携帯電話代の家計への負担は増加中
![](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/fuwaraizo/00086420/top_image.jpeg?exp=10800)
・固定電話の世帯単位での通信料は漸減中、移動電話の通信料は増加中。2017年では年間でそれぞれ2万1957円、10万250円。
・電話通信料の総額は固定電話分の減少以上に移動電話分が増え、増加中。
・世帯消費支出に占める電話通信料の割合は増加中。2017年では4.18%。
今や日常生活には欠かせない存在となった携帯電話(従来型携帯電話とスマートフォン双方)。その利用料金は家計にどれほどの負担となっているのか。その実情を総務省の家計調査の結果を基に確認する。
家計調査の公開値から総世帯(単身世帯と二人以上の世帯の合算。要は全部の世帯)における、電話通信料と世帯消費支出を抽出した上で、各種値を算出し、検証を行う。なお「世帯消費支出」とは税金や社会保険料を除外した、「世帯維持に必要な支出」を意味している。
まずは電話通信料の推移。固定電話(据え置き型の電話。IP電話なども含む)通信料は毎年減少している。携帯電話の利用が増え、固定電話の利用者そのものが減少しているのに加え、IP電話やCATVサービスによる電話の普及で、利用料金が抑えられているのも理由の一つ。
一方移動電話通信料は便宜性の向上などを受けて携帯電話の普及率が底上げされ、その分増加を示している。また単体の通信料も、従来型携帯電話からスマートフォンへと利用端末機種のメインがシフトするに連れ、増額に拍車がかかることになる。
大よそ通信料総額は漸増、そしてその中でも移動電話通信料が額・比率ともに増加傾向にある。ただし2008年以降は伸びが緩やかになり、2010年は(リーマンショックの影響もあるのだろう)わずかながら総額、そして移動電話通信料単体額も前年比からマイナスを示す場面を見せている。
もっとも直近数年はスマートフォンの急速な普及に伴い、移動電話通信料は大きく増加の一途をたどっており、それに伴い通信量総額も上げ幅を大きなものとしつつある。
![↑ 電話通信料(総世帯、年間、円)](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/fuwaraizo/00086420/image01.gif?fill=1&fc=fff&fmt=jpeg&q=85&exp=10800)
他方、世帯消費支出は収入・可処分所得の漸減(社会保険料の増大が大きな要因だが、同時に高齢者世帯の構成比率増加も小さからぬ要因)などを受け、微減を続けている。電話通信料は漸増、世帯消費支出は漸減となれば、当然「世帯消費支出に占める電話通信料の比率」は少しずつ増加の傾向を示すことになる。
直近の2017年においては世帯消費支出は前年比で増加、そして電話通信料も増加したことを受け、比率は4.18%となり、前年比で0.04%ポイント増となった。世帯消費支出も増えたものの、電話通信料の方が増え度合いが大きかったため、前年比では比率が増加した次第。
![↑ 世帯消費支出および世帯消費支出に占める電話通信料の割合(総世帯、年間、円・%)](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/fuwaraizo/00086420/image02.gif?fill=1&fc=fff&fmt=jpeg&q=85&exp=10800)
電話通信料の金額、消費支出に対する比率、さらには家計への精神的な負担のプレッシャーがともに上昇を続けていることに違いは無く、自分自身の利用はもちろん、保護者が子供に携帯電話を持たせる際にも、料金関連でより厳しい目を向けるのも当然となる。何しろ子供の大半は、子供自身が使った携帯電話の料金を自分のこづかいからは支払わず、保護者任せにしているのだから。
![↑ 自分のおこづかいで携帯電話(スマートフォン含む)の使用料を支払っているか(2015年、無回答を除いて再計算)(おこづかいをもらっている人限定)(金融広報中央委員会「知るぽると」の「子どものくらしとお金に関する調査」から筆者作成)](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/fuwaraizo/00086420/image03.gif?fill=1&fc=fff&fmt=jpeg&q=85&exp=10800)
多機能性を誇るスマートフォンの普及に伴い、携帯電話はこれまで以上に便利なツールとして、日常生活においては必要不可欠な存在となりつつある。これは平時はもちろん非常時でも変わらず、その重要性は先の震災でも実体験した人も多いはず。それだけに、一度使い始めたらその利用を止めるのは難しい。
一方で、インターネットにアクセスできる機動性の高い携帯電話の有意義性は十分以上に認識しながら、スマートフォンクラスの充実した機能を求めない層も一定率存在するのは事実。コストパフォーマンスでそろばん勘定をした場合、従来型携帯電話クラスの機能の方が割が合うと判断する次第。これらの層の需要に応え、かつ今後部品不足が深刻化する従来型携帯電話の代わりとして、OSなどはスマートフォンのものを用い、形状や機能は極力従来型携帯電話を踏襲し、料金体系も従来型のものをそのまま使える、あるいはそれに近いプランを用意する、「ガラホ」なるものが複数社から展開を始められている。また「格安スマホ」(MVNO(仮装移動体通信業者)が提供しているSIMカード(格安SIM)を用いたスマートフォン)も今後大きな勢力となることだろう。
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