ダルビッシュ、サイ・ヤング賞は逃すも日本人メジャーリーガー初の快挙を達成
日本人メジャーリーガー初となるサイ・ヤング賞の受賞を惜しくも逃したダルビッシュ有。11月11日(日本時間12日)に発表された投票の結果、2013年に続き自己2回目となる2位に終わった。
投票結果を受けて、ダルビッシュは「2位で悔しい気持ちより、デグロムの上に行けたというのに喜びを感じます」とツイート。悔しさの2位ではなく、喜びの2位だと明かした。
今季はダルビッシュと前田健太の2投手がサイ・ヤング賞投票で2位となり、これで日本人投手が票を得たのは11回となった。
今季は2人の日本人投手が票を得たが、同じシーズンにアメリカン・リーグとナショナル・リーグの両リーグで日本人投手が票を得たのは初めてのこと。
2013年にはダルビッシュ、岩隈久志、上原浩治の3投手がア・リーグのサイ・ヤング賞争いで名前を連ねたことがある。
ダルビッシュが票を得たのは今季で3回目だが、これは1995年と96年の2回票を得た野茂英雄を抜いて、日本人メジャーリーガー最多回数となった。
サイ・ヤング賞の投票はそれぞれのリーグに所属するチームが本拠地を置く都市を拠点とする全米野球記者協会(BBWAA)所属の記者2人ずつが投票権を得る。
1969年までは各投票者が一人の候補投手を選ぶシステムだったが、1969年のア・リーグ投票でオリオールズのマイク・クェイヤーとタイガースのデニー・マクレインが同票で初の同時受賞となったために、翌70年からは1位から3位までを選ぶシステムに変更された。1位票は5ポイント、2位票は3ポイント、3位票が1ポイントの投票方法は2009年まで続き、2010年からは現行の1位から5位までを選ぶシステムに変更された。現在の投票方式では1位票が7ポイント、2位票が4ポイント、3位票は3ポイント、4位票が2ポイントで5位票が1ポイントと1位票の比重が大きく設定されている。
これまでに日本人投手がサイ・ヤング賞投票で1位票を獲得したことはなかったが、今年ついにダルビッシュが日本人初の1位票を獲得。しかも、3つの1位票を集めた。
投票2位も、投票者30人中29人からの票獲得も2013年と同じだが、3つの1位票を得た今季の方が価値が高い2位だった。
昨季まで2年連続でサイ・ヤング賞を獲得して、リーグを代表する一流投手であるジェイコブ・デグロムを上回る評価を得て、ダルビッシュは名実ともにエリート投手の仲間入りを果たした。
サイ・ヤング賞を始めとする個人賞は投票する記者の主観が大きく、投票者によって投票基準も異なる。本当に大切なのは記者からの評価ではなく、本人の手応え。デグロム、ジャスティン・バーランダー、ゲリット・コールのようなレベルの投球をできたと感じたダルビッシュは、来季もエリート投手に相応しい活躍を見せてくれるはずだ。そのレベルに到達することが夢だったとダルビッシュは言うが、その夢を叶えたダルビッシュならば、多くの日本人ファンの夢であるサイ・ヤング賞獲得の願いも叶えてくれるだろう。