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【祝】逃げた犬のお巡りさん・クレバ号が職場復帰...ワンコを迷子にさせないために

石井万寿美まねき猫ホスピタル院長 獣医師
警察犬のイメージ写真(写真:Motoo Naka/アフロ)

行方不明者の捜索中に脱走し、その後発見された警察犬「クレバ号」が2月4日から活動を再開すると兵庫県警が発表しました。実家でシェパードを飼っていた筆者としては、なんとも嬉しいニュースです。今日は、兵庫県警のクレバ号の接し方とあなたのワンコを迷子にさせない方法を考えていきましょう。

兵庫県警とクレバ号

イメージ写真
イメージ写真写真:アフロ

お忘れの方もいるかもしれないので、クレバ号について、簡単に振り返ってみましょう。

クレバ号は昨年10月25日、兵庫県の山で行方不明者の捜索中に突然脱走と、兵庫県警が発表しました。警察としては、秘密裏に探し出したかったのでしょう。

しかし、クレバ号は、シェパードなので、住民に危害を与えるとたいへんなので、公表に踏み切ったのでしょうね。嬉しいことに、その2日後、だれに危害を加えることなく、逃げた地点から南西に約100メートルの場所で、リードが木に絡まった状態で兵庫県警が発見したというものです。

クレバ号の脱走を受けて

兵庫県警・県民広報課によりますと、「決して(クレバ号を)叱らないで」「活躍を応援している」といった激励が90件以上、寄せられたそうです。中には「警察犬としての使命を終えるなら、私が買い取ります」という要望もあったとか。警察犬は、公費で訓練しているので、譲ることはできないそうです。

筆者もクレバ号の記事

「逃げた犬のお巡りさん「クレバ号」おかえり! 優秀なシェパードになにがあったの?」

「逃げた犬のお巡りさん・クレバ号に会いたかった獣医師の告白 「お元気ですか?」」を書きました。

クレバ号が、命令に従わない警察犬と烙印を押されるのは、耐え難かったからです。シェパードだからといって、全部の犬が警察犬になれるわけではなく、クレバ号は優秀な犬です。その子が、もし、1度、逃げてしまったからといって、警察犬として使ってもらえないのは、納得いかなったのです。

ありがたいことに、今回のように、クレバ号に対する大きくの人の激励が兵庫県警に届き、クレバ号が職場復帰したニュースは、本当に嬉しいです。

警察の内部は、外から窺い知ることは難しいですが、世論が届き、そして兵庫県警は無視することなく、クレバ号の様子を広報課が知らせてくれてたことを感謝しています。

今後、兵庫県警がクレバ号の特性を見ながら、仕事に使うとすばらしい成果をあげてくれることでしょう。

脱走行動をする犬とは?

高知県警察PV2020年 [ 警察犬と。] story of police dog trainer より

上記は、高知県警の警察犬の訓練のようすです。

この動画の中に、

“相棒”になって一緒に働く

だけど

なかなか簡単じゃない

警察犬は“生き物”だから

警察犬は、何が嬉しいのか、何を考えているのか

私を

信頼してくれているのか

どうすれば、気持ちが伝わるか

お互いにもっと

信頼しあって

とあります。

兵庫県警もクレバ号を動画のように再教育したのでしょう。では、具体的に、どのような犬が脱走しやすいか見ていきましょう。

脱走しやすい犬の性質

犬は猫と違って、群れをつくる動物です。なわばりの中で生きる動物なので、本来なら脱走や放浪はあまりしません。しかし以下のような理由のときに、しやすいです。

□運動不足

□しつけが足りない

□精神的な刺激が少ないと、もっとおもしろいところがないかを求める

飼い主がワンコの脱走を防ぐためにどうすればいいのか?

・不妊去勢手術

警察犬は、不妊去勢手術をするのは難しいですが、一般的な犬は、この手術をしておけば、交配相手を求めて放浪することも攻撃的な行動なども少なくなります。

・「来い」ができるように

犬がどこか行きそうになったときに、「来い」のコマンドで帰ってくると、脱走はないので、「来い」をちゃんと教えましょう。たとえば、長いリードをつけて、離れたところにから「来い」と呼んで戻ってくるようにしつけましょう。

・運動をしっかりする

クレバ号は、シェパードの雄の2歳なので、運動量が多い犬ですね。運動をしっかりしていると、脱走は少なくなります。

・信頼関係を築く

高知県警の動画にもありますが、犬が何を考えて、何を喜んでいるかを、考えて犬との信頼関係ができるようにしましょう。

迷子にならないように新しいアイテム

フォリスタ ペットのサイト より
フォリスタ ペットのサイト より

クレバ号は、もしも脱走したときに備えて首輪にGPS機能のついたものをつけているそうです。

猟犬も獲物を追いかけて迷子になることがあります。そのため、以前から、GPS機能のついたものがありました。

それ以外に、Beaconで迷子になった犬や猫を探すこともできるようになっています。

GPSは建物の中や地下だと電波が遮断されて受信できなくなりますが、Beaconは端末のBluetooth機能をオンにしている状態で専用アプリをインストールしていれば、建物の中や地下でも受信できるようになっています。

つまり、GPSは人工衛星を発信源としているため、広範囲で受信を行うことができます。一方、Beaconは建物内などに取り付けた機器に発信源があるため、ある程度の距離内しか受信できませんが、建物や地下にいても探せます。

具体的には、フォリスタ ペットというものがあります。これは、Beaconで、「お散歩ログ」「捜す」ができます。このアプリの新しいところは、事前に飼い主が声を拭き込んでいると、フォリスタペットのアプリを入っている人には迷子の子がいる通知がきて、「飼い主の声で捜す迷子ペット捜査アプリ」です。

愛犬や愛猫の行動を考えてGPSかBeaconにすればいいですね。

まとめ

写真:アフロ

人が宇宙に行く時代になり、なんでもAIでできそうですが、まだまだ犬の嗅覚に頼ることも多くあります。シェパードなどの警察犬の働きのおかげで、捜索に貢献してくれています。

人のために、働いてくれる盲導犬や介助犬などの使役犬は、これからも私たちの社会に恩恵をくれるのでしょう。そんな人のために働いてくれる犬のために、犬と働く人は、犬が何を喜ぶか、何を考えているのかなどの行動学の知識を持ってほしいですね。犬も楽しい環境がいいです。

まねき猫ホスピタル院長 獣医師

大阪市生まれ。まねき猫ホスピタル院長、獣医師・作家。酪農学園大学大学院獣医研究科修了。大阪府守口市で開業。専門は食事療法をしながらがんの治療。その一方、新聞、雑誌で作家として活動。「動物のお医者さんになりたい(コスモヒルズ)」シリーズ「ますみ先生のにゃるほどジャーナル 動物のお医者さんの365日(青土社)」など著書多数。シニア犬と暮らしていた。

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