NY金5日:米雇用統計を受けて続落、利上げ警戒感が一段と強まる
COMEX金8月限 前日比比7.10ドル安
始値 1,176.50ドル
高値 1,178.00ドル
安値 1,162.10ドル
終値 1,168.10ドル
5月米雇用統計が米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ着手を支持する内容になったことが嫌気され、続落した。アジア・欧州タイムは1,170ドル台中盤から後半で方向性を欠く展開になったが、雇用統計発表後に急落している。ただ、引けにかけては下げ幅を縮小する動きが目立ち、大きな値動きには発展しなかった。
5月雇用統計であるが、非農業部門就業者数は前月比+28.0万人となった。前月の+22.1万人(速報は+22.3万人)、市場予測の+22.6万人を大きく上回り、米雇用環境に対する信認を一段と高めることに成功している。今年は、3月の非農業部門就業者数が前月比+11.9万人と大きく落ち込んだことで、利上げ着手が本当に可能なのか疑問の声も上がっていた。しかし、4月に続いて5月も雇用拡大トレンドが再確認できたことで、利上げ着手の時期が接近していることが強くイメージできる状況になっている。
項目別でみても、失業率は前月の5.4%から5.5%まで上昇したものの、労働参加率と平均時給がそれぞれ上振れ、長期失業者比率が低下するなど、全体的にポジティブなメッセージが目立つ状況にある。このまま米経済にネガティブ・サプライズがなければ、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げが決定される可能性も十分にある。イエレンFRB議長に続いて、ニューヨーク連銀のダドリー総裁も年内利上げの可能性を示唆しており、金利上昇・ドル高圧力が、ドル建て金相場にはネガティブに機能している。
利上げ着手の時期は一段と近づいているが、これまでイエレンFRB議長が曖昧なスタンスを示し続けてきたこともあり、まだ十分に下落余地を残した相場と考えている。米長期金利は今年の最高利回りを更新している一方、再びドルに対する上昇圧力が強くなっており、この環境下で金相場が現在の値位置を維持し続けるハードルは高い。本日は短期筋が週末を前に利食い売りを入れたが、1,150ドルの節目割れから年初来安値1,141.60ドルを試す展開が想定できる状況にある。