ドイツ「人気企業ランキング2018年」 1位はアディダス 社員が選んだ働きやすい職場とは?
ドイツ大手のニュース週刊誌「フォークス」は、企業評価プラットフォーム「クヌヌ」と共に、ドイツ企業22業界1000社を対象に「社員が選ぶ人気企業2018」の調査を行った。およそ13万人の回答をもとに集計した人気企業総合は、1位アディダス、2位グーグルドイツ、3位バイエル(化学会社)だった。
このアンケート調査は、フォークスビジネス特集号(2/3月)で発表されたもので、デジタル・国際性・キャリア・労働環境など8部門における結果を集計した。
まもなく4月、日本では新入社員が新しい環境に期待と不安を抱え入社する季節がやってきた。近年、日本では過労死や働き方改革が話題を集めており、日本の過酷な状況はドイツでも報道されている。労働環境は就活者が職場を決める際の大きなポイントのひとつだろう。
ドイツの労働時間は日本より短いことはよく知られている(年間平均労働時間・日本1700時間程、ドイツ1400時間弱)。経済は絶好調、労働生産性も高く、余暇時間を謳歌、さらに長期休暇も積極的に取得し、土日は身体を休めるなど、日本とは大きく異なる。
トップ10は以下のとおり。
1. アディダス
2. グーグルドイツ
3. バイエル
4. BMW
5. ダイムラー(メルセデスベンツ)
6. SAP
7. プーマ
8. ミュンヘン空港
9. アウディ
10. ディリンガー&シャイデル
トップ10の半数を占めたのは自動車メーカーとスポーツ用品メーカーだった。これらのほとんどは、多くの人が聞いたことのある大企業だ。ちなみに10位ディリンガー&シャイデルは、ドイツ南西部マンハイム近郊に本拠を構える建築会社。
また、社員の選出した働きやすい企業は、規模の大小にかかわらず、地方企業や公共機関もトップ50入りしている。
今回のアンケート調査で大きなポイントとなったのは、企業の満足度、働きやすさを判断して自身の勤める企業を他の就活者に薦めたいかどうかという点だった。
フォークスビジネスによると、「アディダス成功の秘訣は、持続可能な商品アイデア、市場を見極めた厳密な研究開発、なかでも特に注目したいのが斬新な人材戦略(社員の確保や育成、配置における戦略)だ」と分析する。
アディダスはスポーツ用品市場世界第2位(1位はナイキ)のグローバル企業。社員数全世界6万人、2016年には3億6000万足のシューズを販売した。アディダス商品製造量は、年間8億5000万点にのぼる。(子会社のリーボックを含む)。
ドイツ連邦統計局によると、アディダスの売上高は、過去10年で2倍に膨れ上がった。また本年3月14日発表のアディダス2017年12月期決済では、前期比8%増の10憶9700万ユーロ(約1400憶円)。なかでも北米(27%増)と中国市場(29%増)が好調だった。2018年度は二ケタ台の売上高増加を見込んでいる。
フォークス誌チーフ編集長ロベルト・シュナイダー氏は今回の調査についてこう語る。
「デジタル化やロボットによる人工知能の発展などIT技術の実用化は広範な業界で浸透し、まさに経済革命が起こっている。そんな中で企業は社員の生産性とモチベーションを上げ、かつ就労における満足度を高めていくのは大きな課題である。それが企業の成功にもつながってくるからだ」
フォークスによるこの調査は今回で6回目。毎年1月後半、世論調査会社と協力して同様のアンケート調査を行っている。今年は初めて連邦統計局の協力を得て、オンラインアンケート結果を集計した。17年のトップ企業はバイエル、16年のトップはデーエム(ドラッグストア)だった。
参考資料
フォークスビジネス特集号No.1(2/3月号)