Yahoo!ニュース

PayPayの決済音が音商標として出願されています

栗原潔弁理士 知財コンサルタント 金沢工業大学客員教授
出典:商願2024-030560公開公報

PayPayの支払時の音が音商標として出願されています(商願2024-030560)。コンピューター関係、広告関係、金融関係、通信関係等幅広い商品・役務が指定されています。出願日は2024年の3月25日でまだ実体審査は始まっていません。

音商標を出願する際には音源ファイル提出と共に五線譜(あるいは文書による説明)を願書に記載しなければなりません。それがタイトル画像ですが、16分で食っているという意図なんですね。

一般に音商標が単なるメロディだけではなく、歌詞付きの場合で、その歌詞自体に文字としての商標登録可能性がある場合には、ほとんどの場合に問題なく登録されます(たとえば、伊藤園の「おーいお茶」の音商標)。逆に歌詞なしのメロディや効果音だけの場合は、登録のハードルは高く、たとえば、(音としては相当な周知性があると考えられる)マリオのコインゲットの際のチャリーンと言う効果音も登録できていません(関連過去記事)。

ということで、この出願について言えば、おそらくは無事登録されるのではと思います。

ところで、実は、この音商標は、2023年1月にも出願されている(商願2023-2193)のですが拒絶査定になっています。拒絶の理由は、提出された五線紙(下図参照)に矛盾がある(下段が3拍しかない)というものです。ちょっと厳しいですね。明らかな誤記なので補正を許してくれても良さそうですが、特許庁の審査運用ではそうはなっていないようです。

出典:商願2023-2193公開公報
出典:商願2023-2193公開公報

弁理士 知財コンサルタント 金沢工業大学客員教授

日本IBM ガートナージャパンを経て2005年より現職、弁理士業務と知財/先進ITのコンサルティング業務に従事 『ライフサイクル・イノベーション』等ビジネス系書籍の翻訳経験多数 スタートアップ企業や個人発明家の方を中心にIT関連特許・商標登録出願のご相談に対応しています お仕事のお問い合わせ・ご依頼は http://www.techvisor.jp/blog/contact または info[at]techvisor.jp から 【お知らせ】YouTube「弁理士栗原潔の知財情報チャンネル」で知財の入門情報発信中です

栗原潔のIT特許分析レポート

税込880円/月初月無料投稿頻度:週1回程度(不定期)

日米の情報通信技術関連の要注目特許を原則毎週1件ピックアップし、エンジニア、IT業界アナリストの経験を持つ弁理士が解説します。知財専門家だけでなく一般技術者の方にとってもわかりやすい解説を心がけます。特に、訴訟に関連した特許やGAFA等の米国ビッグプレイヤーによる特許を中心に取り上げていく予定です。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

栗原潔の最近の記事