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サモア代表戦勝利の鍵は…。よしもと所属・堀江翔太副将、大らかに語る【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
チームの主軸の1人。大会前から「結果を出す」と息巻く。(写真:FAR EAST PRESS/アフロ)

ラグビー日本代表は9月26日、4年に1度のワールドカップイングランド大会のサモア代表戦に向け調整中。強靭さが売りの相手を想定し、攻守の連携で統一感をもたらせるよう務めている。体格に劣るなか、スクラム(フォワードが8対8で組み合うプレーの起点)やモール(ボール保持者を軸に複数人が固まって前に進むプレー)も鍵を握るだろう。

チームは予選プールBに参戦中だ。9月19日の南アフリカ代表戦(ブライトン・コミュニティースタジアム)を34-32で制しながら、続く23日のスコットランド代表戦(グロスター・キングスホルムスタジアム)は10-45で落とした。1勝1敗、勝ち点4で5チーム中暫定3位。上位2チームが進める決勝トーナメントへ行きたい日本代表にとって、10月3日のサモア代表戦(ミルトンキーンズ・スタジアムmk)は負けられないゲームだ。

大一番を週末に控え、フッカー堀江翔太副キャプテンが共同取材の場に登場した。自身2度目となる今度のワールドカップでは、ここまで2戦連続先発出場中。スクラムでは最前列中央で全体の取りまとめ役を担うなど、次戦で浮沈のカギを握る存在だ。

大阪府立島本高校、帝京大学を卒業後にニュージーランドへ留学した堀江は、13、14年には南半球最高峰であるスーパーラグビーのレベルズでプレー。今季は首の治療に専念すべく国内で調整してきた。

身長180センチ、体重105キロのずんぐりとした体躯で、視野の広さに裏打ちされた位置取りと器用に相手の裏を突くパス、ラン、キックを放つ。攻撃にアクセントをつける。守りとなれば周囲に位置取りの指示を出しつつ、強烈なタックルをぶちかます。

大らかな語り口でも親しまれ、今夏から大手芸能事務所のよしもとクリエイティブエージェンシーとマネジメント契約を結んだ。競技人気向上の一翼を担いたいとしている。

以下、一問一答の一部。

「(用意された椅子へ促され)あ、これ、座っていいすか? (周りの記者団に)やりづらくないすか? …あぁ、あざっす」

――サモア代表は9月26日、バーミンガム・ヴィラパークで南アフリカ代表に6―46で敗れました。感想は。

「(サモア代表は)フィジカルは強い。南アフリカ代表もビッグタックルを食らったりしていた。そこらへんは(ジャパンとのゲームでも)あると頭に入れといて、それを受けてもあまりテンパらないようにしたいな、と。ただ、相手は前半途中から歩き始めて、最後には足が止まってくる印象がある。走り勝ちたいと思いますね。

ティム・ナナイ・ウィリアムズ選手(ウイングやフルバックで出場。スーパーラグビーのチーフスでプレーする)みたいな相手のキーマンのいるところを、どれだけ頑張って全員で止めるか。そこ、ディフェンスの時は気にしたいですね」

――フィジカル勝負。

「対抗できると思いますよ。アグレッシブに行くということがキーになる。サモア代表のフィジカルは南アフリカ代表より上。それをサモア代表がどれだけ続けられるのか。向こうが切れた後、僕らが一貫性を持ってプレーできるか…。我慢、必要かなと思いますね」

――(当方質問)ジャパンのセットプレー(スクラムなどのプレーの起点)。ここまでうまくいっている。次戦も鍵に。

「そうすね。特にラインアウト(タッチラインから投入されたボールを空中で競り合うセットプレーの1つ)では、僕らの身長が小さいのに獲得率が高い。ミーティングでも、色々と話をしていますね」

