日本が厳しいそれとも米国が甘い?MLB開幕戦で垣間見られた明確な格差
【日本人2投手が相次いで5回途中降板】
遂にMLBの2021年シーズンが開幕した。
前田健太投手とダルビッシュ有投手の2人が、栄誉ある開幕投手を務めることもあり、早朝から目をこすりながら生観戦していた。
両投手ともにスプリングトレーニングでほぼ盤石とも言える調整ぶりを見せていたので、当然のごとく好投を期待していたのだが、まさか2人とも5回途中で降板する結果になるとは想像すらしていなかった。
昨シーズンに限っては、前田投手はすべての試合で5回以上を投げ、ダルビッシュ投手もシーズン最初の登板(4回で降板)以外はすべて5回以上を投げており、5回を投げきれずに降板する姿は本当に久々のことだった。
今シーズンは通常の162試合を戦う長丁場だ。今後の登板に期待するばかりだ。
【多くのファンがマスク無しで試合観戦】
ところで今シーズンのMLBは、シーズン開幕から有観客試合を実現することができた。昨シーズンはすべての公式戦(ポストシーズンの一部を除く)を無観客試合で実施せざるを得なかったので、2年ぶりに球場にファンが戻ってきたことになる。
ただ今も新型コロナウイルスの影響が続く中、州政府の要請により入場制限などの制約が設けられているのは日本と同様だ。先日米メディアの取材に応じたロブ・マンフレッド・コミッショナーは、オールスー戦までにはフルキャパシティのファンを受け入れられる状態にしたいと希望している。
だが実際に試合を生観戦してみると、想像とかけ離れた光景に思わず目を疑ってしまった。度々中継で映し出されるファンの多くが、マスクをしていない状態で試合観戦しているのだ。
例えばパドレス対ダイヤモンドバックス戦の場合、バックネット裏のクラブ席で観戦しているファンの過半数以上が、ずっとマスクをせずに観戦し続けているのを確認できた。
しかも試合展開に応じて、ファンから何度となく大きな歓声が上がっているのは明らかだった。
【マスク着用を呼びかけるガイドライン】
日本とは違い、米国では順調にワクチン接種が進んでいるのは理解している。だが以前確認した米メディアの報道では、試合観戦のファンに対し、PCR検査の陰性証明やワクチン接種証明書の提示を求めないことになっていた。
もしかして開幕直前にガイドラインの変更があったのかと改めて調べてみたところ、やはりチケット購入者は証明書無しで球場入りできるものだった。しかもガイドラインで、しっかりマスク着用を求めているのだ。
パドレスの公式サイトに掲載されているガイドラインによれば、自分の席で飲食する時以外、常に口と鼻をカバーするマスクの着用を求めている。間違いなく日本と同様のものだ。
だが試合観戦しているファンを確認する限り、飲食時以外でもマスクを着用している様子はまるで見られなかった。
【現状のままでの有観客試合で大丈夫?】
日本では球場内を警備員が巡回し、場内アナウンスを繰り返しながら、マスク着用を徹底させている。だが中継を見る限りでは、警備員が見回っている姿は確認できなかった。
これをお国柄、文化の違いで片づけてしまえばそれまでだ。だがずっと日本の厳しいガイドラインの下で、現場取材をしてきた立場からすると、今回目にした光景はあまりに心許なく映った。
果たしてMLBの現状まま有観客試合を継続していくことができるのだろうか。とりあえず経過を見守っていくしかない。
ただ現状のまま球場内での感染が確認できないようであれば、逆に日本のガイドラインが緩和できるようになるかもしれいない。