パレスチナ・イスラエル問題の議論が緊迫するノルウェーで国際音楽祭に波紋 脅迫でコンサート中止
ガザへの支持をSNSで表明したモロッコのスター、Manalがノルウェーの都市オスロとベルゲンの国際音楽祭で予定されていたコンサートを中止した。
Spotifyで数百万回再生され、アラブポップを代表するモロッコ人のManalは女性を解放するような歌詞をつけ、ヒット曲『Makhelaw magalou』はSpotifyで1100万回以上再生されている。
約400万人のフォロワーがいるインスタグラムで親パレスチナ派の投稿をした直後に脅迫を受け、「ノルウェーに渡航する安全性を感じなくなった」と中止を決めた。
このことはノルウェーのメディアでも取り上げられ、音楽祭の関係者らは「芸術の自由や表現の自由が制限されてところまできている」と現地メディアに話している。
パレスチナ・イスラエル問題でヘイトスピーチや脅迫が増加し、市民が意見を話しにくい状況になっていることはノルウェーですでに問題となっている。
ノルウェー国家公安警察(PST)は、ノルウェーにおける新たな脅威評価を発表したばかりだ。中東での紛争のため、多くの過激派がユダヤ人とイスラエル国家を区別しておらず、イスラエルとユダヤ人の標的に対する脅威は増大したと発表した。両国に関する抗議デモやイベントは首都に集中するため、警察は現在オスロに人員を集中させ警備を強化中だ。
- VG:PST: − Trusselen mot jødiske og israelske mål i Norge er skjerpet
- VG:Frykter uro etter Israel og Palestina-konflikten – politifolk landet rundt kalles inn til Oslo
パレスチナ人女性活動家が不在のまま賞を受賞
Manalがコンサートを中止した30周年を迎える国際音楽祭オスロ・ワールドは、音楽祭としてパレスチナ派であることを表明している。コンサートやイベントの度に多くの登壇者が「フリー・パレスチナ」と発言し、チケット代の収入をガザ支援に充てるためのコンサートも開催している。
オスロ・ワールド中に開催された音楽界のジェンダーバランスの実現を目指す「Keychange」のイベントでは、音楽界に並外れた先駆的な貢献をした女性や性別にとらわれない才能を称える「Keychange Inspiration」賞をパレスチナ人のRania Eliassさんに授与した。
Rania Eliassさんは過去30年にわたり、パレスチナの文化、言論の自由、女性の権利の促進に不可欠な役割を果たしてきたことが評価された。1988年から2022年末まで、占領地エルサレムのヤブース文化センターとエルサレム・フェスティバルのディレクターを務め、古い映画館をエルサレム最大かつ最も重要な文化センターへと改修・変貌させる監督を務めた。
「逆境に直面しながらも粘り強く活動を続けるRaniaは、私たちみんなのインスピレーションだ」と。国際音楽祭オスロ・ワールドのディレクターであるAlexandra Archetti Stølenさんは涙を流しながら話した。
Rania Eliassさんは現在の状況のためにノルウェーに渡航できず、動画で感謝の言葉を伝えた。「文化プログラムや活動の一翼を担うことで、女性の役割を強調することに尽力してきました。今、私たちはガザに住む同胞に対して行われている戦争を目の当たりにし、友人たちの死を悼んでします」と語った。