開が実施されてきたほか、本作で『Power Rangers』シリーズ通算500話も迎える記念碑的な作品となる等、海外版アバレンジャーも広大なスケールで「アバレ」ていたのです。

またパワーレンジャーシリーズの放送権利が当時、ウォルト・ディズニー・カンパニーが所有していたことから、アバレンジャーもディズニーキャラクター達と肩を並べ、アメリカのディズニーパークのパレードに出演したり、ディズニーストアで玩具が発売されていた時期がありました(2024年現在、当シリーズの権利は別会社が保有していますが、ディズニーが権利を持っていた時代を、現地のファンは「ディズニーエラ(Disney era)」と呼んでいます)。

米国のディズニーパークは日本と異なり、マリオをはじめ他会社のキャラの商品も多数販売される等の「大らかさ」が魅力(2012年ウォルト・ディズニー・ワールドリゾート内EPCOT「日本館」にて筆者撮影)。
米国のディズニーパークは日本と異なり、マリオをはじめ他会社のキャラの商品も多数販売される等の「大らかさ」が魅力(2012年ウォルト・ディズニー・ワールドリゾート内EPCOT「日本館」にて筆者撮影)。

私事ですが、子どもの時から日本とハワイの二カ国で生活をしながら現在に至ってきたので、ハワイでのパワーレンジャーシリーズの思い出もいくつかあるのですが、特に覚えているのはパワーレンジャーがディズニー傘下で展開されていた時期でした。

アラモアナ・センターは350軒以上のお店やレストランが軒を連ねる大型商業施設。2024年現在まで拡張が継続されており、1日だけではとてもまわれない。当施設にはかつて「ディズニーストア」も営業していた。
アラモアナ・センターは350軒以上のお店やレストランが軒を連ねる大型商業施設。2024年現在まで拡張が継続されており、1日だけではとてもまわれない。当施設にはかつて「ディズニーストア」も営業していた。

ハワイ州の大型商業施設「アラモアナショッピングセンター」内にて、2007年当時営業していたディズニーオフィシャルショップ『ディズニーストア』(2024年現在閉店)に入店したら、ストアの一角がアバレンジャーをはじめとする歴代のパワーレンジャーの玩具がずらっと並び、隣を観たらミッキーマウスやミニーマウス、さらにはスティッチのぬいぐるみがどっさり配置されていた状況で、多少違和感はありつつも賑やかな店内だったのもよく覚えています(権利の関係上、店内の様子は掲載できません。ごめんなさい)。

2007年当時、ハワイ州内で販売されていたパワーレンジャー関連商品。写真右の赤色メッキのフィギュア2体(ガオレッド、アバレッド)が、ディズニーストア店内で限定販売されたもの(筆者撮影)。
2007年当時、ハワイ州内で販売されていたパワーレンジャー関連商品。写真右の赤色メッキのフィギュア2体(ガオレッド、アバレッド)が、ディズニーストア店内で限定販売されたもの(筆者撮影)。

そんな日本のみならず海外市場でも「アバレ」ていた『爆竜戦隊アバレンジャー(2003)』ですが、放送20周年を迎えた2023年に新作も公開される等、まだまだアバレンジャーの活躍は留まることを知りません。

放送20周年を迎えた2023年、『爆竜戦隊アバレンジャー』は20年ぶりの新作映画が発表された。本作ではなんと、とある理由からアバレキラーが復活して再びアバレンジャーと相まみえることになる(筆者撮影)。
放送20周年を迎えた2023年、『爆竜戦隊アバレンジャー』は20年ぶりの新作映画が発表された。本作ではなんと、とある理由からアバレキラーが復活して再びアバレンジャーと相まみえることになる(筆者撮影)。

来る30周年、40周年、50周年とー。これからも大好きなアバレンジャーが、新たな未来へ向かって「アバレ」続けることを願って止みません。

最後までご覧頂きまして、誠にありがとうございました。

(爆竜戦隊アバレンジャーを視聴するなら)

東映特撮ファンクラブ(TTFC)(外部リンク)

(参考文献・URL)

・菅家洋也、「講談社シリーズMOOK スーパー戦隊シリーズMOOK スーパー戦隊 Official Mook 21世紀 vol.3 爆竜戦隊アバレンジャー」、株式会社講談社

・坂本浩一、「映画監督坂本浩一全仕事」、株式会社カンゼン
・丸澤滋(てれびくん編集部)、「30大スーパー戦隊超全集」、小学館

(アクセス 国内)
岩船山採石場
住所:〒321-0201 栃木県下都賀郡 岩舟町新里1124
岩船爆破体験ツアー 詳細URL
https://setup-japan.jp/(外部リンク)

(米国各州内 観光地アクセス )
アラモアナセンター(Ala Moana Center)
住所:1450 Ala Moana Boulevard, Honolulu, HI 96814
https://www.alamoanacenter.com/ja/(外部リンク)

Disney's Hollywood Studios (Walt Disney World Resort)
住所:351 S. Studio Drive, Lake Buena Vista, FL 32830
https://disneyworld.disney.go.com/destinations/hollywood-studios/?msockid=223e5f6f33476de610f04b08323f6c16(外部リンク)
Epcot (Walt Disney World Resort)
住所:200 Epcot Center Dr, Orlando, FL 32821
https://disneyworld.disney.go.com/destinations/epcot/?msockid=223e5f6f33476de610f04b08323f6c16(外部リンク)

博士(文学)/PhD(literature)

博士(文学)。日本の「特撮(特殊撮影)」作品を誘致資源とした観光「特撮ツーリズム」を提唱し、これまで包括的な研究を実施。国内の各学術学会や、海外を拠点とした国際会議へも精力的に参加。200を超える国内外の特撮・アニメ催事に参加してきた経験を生かし、国内学術会議や国際会議にて日本の特撮・アニメ作品を通じた観光研究を多数発表、数多くの賞を受賞する。国際会議の事務局メンバーのほか、講演、執筆、観光ツアーの企画等、多岐に渡り活動中。東海大学総合社会科学研究所・特任助教。

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