「公正証書遺言」作成件数 10年で5割アップ
2017年に全国の公証人が作成した「公正証書遺言」の件数が、11万191件に上りました。これは、10年前の07年の1.5倍に当たります。
●公正証書遺言作成件数
2007年:74,160件
2008年:76,436件
2009年:77,878件
2010年:81,984件
2011年:78,754件
2012年:88,156件
2013年:96,020件
2014年:104,490件
2015年:110,778件
2016年:105,350件
2017年:110,191件
(引用:日本公証人連合会ホームページ)
この数字は、日本公証人連合会が統計を開始した1989年以降で2番目に多いものです(最高は2015年の11万778件)。
統計初年度の89年は年間4万件ほどでしたが、14年に初めて10万件の大台を超えて、以後は高水準で推移しています。
自筆証書遺言を残した場合、遺言者の死後、遺言を執行するには家庭裁判所に「検認の申立て」を行わなければなりません(公正証書遺言は検認をする必要はありません)。
17年の検認件数は、最高裁判所の速報値で1万7394件に上りました(07年は1万3309件)。1985年以降で最多の数字です(以上2018年東京新聞朝刊参考)。
●なぜ遺言を残す人は増えるのか
遺言作成の現場に立ち会っていると、次の2つのことが遺言作成件数の増大の原因と思われます。
1.子どもから頼まれる
子どもから「遺言を残してくれないと困る」と言われて作成する人が増えています。相続は自分の死後に発生します。したがって、自分の相続が原因で困るのは子どもなどの相続人です。親の死後に相続で困るのが目に見えている子どもにとっては、「無防備で死なれては困る」というのが本音でしょう。当の親も薄々「自分の相続で子どもに迷惑をかけてしまう」ことが分かっているので、子どもから「遺言を残して」と言われると、「わかったよ」と言う次第です。
2.「死後のカタチ」を人生の最後と考える(死後の自己決定)
「人は死んでしまえば終わり」という考えではなく、「死んだ後の始末」までを人生の最後と考える人が増えています。私はこの考えを「死後の自己決定」と呼んでいます。
そのためには、死後も自分の意思を実現してくれる「遺言」を残す必要があるという訳です。
これから始まるゴールデンウイーク。いつかは必ず訪れる親の相続や自分の相続について、少し考えてみるのもよいかもしれませんね。