美しくて聡明な女性がレイプ被害者になる“男根女卑”ニッポンと子育てしながら首相になれる国の未来とは
[ロンドン発]世界経済フォーラム(WEF)の「男女格差報告書2020」で日本の男女平等ランキングは昨年より11下がって121位(153カ国中)。世界最年少の現職指導者で同国史上最年少のサンナ・マリーン首相(34)誕生で注目を集めたフィンランドは3位でした。
2006年以降、毎年発表されている「男女格差報告書」は(1)経済(2)教育(3)健康(4)政治の4分野を総合的に判断して世界ランキングを付けています。日本のランキングは下のグラフのように急落しています。
【政治】144位(フィンランド5位)
・女性国会議員135位(同7位)
・女性閣僚139位(同20位)
・国家元首の在任年数73位(同12位)
政治分野では日本より下の国はイラン、ナイジェリア、ベリーズ、ブルネイ、レバノン、オマーン、イエメン、パプアニューギニア、バヌアツの9カ国しかありません。
【経済】115位(フィンランド18位)
・労働力参加79位(同13位)
・同一労働賃金67位(同9位)
・所得108位(同33位)
・管理職131位(同77位)
・専門・技術職110位(同1位)
ロンドンで暮らし始めて13年目に入った筆者は日本の未来についてとても楽観的になれません。そこで過去14年分の「男女格差報告書」からそれぞれの分野ごとの指数を拾って、このままのペースで行くとどれぐらいで男女格差が解消されるのか自分で分析してみました。
日本とフィンランドの指数を表計算ソフトに入力して回帰分析した結果をまとめたのが下の表です。それぞれの項目で男女平等が何年に達成されるのかを記入しています。単純に回帰分析しただけなので一つの目安にしかなりませんが、暗澹たる気分になります。
筆者が女性なら英語を必死で勉強してすぐに海外に飛び出します。日本に残っていてもチャンスは非常に限られているからです。
フィンランドと日本の大きな違いはフィンランドの大学進学率はすでに女性の方が2割ほど高くなっている点です。専門職・技術職に就く女性の割合も男性より1割ほど多く、閣僚の数でもしばしば女性が男性を上回っています。
女子の方が男子より真面目に勉強するので同じ条件で学ばせるとフィンランドのような男女の逆転現象が起きても何の不思議もありません。それが日本で起きないのは女性を特定の役割にはめ込む文化的な阻害要因があるからです。
一番大きな問題は皇位継承を男系男子にしか認めていないことです。男系男子の維持は側室制度なしには成り立ちません。側室制度が今の時代にそぐわないことは言うまでもありません。
日本の保守勢力は敗戦とともに皇籍離脱した旧宮家を復活させてでも男系男子の維持をと主張していますが、そんなことをしたら今でもかなり望み薄の日本の未来は完全に閉ざされてしまいます。暗い過去に逆戻りする文化に明るい未来が約束されるはずがありません。
旧宮家を復活させるのではなく、女性天皇容認に転換することが日本の可能性に再び火を灯すのだと筆者は信じます。そのためには血縁、地縁に縛られた政治文化を一掃する必要があります。
ジャーナリストの伊藤詩織さん(30)が元TBS記者の山口敬之氏(53)にレイプされたと1100万円の損害賠償を求めていた裁判で、東京地裁は「酩酊状態で意識がない伊藤さんの同意がないまま性行為に及んだ」と認定し、山口氏に330万円の支払いを命じました。
日本の法律が同意のない性行為は違法と定めていたら、もっと早く伊藤さんの被害を救済できていた可能性があります。法律を改正する権限は政治に委ねられています。経済分野での男女平等の達成も政治の力が不可欠です。
フィンランドのマリーン首相には生後22カ月の娘がいます。授乳している姿をインスタグラムにアップしたこともあり、首相就任に際し「自分の年齢や性について考えたことはありません」と胸を張りました。
筆者の回帰分析によると、このままでは日本で男女の国会議員数が同じになるのはなんと11942年です。それでも日本の女性は国内に留まるのでしょうか。筆者の計算が、どうか間違っていることを祈らずにはいられません。
(おわり)