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ウクライナ軍、4日で100機のロシア軍ドローン破壊・軍事侵攻から10月15日まで累計1200機突破

佐藤仁学術研究員・著述家
ウクライナ軍によって破壊されたロシア軍のイラン製攻撃ドローン(写真:ロイター/アフロ)

2022年2月24日から10月15日までに破壊したロシア軍のドローン1200機突破

2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。また民生用ドローンも監視・偵察のために両軍によって多く使用されている。

ウクライナ軍では2022年2月24日にロシア軍に侵攻されてから殺害したロシア軍の兵士の数、破壊した戦車、戦闘機など兵器の数をほぼ毎日公表している。

ウクライナ軍によると2022年2月24日から2022年10月15日までの約7か月半の間でロシア軍兵士の戦死者は64,700人以上で、破壊したドローンは1200機を超えた。

2022年10月11日に破壊したロシア軍のドローンが1100機を突破したばかりだった。そして10月12日、13日、14日、15日までの4日間で100機のロシア軍のドローンを撃墜して1200機を突破した。以前は1日に数機程度で10機以下の日が多かったが、ここ数日では1日に20~30機のロシア軍のドローンを破壊している。

以前に比べるとウクライナ軍が1日に破壊しているロシア軍のドローンの数がかなり増えている。両軍とも監視・偵察ドローンや攻撃ドローンをかなりの規模で飛ばしているので、カウントされずに破壊されたドローンを含めるともっと多いだろう。

2022年10月にはロシア軍はミサイルとイラン政府が提供した攻撃ドローン「シャハド136(Shahed136)」、「シャハド131(Shahed131)」で首都キーウを攻撃して、国際人道法(武力紛争法)の軍事目標主義を無視して軍事施設ではない民間の建物に撃墜して攻撃を行っていると報じられている。一般市民の犠牲者も出ていると報じられている。ウクライナ軍としてはキーウや主要都市の文民たる住民を保護するためにも、上空のドローンを徹底的に破壊しておきたいところだ。

▼ウクライナ軍の発表

首都キーウにもイラン製攻撃ドローンで攻撃、徹底的な破壊が急務

ドローンは攻撃用も監視用も探知したらすぐに迎撃して破壊してしまうか、機能停止する必要がある。上空のドローンを迎撃するのは、電波を妨害(ジャミング)してドローンの機能を停止させるいわゆる"ソフトキル(soft kill)"と、対空機関砲のように上空のドローンを爆破させる、いわゆる"ハードキル(hard kill)"がある。

特に偵察ドローンは探知されやすく、すぐに迎撃しなくてはならない。偵察ドローンは攻撃をしてこないから迎撃しなくても良いということは絶対にない。偵察ドローンに自軍の居場所を察知されてしまったら、その場所にめがけて大量のミサイルを撃ち込まれてしまい大きな被害を招きかねないので、偵察ドローンを検知したら、すぐに迎撃して爆破したり機能停止したりする必要がある。回収されて再利用されないためにもドローンは上空で徹底的に破壊しておいた方が効果的である。

特に2022年10月に入ってからはロシア軍が首都キーウにも軍事ドローンで攻撃をしているので、上空での"ハードキル"による徹底的な破壊による国土の防衛は急務である。

ウクライナ軍では破壊したドローンのなかで、監視・偵察ドローンと攻撃ドローンの内訳は明らかにしていない。ロシア軍は主にロシア製の偵察ドローン「Orlan-10」で上空からウクライナの監視・偵察を行っており、またロシア製の攻撃ドローン「KUB-BLA」や「ZALA KYB」で攻撃を行っている。最近では「Kartograf」と呼ばれている監視ドローンも使用しており、それもウクライナ軍によって破壊されている。最近の傾向ではそれに加え「ZALA 421-16Е2」といった今まではあまり使われていなかった監視ドローンも撃墜されている。またイラン政府はロシア軍に攻撃ドローンを提供しているが、9月に入ってからイラン製の軍事ドローンが破壊された写真や動画がウクライナ軍によって多く公開されている。

ウクライナ軍では迎撃して破壊したロシア軍の偵察ドローン「Orlan-10」や攻撃ドローン「KUB-BLA」、イラン政府が提供した軍事ドローンの残骸の写真や地対空ミサイルを発射して上空で撃破する動画を投稿して世界中にアピールしている。

破壊された装甲戦闘車両が約5100台、戦車が約2500台、大砲が約1500門なのでそれらに比べると破壊されたドローンは1200機と多くはない。戦車や大砲の多くも上空からドローンで爆弾を投下したり、ドローンごと突っ込んでいき破壊したりしている。

▼ウクライナ軍によって破壊されたロシア軍が使用していたイラン製の攻撃ドローン

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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