2023年3月期 #配当長者番付 ランキング、1位は孫正義氏187億円、しかし来年からは変わる可能性
KNNポール神田です。
かつて、税務署が毎年、納税額1,000万円以上の個人を発表する『長者番付(高額納税者公示制度)』ランキングがあったが、2005年平成17年に廃止されている。
その理由は個人情報の保護の観点であった。番付は納税額から割り出されるので、あれ?あの人はなぜ?公表されないのかという節税の上手な個人が埋もれるという図式も不都合であったと考えられる。
その間、あくまでも、推定金額ではあるが、『世界の長者番付』を扱うのが米『Forbes』であり、人気企画として継続している。お金持ちの資産を常に調査しているのだ。
世界のビリオネア 2023年
https://www.forbes.com/billionaires/ (※英語サイト)
そして、Forbes日本版でも、日本のビリオネアが発表されている。
日本の長者番付 2023
https://forbesjapan.com/feat/japanrich/
あくまでも、Forbes紙においての独自調査だ。
一方、日本経済新聞発表の3月期決算の株主配当長者ランキングは、公開されている大株主のデータからの計算なので、ごまかしようがないので、わかりやすい。
筆頭株主として、孫正義氏個人の、4億2,666万株保有の、それだけではなくソフトバンクGの大株主リストを見ると…ファミリー企業もしくは資産管理会社で、さらにソフトバンクGの株を保有していることがわかった。
■個人以外でさらに5%以上のソフトバンクG株を保有
孫コーポレーション987億円(※株式価値)で1.3%
孫アセットマネージメント958億円 で1.26%
孫エステート で3.43% などの資産管理会社が目立つ。
これらを合算すると、5.06%となる。
ただし、2025年以降10月1日以降の大株主の株主配当については大きなルールチェンジが発生するので、上場企業の3%以上を保有する個人の大株主は、20%の申告分離課税だけではなくなるのだ。
以下の法律改正によって、これらの資産管理会社や公益財団法人などの設立などが重要となってくる。最大55%の税率ともなると、個人で受け取る株主配当を回避する流れが出てきそうだ。だから来年以降はこの顔ぶれが大きく変化しても不思議ではない。
孫正義氏個人では『WDI』という『カプリチョーザ』や『ハードロックカフェ』『トニーローマ』などのレストラン事業の0.56%保有の大株主で名を連ねているのもなぜか、気になる…というか目立っている。
■ダントツの1位と2位の差を、生成AIでざっくりと、グラフ化してみると…
1位と2位以下の差が歴然なことがグラフの方が感覚的に捉えやすい…。
1.GoogleBardの ※英語アカウントでJPEGを読み取らせる。
2.ChatGPT Code Interpreter で横棒グラフ化
※Baardは、英語アカウントでないと、JPEGを読み込めない。
しかし漢字の読み間違いなどもあるので目視チェックは必須だ。
ソフトバンクGの孫正義氏はダントツの3月決算企業の配当長者だ。
しかし、これはあくまでも個人の配当であり、資産管理会社分は含まれていない。
一方、Forbes日本版のデータと比較すると気になるのが、ファーストリテイリングの柳井正氏や、サントリーの佐治信忠氏、ユニチャー厶高原剛久氏らが配当ではランク外ということだ。なぜならば、このデータは『2023年3月期決算企業』というくくりだからだ。年間を通じてランキングをみてみたいものだ。
ファーストリテイリングの決算は『8月』であり、夏の在庫が無く、冬もの在庫も少ない時期を選び、そして、サントリーなどのビール会社も12月決算で忘年会が終わって期末に売上げが伸びている時期だ。サントリーホールディングスは、非上場で資産管理会社の寿不動産が9割を所有、寿不動産の主要株主はサントリー芸術財団やサントリー文化財団。
ユニチャー厶も12月決算で高原基金が4.71%のユニ・チャーム保有。高原基金の代表は高島和香子(豪久の妻)公益財団法人高原環境財団 理事長も兼ねる 公益財団法人ユニ・チャーム共振財団など。
ファミリー企業と財団法人スキームは、IKEAなどでも知られる。Forbesはそれらも合算して資産を推定している。
日本における公益法人認定を受けた場合の公益目的事業は課税対象外となる。
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hojin/koekihojin/pdf/01.pdf
いずれにしても、節税方法スキームをどれだけ編み出しても、法律が後から追いかけてくるという繰り返しは変わらない。せめて、それらの税収の使われ方も我々がトレースできるスキームは明確にしてもらいたいものだ。
一方、役員報酬のランキングで見てみると、Zホールディングスがベスト10に3名も入っているのが特徴的だ。続いて武田薬品工業の2名だ。
■役員報酬総額ランキング 2023年 東京商工リサーチ
https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1197776_1527.html
■役員報酬総額ランキング 2022年 東洋経済
https://toyokeizai.net/articles/-/620775
赤字の会社は赤字で大変かもしれないが、法人税を支払った後の内部留保だけではなく、それらを計上し、その後の利益を株主配当としたところで、さらに上場企業で3%以上のオーナーは、50%も課税されるというスキームとなると、単に利益を生み出すというビジネススキームだけではなく、ファイナンス上での節税スキームがさらに重要となることだろう。
人件費などの固定費が一番高い、IT企業となればなるほど、所得には必ず税金がつきまとうので、所得は安くても経費予算を個人で増やす、福利厚生に厚みを出すなどの節税対策が必要となることだろう。
今年のルールチェンジで、高額配当長者の顔ぶれが、来年以降は大きく変わる可能性が出てきた。