――(当方質問)ラインアウトから組むモールも、ここ2戦での得点に繋がっています。

「相手をしっかり分析して、弱いところを突いていく感じがある。この辺もミーティングで分析内容を把握して、頭使って…。それがうまいとこ、行っているかなと」

――(当方質問)ただ自軍でまとまっただけでなく、相手の弱みを突いていた。

「そうですね。そうです。スコットランド代表戦のやつ(前半14分、敵陣ゴール前右のラインアウトを投入位置から遠い場所で捕球。その地点からわずかにずれた箇所でモールを作り、一気に直進してトライ)も、相手がいないところをしっかり突けた。…まぁ、僕は緊張しましたけどね。最初(投入)がロングボールやったんで、しっかり投げんと、と」

――セットプレーでは新しいことを取り入れているのか。

「いや、新しいことはないです。もともと僕らのやってきたベーシックをそのままに、相手の弱いところの分析(からの対応策)を付け加える感じ。空いている場所へどう放るか。そこは(ジャンパーという捕球役を担う)ロックの頭脳の部分です。ジャンパーの人たちは、しっかり頭使ってやってます」

――投入役、堀江選手の進化。

「(笑みを浮かべて)大分、じゃないですか。いまは何の不安もなく放れている。(ポジションからフッカーに転向して4年目だった)前回(のワールドカップ)の時は不安を抱きながら放っていたような気がするんで。

スーパーラグビーの舞台で放れたのは大きいかな、と。普段から、南アフリカ代表戦の時と同じような(規模、形状の)スタジアムで、プレッシャーのなかで放った。それを経験してきたのがよかったと思います」

――(当方質問)スクラムについて。

「相手が僕らよりでかいので、ぐっと8人が低くまとまって組みたいなと思います。組むごとに『ああしたらいい』『こうしたらいい』を話すようにします。上手いこといきゃあ、どんどん相手にプレッシャーをかけられる。ただ、試合になってみないとどうなるかはわからない。サモア代表は出る選手によって組み方を変えている印象もあったんで、(試合中に)その都度何が起きているのかを常に話すことが大切かなと思いますね」

――ジャパンのセットプレーの成功率は9割超。

「すごいすね(一同、笑う)。いやぁ、でも、そういうことを聞いても修正する点はある。特にスクラムでは、プロップ(フッカーの両脇)の人は集まりゃ色んな話をしている。それ、いいことだなと常に思ってるんですけど」

――南アフリカ代表とぶつかったサモア代表は、ラインアウトで苦しんでいた。

「あぁ…。かわいそうやな、って。サモア代表。放るとこ放るとこに(背の高い)相手がおって(一同、笑う)」

――ジャパンとしてはボール奪取のチャンス。

「そうすね。どんどんプレッシャーをかけていきたいと思っています」

――(当方質問)リーダーとしては、どんな意識を。

「エディーさん(ジョーンズヘッドコーチ)によく言われるのは『とにかく、サモア代表に勝つ』ということ。余計なことを考えずに焦点を絞る」

――ボーナスポイント(4トライ奪取で1ポイント。予選プールの勝ち点争いで大きな意味を持つ)も、考えない。

「そうすね。僕自身、もともとそういうことは考えないタイプなんでちょうどよかったですけど…ふふふ。勝つことが大前提なので」

――(当方質問)加熱する報道を前に、「もっと集中を」。こんな意見もあったと聞きます。

「いろいろ(メディア上で)やってくれるのはありがたい一方、僕らがそれに慣れていない。ここで気持ちが揺らぐこともある。ただ、次の試合まで間隔があって、いい感じにリラックスして準備できる時間がある。全体の気持ちは上がっているかな、と」

――(当方質問)堀江さんの体調は、いかがですか。

「上がってますよ。前は中3日で身体がきつかったんですけど、その後は色々と(練習量などを)調整してもらったんで」

――(当方質問)五郎丸歩副将の顔つき、充実しているようですが。

「あぁ、メディアが多くなったんでね(笑みを浮かべる)。…いやいや、彼はこの大会に入ってリーダーシップというか、上に立つ言動、行動、仕草がついてきたな、と」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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