美味しい水を求めて…湧水飲み比べ!日本有数の湧水群「黒部川扇状地湧水群」【富山県入善町】
「黒部川扇状地湧水群」は、日本最大級の湧水群であり、その一部である富山県入善町の湧水は、まろやかでほんのり甘みが感じられる美味しい湧水として知られています。ただし、「湧水群」と記すと、同じ水質だと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、場所によって水温や味が異なります。県外からも多くの人が訪れるほど人気の湧水も多数存在します。
今回は、そんな入善町の”湧水飲み比べ”に挑戦します!黒部川扇状地を研究しておられる先生に同行し、水温や味の違いはあるのかを調査しました。
黒部川扇状地
「黒部川扇状地」は、世界有数の急流河川である黒部川によって作られた扇型の地形で、急流によって運ばれた砂や小石などが堆積して形成されました。富山県のホームページによると、「扇頂から扇端までの距離は13.5kmで典型的な扇状地としては日本一の大きさ」を誇るということです。
黒部川扇状地湧水群
黒部川扇状地には、蓄えられた豊富な地下水によって、伏流水や海底湧水、自噴井が多く存在します。これらの湧水を「黒部川扇状地湧水群」とし名水百選に選定されています。
それでは、豊かで美味しい入善町の湧水を飲み比べてみましょう!
杉沢の沢スギ
沢スギ林には、昔から生活の水として利用されてきた湧水が今もフツフツと湧いています。沢スギ林内にある自噴井の湧水を試飲してみました。
水温は12度。深さは110メートルの自噴井。味はあまりなく、無味無臭。このような湧水は、コーヒーなどを淹れる水として利用するといいと思いました。
沢スギの湧水は黒部川と舟見台地の地下水が含まれていると考えられているとのことです。
園家湧水の庭
園家キャンプ場近くにある「園家湧水の庭」。水温は11度。深さ70メートルの自噴井です。冷たくて美味しい人気の湧水のひとつです。
入善町に沢スギが広がっていた時代に、園家には沢スギが存在していなかったそうです。それは、黒部川が氾濫を繰り返してスギ林が育たなかったから。「杉沢の沢スギ」の湧水とは水脈が違うことが分かります。
五郎八地区の湧水
国道8号線より海側で黒部川沿いの五郎八地区には、公民館などに多くの湧水があります。水温は9~10度。許可を得て3箇所の湧水を試飲しましたが、どの水も冷たく、味が濃いように感じました。
五郎八地区の湧水が冷たい理由は、黒部川が近く、川の冷たい水が影響しているということです。個人的には、この五郎八地区の湧水が一番美味しく感じました。
まとめ
同じ黒部川扇状地内でも、水脈が異なり、水温や味に違いがあることが分かりました。
今回は、入善町にある18箇所の湧水を巡り、全ての水温を測り試飲をしました。その結果、黒部川に近づくにつれ少しずつ水温が低くなっていることが分かりました。味については、どの湧水が美味しいかは言い難く、同行した中でも好みが分かれる結果となりました。
最後に
一般的に地下水は14度程度と言われている中で、「黒部川扇状地湧水群」の湧水は、9~12度程度。入善町の湧水はどこも美味しかったですが、水温や味に少しずつ違いがあることが分かりました。
湧水に恵まれ、今年の夏のように極端に少ない降水量でも水不足とは無縁の入善町。水量だけではなく、水質や水温に加え味も良いとされている湧水です。ぜひ、お気に入りの湧水を見つけ、毎日の生活に入善町の湧水を取り入れてみてはいかがでしょうか!
※記事内容は2023年9月11日現在のものです。さまざまな要因によって水温などは若干変化する可能性があることをご了承ください。
沢スギ自然館
住所:富山県下新川郡入善町吉原950
営業時間:9:00~17:00(16:30までご入館ください)
休館日:月曜日(祝日の場合は翌日)、祝日の翌日、冬季(12月28日~2月末)
入館料:無料
園家湧水の庭
住所:富山県下新川郡入善町下飯野4549
※24時間自噴しています。近隣の方の迷惑ならないように湧水をお楽しみください。